第78回国連総会ハイシーズン・ウィーク直前に、ブラヒム・ガリ西サハラ難民大統領がアントニオ・グテーレス国連事務総長に長時間の直談判をしたことで、<国連西サハラ人民投票>という国連和平案が再浮上してきました!
① 「どうしてこの問題(西サハラ紛争)に限って国連は秘密主義なのか?」:
国連事務総長は、世界の紛争地に自分の代理人とPKO国連平和維持軍を送り、現血作業をやらせている。西サハラ紛争に関しても、イタリアとスウェーデンの国籍を持つスタファン・デ・ミストラ元外交官を西サハラ国連人総長個人特使に任命し、MINURSO(ミヌルソ国連西サハラ個人特使)を当該地に送り込んでいる。1991年に国連安保理が<国連西サハラ人民投票>という解決策を提案し、モロッコと西サハラの紛争両当事者がこの案を呑んで停戦した。任期はいずれも1年で、期限切れ直前に安保理で年次報告がされ、また1年,延長され、次の年もまた1年、、、と、肝心の人民投票には手が付けられないまま、10月31日には32年になろうとしている。
「月曜日(9月11日)に、事務総長がポリサリオ戦線の指導者(ブラヒム・ガリ西サハラ難民大統領)と会談した。私の知る限り、デ・ミストラ国連特使は声明や見解を発表しなかった。なんでかな? ガリ氏は、国連に対して非常に批判的だったそうだ、、事務総長は何と答えたのか? デ・ミストラ特使は当該地を初めて訪れたとか? この会見場で、デ・ミストラ氏に会う機会があるのか?」と、9月14日の国連定例記者会見で記者の一人が聞いた。「会談の内容について、私は聞かされていない。デ・ミストラ特使会見は、本人に聞いてみる」と、国連事務総長報道官が答えた。
アルジャジーラTVのジェームズ記者が、「事務総長が、会議を開いたんだろ?なぜ秘密にしているのか?デ・ミストラがシリアの国連特使だった時、私たちに多くのことを話してくれた。ところが西サハラの任務では、一度も報道機関とのやりとりをしていない。なぜ国連はこの紛争だけを、完全な秘密に包んでしまうのか?」と、質した。報道官は、「:秘密に包まれているとは思わない。デ・ミストラは、メディアとの関わり方に精通している。私が今、言えるのは、彼はアルジェにいて、西サハラの政治プロセスに関しアルジェリアのアフメド・アッタフ外務大臣と有益な会談をしたということだ。その前は、ニューヨークにいて、ポリサリオ戦線事務総長のブラヒム・ガリと二者会談をした。西サハラに関する事務総長の安保理向け報告書に記載される」と答えた。
デ・ミストラ国連事務総長個人特使は、10月16日に安保理で年次報告をする。
② 「溺れる者は他人を巻き添えにする、、」ポーランド大統領:
ゼレンスキー・ウクライナ大統領閣下は9月19日の国連総会演説で、「一部のEU加盟国が偽りの連帯を示し、結局、ロシアを間接的に手助けしている」と批判した。一部とは、ポーランド、ハンガリー、スロバキア の3国を指し、3国の農家は、ウクライナ産穀物の輸入が自分たちの穀物価格を混乱させ、国内の市場をゆがめていると訴えて抗議集会を開いた。農民の悲痛な声を受けて、3国はウクライナ産農産物の輸入禁止を続けている。怒ったゼレンスキー閣下は、援助者であるこの3か国をWTO(世界貿易機関)に提訴した。ポーランド外務省は、駐ポーランドのウクライナ大使に「多国間会議でポーランドに圧力をかけたり、国際法廷に訴えを起こしたりすることは両国間の紛争を解決する適切な方法ではない」と抗議した。因みにWTOは「自由貿易の番人」とされるが、近年は逆向する保護主義的な動きなどにより、機能不全に陥っている。
シンコフスキ・ヴェル・センク・ポーランドEU担当大臣は、PAP通信のインタビューで、「我々はこれからもウクライナを支援していきたいと思っているが、そのためには国民の支持が必須だ。それがなければ、これまでやってきたようにウクライナを支援するのは難しくなる」と語り、ウクライナ側の独断的で強行な措置はポーランドとウクライナの関係に否定的な影響を与えると批判した。ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領は、国連総会の場でゼレンスキー大統領閣下との会談を予定していたが、直前で中止にされた。
ゼレンスキー閣下の一般討論演説後の記者会見でドゥダ・ポーランド大統領は、「溺れる者はとても危険だ。なぜなら他人を巻き添えにするからだ。救助者さえも溺れさせる」と語り、「厳しい状況にあるウクライナは、掴めるものには何にでも掴まろうとする、、だが、ポーランドは自らの国益を守るために行動する」と、断言した。また、「ウクライナは我々から支援を受け取っており、ポーランドがウクライナにとって経由国であることもよく覚えておくことだ」と、ゼレンスキー閣下の<ウクライナ・ファースト>主義を戒めた。
9月20日、ポーランドのモラウィエツキ首相は「ウクライナへの武器供与をやめる」と言った。最大の支援国だった隣国ポーランドを、ウクライナは溺れさせようとしている。
ニューヨークに夫人同伴で乗り込んだゼレンスキー閣下は、お客が少ない国連総会でロシアを悪魔、悪魔の連呼でこき下ろし、国連安保理でロシアの拒否権を剥奪しろと叫んだ。「もはや人類は、国家の主権を有する境界を守るために国連に期待できない」と、捨て台詞を吐いて、ホワイトハウスに飛んで行った。
そんな国連になんで、きたの?
