SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】552 ハマスはテロ組織ではない

 「何もない状況で急に起こったわけではない。パレスチナの人々は56年間、息のつまる占領下に置かれてきた。自分たちの土地を入植によって少しずつ失い、暴力に苦しんできた。経済は抑圧されてきた。人々は家を追われ、破壊されてきた。そうした苦境を政治的に解決することへの希望は消えつつある」と、アントニオ・グテーレス国連事務総長が、2023年10月24日の国連安保理ガザ戦争協議開催で、納得のいく演説をしました。
 56年前、1967年の<国連安保理決議242>が演説の根幹に流れています。

① ひるまないで!アントニオ・グテーレス国連事務蘇張:
 グテーレス国連事務総長が歴史的事実を引用し、イスラエルに即時停戦を促したが、イスラエルは停戦を考慮するどころか、翌日の25日に国連安保理会議場前でのステークアウト記者会見を開き、エルダン・イスラエル国連大使はグテーレス氏に国連事務総長からの辞任を迫り、コーヘン・イスラエル外務大臣は予定されていたグテーレス氏との会談をキャンセルし、国連職員のイスラエル・ビザ発行を中止すると脅した。「私があたかもハマスによるテロ行為を正当化しているかのように受け止められている。が、それは間違いであり、全く逆だ」と、グテーレス氏は記者発表した。釈明することなどないヨ、総長さん。
 そして執念深いイスラエルは、再び国連事務総長の退陣と発言に対する謝罪を求めた。
 イスラエルのガザ攻撃を全面支援するバイデン米大統領は、7月8日に「ハマスとロシアに勝たせるわけにはいかない」と、ネタニヤフを体面で煽り、7月23日には「イスラエルとウクライナを放棄することは、価値がない」と、ややトーンダウンした。二兎を追うものはだよ、10月25日の記者会見では、「ハマスはパレスチナ人を代表していない」と言い、パレスチナ人犠牲者数を聞く記者の質問に「死者の数は知らない」と、答えた。
 同じ日の10月25日にネタニヤフ・イスラエル首相はテレビ演説で、「我々はすでに数千人のテロリストを殺害したが、これは始まりに過ぎない」と述べた。「同時に地上侵攻の準備も進めている。いつ、どのように、何人態勢でということについては詳しくは述べない」と、語った、
 その日10月25日の夜、ネタニヤフは、ガザ北部に待機させていた数万人部隊の一部をガザに電撃侵攻させた。イスラエル軍の地上侵攻は翌26日の未明まで続いた。イスラエル軍は「次の戦闘準備として、戦車を使い、目標を絞った急襲を行った」と発表した。イスラエルは26日もガザ空爆を続行。ガザの保健省は同日、ガザの死者が前日から約500人増え、計7000人を超えたと発表した。2900人以上が子供だ。イスラエル側の死者は約1400人で変わりなし。10月26日の国連安保理国連安保理では、米国が提出した<一時停戦>案が露中の拒否権発動によって否決された。サウジアラビア、アラブ首長国連邦、エジプト、カタールなどアラブ9カ国の外務省は26日、「いかなる側からの民間人への暴力も非難する」などとする共同声明を出し、即時停戦を求める決議案を国連総会に提出した。10月27日に国連総会は<即時停戦>を、賛成110、アメリカなど反対15、棄権44で可決された。EUでも人道休戦が採択され、決定した。  

