SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】548 不思議な王様ムハンマド六世

 フランスの代表的時事系週刊誌L’EXPRES(レクスプレス)が、<不思議な王様・ムハンマド六世>と題して、9月21日に特集記事を発表しました。 なぜ、王様はマラケシュ大地震の時、モロッコにおられなかったのか?  なぜ、王様は大地震の後、すぐにモロッコを出発されたのか?
 レクスプレスは、お洒落な展開で教えてくれます。 
 レクスプレスは1957年5月に創刊され、カミユやミッテランなども寄稿しています。

フランスの時事系週刊誌「L’EXPRESSレクスプレス」の2023年9月21日号の
表紙を飾るムハンマド6世モロッコ国王陛下

 
① 不思議でない王様の行動:
 2023年9月8日、マラケシュ地方が大地震に見舞われた時、モロッコの王様・ムハンマド六世は大好きなパリにいた。瓦礫の隙間から村人たちが助けを求めている時、モロッコ救助隊が即応できなかったのは、王様の帰国を待たなければならなかったからだ。帰国後の8月12日、王様は、マラケシュのムハンマド六世病院で被災者を見舞い、献血した。王様は夏の終わりは毎年アフリカのガボンで過ごしていたが、親友ボンゴ・ガボン大統領が9月4日にクーデターで倒れ、ファーストレデイ―・シルビア・ボンゴは汚職と横領で逮捕されたのでガボン行きを諦めた。王様は余震が続くモロッコからパリにとんぼ返りをした。
 パリの日常生活を取り戻した王様を「マレ地区の路地を彷徨い晩夏のパリを楽しみ、イスラエルの超正統派ラビゴールドバーグとカフェでお喋りをし、トリュフの店で品定めをし、ファナックセンターの廊下をウィンドウショッピングし、」と、レクスプレスが語る。
 かように、王様はフランスの首都パリとガボンの首都リーブルビルに棲んでいた。失業と物価高と貧乏に苦しむモロッコ庶民の姿から目を背け、フランスとモロッコの政治的膠着状態も無視して、「不思議な王様」は、パリの高級街で高級ブランド品を買い、最高級レストランでコメデイアンやラッパーや格闘家をはべらかし食事をする。1年の200日以上を海外で過ごし。殆どモロッコにいない。2,022年は4か月間もパリに長期逗留した。
 王様は、アフリカで5番目の、英国国王の10倍を超える大富豪だ。
 2018年に王様はヌイイのアンブロワーズ・バリ病院で心臓手術を受けた。その後、病後の治療や検査などで、王様はますます頻繁に長くパリに滞在するようになっていく。同じ頃、アブ・ズアイター3兄弟(アブー・バクル、オスマーン、オマル)と知り合い、王様はもっぱら3兄弟をはべらかし、サラマ王妃を離婚したことから、王様の同性愛嗜好が噂される。
 「2018年以来、アブ・ズアイター3兄弟は国王の関心を独占した。ムハンマドは気が散っているだけでなく、しばしば完全に痴呆。王様は旅行や休暇に行くのが大好きで、Zuaiteアブ・ズアイター3兄弟は個人的なトレーナーとして王様に同行した。3兄弟はビーチに不動産を所有し、軍用機で旅行し、宮殿から特別通行書を貰い、ガレージに行って好きな車を選べた」と、レクスプレスは語る。2019年に、モロッコ占領地・西サハラに関して王様を代行する幾つかの公式任務を貰った。3兄弟はイベントなどに王様代理として参加した。が、王様は、フランスにある豪邸の1つに滞在するほうを好んだ。
 王様不在のモロッコでは、誰が王国の業務を管理するかを巡って、政変が始まっている。
 ここまで馬鹿にされて、王様やモロッコ王室はレクスプレスを告訴しようとしない、、
 不思議だ!?  

② 王様ご不在のモロッコ地震対策や外交活動:
 <SOS FAKE NEWS(警告、フェークニュース 嘘情報)>。
 国王不在の大地震直後に、MAPモロッコ国営放送が発信したニュースは、SNSで流す地震情報の全面的否定記事だった。国王不在を狙う反政府運動の活発化を恐れ、地震対策に不満を抱く庶民の声を恐れ、モロッコに対する風評で外国観光客が減少するのを恐れた。