③ 第78回国連総会一般討論演説で西サハラ支援発言が続出:
「西サハラの全人民は、安全保障理事会によって採択され、1991年に両当事者によって合意された国連和解計画に従って実施されるべき<自由で公正な人民投票>が、未だに行われていない、、我々は、<アフリカ最後の植民地>を一掃しなければならない」と、アブデルマジド・テブン・アルジェリア大統領は、2023年9月19日、第78回国連総会で演説した。そして、アルジェリア大統領は国連に向かって、国連自らの決定に対する信頼性と威信を維持するためにも、国連決議の実行という義務を果たすように強く求めた。まさに、西サハラ紛争は国連の試金石であり、「西サハラ人民の民族自決権行使となる<国連西サハラ人民投票>を組織しようと、紛争両当事者間の直接交渉再開をmセ座主国際的な努力に、アルジェリアは賛同する」と、繰り返した。さらにアルジェリア大統領は、解放のために闘う抑圧された人々、特に西サハラ人とパレスチナ人とを、確固たる信念を持って支持し続けていく」と、宣言し、パレスチナを国連総会の正式メンバーとして認めるための臨時総会を改めて呼びかけた。
第78回国連総会一般討論演説で西サハラとパレスチナ支援を宣言する
テブン・アルジェリア大統領
9月20日、ミゲル・ディアス・カネル・キューバ大統領は、第78回国連総会演説で、西サハラ人民の自決権と独立権に対する強い支持を改めて強調した。キューバ大統領は、「すべての人々の民族自決と正義の基本原則にキューバは深いかかわりを持ち続けている。特に、1975年以来、国家の独立と民族自決を達成するために奮闘してきた西サハラ人民への支援は不変だ」と語り、「西サハラ共和国領土の一部を占領するモロッコの撤退を求め、尊重の精神と国家間の建設的な対話を要求する」と、国連総会決議の尊重を促した。
9月20日、シリル・ラマポーザ 南アフリカ共和国大統領は、第78回国連総会演説で、国連が設立した原則を実現し、関連する総会決議に従って、西サハラ人民の民族自決権を認めることの重要性を強調し、西サハラ人民の自己決定と独立の権利に対する南アフリカ共和国の支持を繰り返した。そのうえでシリル・ラマポーザ大統領は、「アフリカ平和安全保障理事会が、アフリカ大陸における武力紛争を終わらせ、平和、安定及び発展を達成することを目的として、国連安全保障理事会との協力を強化する用意がある」と、強調した。
9月20日、西サハラ紛争を巡る<両当事者交渉>のオブザーバー国でもあるモーリタニアのモハメド・ワルド・シェイク・アルガズワニ大統領も第78回国連総会演説で、西サハラ人民の民族自決権を遵守する<国連和平交渉>を支持した。
西サハラ紛争を巡る国連和平交渉を支持する世界の首脳の第78回国連総会一般演説は、まだ続いています。
「国際法は弱い立場の国のためにあります。<人間の尊厳>を守り、強化するために、脆弱な国・人々が平和に生きる権利を「法の支配」をもって共に守りたいと思います」
岸田文雄内閣総理大臣殿による国連演説の一部です。
脆弱な西サハラの難民と被占領民を<法の支配>をもって守ってください!
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2023年9月23日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
〔opinion13255:230923〕