② 「ガザ住民全員攻撃対象」ガラント・イスラエル国防大臣:
 「イスラエルは、テロリスト・ハマスを殺しているので、一般住民に手出しはしてない」と、コーヘン・イスラエル外務大臣は7月25日の記者会見で明言したが、嘘だ。ネタニヤフ首相も認める数千人の死者は女性、子供、老人、病人、その他、ガザの住民だ。ガラント・イスラエル国防大臣が、「ガザ住民全員が攻撃対象」と、地上侵攻部隊を前に撃を飛ばしている。ガラントは1958年11月8日にポーランド系ユダヤ人移民の子として生まれた。母はホロコーストを生き延びた活動家で、子供のころから反ナチ運動の薫陶を受けてきた硬派のシオニストだ。ナチのホロコーストには、パレスチナ人も眉をひそめる。が、パレスチナ人はホロコーストをやったわけではないのに、「ガザの住民は動物と思え!」とか「」とか,、、お門違いのヘイトスピーチは人種偏見で人権侵害だ。
 「自身と家族の安全を願うなら、ガザ北部の住民は110万人は南部に逃げろ、北部は掃討する」と、10月8日にイスラエル軍はアラビア語のビラを撒き、多数の北部住民が南部に逃げた。しかし、イスラエル軍はそれを狙って、南部も空爆した。必要とする4%にも満たない水、食糧はやっと検問所を通過したが、イスラエル軍が電気を止めたまで、しかも自家発電の燃料も止めているので、殆どの病院が停電!保育器に入れられた未熟児血が死んでいく!!
 南部に逃げてきた北部のガザ住民は南部の惨状を目の当たりにして、北部へ、我が家へ、帰り始めた。その人々の頭上に、イスラエル軍のアラビア語のビラが降り注ぐ。
 「もしあなたが平和に暮らし、子どもにより良い未来を与えたいなら、付近で拘束されている人質に関する確かで貴重な情報を提供してほしい」と書かれている。また、「イスラエル軍は、あなたとあなたの家の安全のため、最大限の努力をすると保証するし、金銭的な報酬も支払う。完全な秘密保持も保証する」としているが、南に逃げろと南に集結して、南北まとめて虐殺するイスラエル軍のいう事など。信じるパレスチナ人などいない。これまでもイスラエルが寝返りさせたパレスチナ人を、そのイスラエル人自身の手で抹殺してきた。筆者はその例をたくさん知っている。
 

ガザの地下トンネル破壊作戦と称して、イスラエル軍はバンカーバスター
(地中貫通爆弾)を乱発した、アルアハリ病院もその標的になった

 
③ ハナン・アシュラウィ元PLO和平交渉団メンバー兼スポークスウ-マン:
 イスラエルが地上侵攻を開始し、バイデン大統領が「ハマスはテロリストとかガサ住死者の数など知らない」と、記者会見で発言したのを受けて、ハナン・アシュラウィPLO執行委員で緊急スポークスウーマンは、ヨルダン川西岸ラマラからTV-Democracy Now(デモクラシーナオ)にビデオ出演した。
 1967年の第4次中東戦争に勝ったイスラエルは、パレスチナ人をヨルダン川西岸とガザに引き離して押し込めた。その後、PLO暫定政府がヨルダン川西岸に誕生し、ラマラに拠点を置いた。ハマス(パレスチナ抵抗運動)は2006年1月のパレスチナ評議会選挙で132議席のうち74を獲得し、第一党になった。が、アッバス・パレスチナ大統領は翌年にハニヤ首相が率いるハマス内閣を追放し、ガザに帰ったハマスはガザ市民の賛同を得て実効支配をするようになった。
 イスラエル地上侵攻に対してアシュラウィ女史は、「イスラエル軍は空爆によるバンカーバスター(地中貫通爆弾)で北部ガザを壊滅し、地上侵攻で瓦礫に埋まったガザ市民もろとも、戦車で次の大侵攻のために地ならしをした。人間のやることじゃない!ここラマラにもイスラエル軍は攻撃を開始し、これまでに115人を殺した。イスラエル軍が不法に逮捕した数を1500人以上になる。即時に残虐な侵攻を止めろ!!」と、訴えた。
 「バイデン米大統領はハマスがテロリストと、ネタニヤフの嘘をそのまま利用している。ハマスはパレスチナ人の30%を占めるガザ市民から民主的に選ばれた政治組織であって、テロリストではない。ハマスは、行政、商売、食糧、教育、医療、スポーツ、文化、宗教、、と、あらゆる分野でガザ市民を支えている。
 バイデン大統領、あんたはガザに来て、自分の目で自分が壊した酷い現実を見るべきだ。
 植民地主義者の意識で占領者を見下すのは止めろ!!」と、声を詰まらせながらバイデンに食って掛かった。そして視聴者には、「ゴメンネ、、興奮して」と、謝った。

 ハマスはテロリスト組織ではありません。
 10月25日、エルドアン・トルコ大統領が、「パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスに対するイスラエルの<残虐な攻撃>は容認できない。予定していたイスラエル訪問を中止する。ハマスはテロ組織ではなく、パレスチナ人の土地のために戦う<解放者>だ」と、表明しました。
 
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861

同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
 
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU

Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa]  英語版URL:   https://youtu.be/au5p6mxvheo
 
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十  2023年10月28日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
 
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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