 9月22日にMAPが発信した<SOS FAKE NEWS(警告、嘘情報)>6点を紹介する。
 1- Alhayat Alyaoumia(ネット新聞)が流した地震生存者特集動画で、ある老人に
   「当局は何も助けてくれない。テントも知人が調達した」と語らせたが、嘘。
   テントは配布済。
 2- インフルエンサー(TikTukで活動)が「マラケシュのムハンマド六世大学病院
   被災者は薬を自分で調達しろとの王令」と報じたが、嘘。医薬品は十分ある。
 3-―ウェブ上で共有されたビデオが「地震の数日後に国立電力飲料水局は家庭電気を停止し
   メーターを切断した」と、流したが、嘘。電気は回復しメーターは稼働中。
 4- 地震災害から数時間後に孤立した一部の村は、ずっと支援を受けていないと、
   ビデオとオーディオメッセージがウェブ上で中継中だが、嘘。この地域に援助は
   行き渡ってる。
 5- ソーシャルメディアに投稿されたビデオは、救助支援活動の調整不備を批難しあう
   地方役人と   政府担当者の喧嘩を見せたが、嘘。救助者たちは仲良くやってる。
 6--ソーシャルネットワークによる「共同治安機関は、緊急に、被災地と関係のない
   全ての訪問者の立ち入り禁止」との投稿は、嘘。通行止めは発令されていない。

 MAPモロッコ国営通信は、他の地震情報を全て打ち消し、観光イベント王国の体裁を取り繕った。かくして、余震が続くマラケシュで、2023年国際通貨基金と世銀の年次総会が10月9日から15日まで開催されることになった。9月28日、MAPは「国際通貨基金の理事会が、モロッコへの13億ドル(約1942億円)の資金調達を承認」と伝えた。
 第78回国連総会一般演説で、モロッコはアジズ・アハヌッシュ首相にモロッコ国王の意向を代読させた。国王自らが選んだ親友で大富豪のアハヌッシュ首相は、サアディ・ディン・エル・オットマニ前首相に代わって、2021年9月13日からモロッコ政府を率いている。演説の中でアハヌッシュ首相(=ムハンマド六世)は、国連指導の西サハラ協議を承認した。
 上川陽子外務大臣が、日本政府からの4憶4千万円モロッコ大地震義援金を発表した。他の国や国際団体からも多額の義援金が渡っているはずだ。が、よ~く注意して聞いていたが、アハヌッシュ首相の演説の中に義援金に関する謝辞は一言もなかった。不思議だ?!

③ 態度がデッカイ、モロッコ国連大使:
 モロッコは国際舞台で、自分の思い通りにいかないと、脅したり席を蹴飛ばしたり、あらゆる実力行使を動員してごねてきた。卑近な例では、TICADに西サハラを参加させまいと、主催国に対し国交断絶などをちらつかせ妨害してきた。時には会場の入り口でトオセンボまでする。モロッコ式恫喝外交が失敗すると、空港での出迎え方が悪いとか、外交儀礼を知らないとか、お下品だとか、、難癖をつけて退散していく、、あんたたちでしょ、無礼者は!
 無礼者の最たる輩、オマル・モロッコ国連大使は、各国首脳の演説が続いた第78国連総会ハイレベルウィークの最終日に、突然、観客席でわめきだした。オマル・モロッコ国連大使は、「王国はモロッコサハラ(モロッコの西サハラ呼称)にこれまで100憶ドルをつぎ込んできた、、この地は世界経済のハブになる」と、モロッコ占領地・西サハラ開発を、まず、自慢した。そして、同じく観客席にいたアンマール・ベン・ジャマ・アルジェリア国連大使に向かって、「テロリスト武装集団をチンドゥーフ・キャンプで匿うのはやめろ!」と、口汚く罵った。さらに、「アルジェリアはチンドゥーフ難民キャンプの人口調査をせず、難民に給付される食糧をネコババしている、、何度も言ったろう!我々が提唱しているラウンドテーブルに、直接の紛争仕掛け人として出てこい!!」と、アルジェリア国連大使を犯罪者呼ばわりした。
 無礼極まりないオマル・モロッコ国連大使の暴言に、答弁権を行使して反論したベン・ジャマ・アルジェリア国連大使は、「西サハラの問題は国連により脱植民地化の問題として取り組まれている。その法的根拠となる国連決議1514が完全に実現し、その領土からの脱植民地化プロセスが完了するまで、闘いは続けられる」と、オマルモロッコ大使の悪口雑言を切り捨てた。さらに、「国連による救済と独立の付与に関する決議1514の適用を、西サハラ人民は約半世紀にわたり待っている。国連は、西サハラの民族自決に関する人民投票のための国連ミッション(MINURSO)を再稼働することによって、国際法を適用すべきだ!早急に、、」と、結んだ。
 アンマール・ベン・ジャマ・アルジェリア国連大使は、2001年から2005年まで駐日アルジェリア大使を務めていた。

 アジズ・アハヌッシュ・モロッコ首相のカタカナ表記が不明解だったので、外務省が出しているモロッコ情報を検索してみました。 すると首相名が<サアディ・デイン・エル・オットマニ>になっているのです。 オットマニ氏は、2019年に首相を辞任しています。 
  あの、モニタリングに長けたモロッコ外交官が、付け込んでこないのはなぜ?
 一番の不思議です、、

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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861

同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。

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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU

Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa]  英語版URL:   https://youtu.be/au5p6mxvheo

WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十  2023年9月30日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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