アメリカが幇助、というよりアメリカ主犯の、イスラエルによるパレスチナ人ジェノサイド(民族大虐殺)は、年が明けてもおさまらず、元旦も、イスラエルは156人のガザ市民を爆撃で殺しました。 2023年10月7日にガザ戦争が始まって1月5日までに、イスラエルは22,600人のガザ市民を殺しました。 2023年12月30日の記者会見でネタニヤフ・イスラエル軍事政権首相は殺害数を質され、「ハマスの出す数字は信用していない、、イスラエルは8,000人以上のハマス戦闘員を殺害した」と、嘯きました。 8,800人以上という数字は、イスラエルが殺した子供の数です。
一方、バイデン・アメリカ大統領は、ネタニヤフの言う通りと、頷いています。
① 南アフリカがイズラエルをICJに訴えた。が、:
南アフリカは2023年12月29日、イスラエルがパレスチナ自治区ガザで民間人に対するジェノサイド(集団殺害)を行っているとして、ICJ(国際司法裁判所、オランダ・ハーグ)に提訴した。南アは訴状で、イスラエルのガザ民間人攻撃は、特定の人種や民族などの構成員を殺害したり、危害を加えたりすることを禁じたジェノサイド条約に違反すると主張。「さらに重大かつ取り返しのつかない損害からパレスチナ人の権利を守る」ために、ICJに対しイスラエルに軍事作戦の即時停止を命じるよう求めた。
2023年12月31日の閣議でネタニヤフは、「われわれは自衛のための戦争を継続する。その正義と道徳は比類のないものだ。虐殺を行っているのはハマスだ」と居直り、南アフリカによる、イスラエルが犯した<ジェノサイド>に対するICJへの提訴に大反発した。
IDF(イスラエル国防軍)報道官のダニエル・ハガリ少将は新年メッセージで、ガザでのイスラム組織ハマスとの戦闘は、2024年いっぱい続くと予想した。そして、長期戦に備え作戦をピンポイントに絞り、部隊の配置を調整すると、言及した。
極右政党「宗教シオニズム」党首のベツァレル・スモトリッチ戦争内閣財務相は、12月31日、ガザの戦後について、ユダヤ人にガザへの再入植を呼びかけた。2005年までガザにもイスラエル植民地があったが、費用が掛かりすぎるとイスラエルが勝手に撤去した。
パレスチナ被占領地での入植活動は、イスラエルの承認の有無にかかわらず、国際法違反と見なされる。
スモトリッチ氏はまた、ガザで暮らす約240万人のパレスチナ人に対し、他国への移住を「奨励」すべきだと主張した。さらに1月1日、超国家主義政党「ユダヤの力」の会合でベングビール党首は、パレスチナ人の退去とユダヤ人の再入植は「公正かつ正当、道徳的、人道的な解決策だ」と主張し、「ガザ住民の世界各国への移住を奨励するプロジェクトを展開する好機だ」と。強調した。コンゴ民主共和国、ルワンダ、チャドなどが移住先候補だそうだ。
モロッコ占領地・西サハラがガザ住民移住先の一つに挙げられているのは、容易に想像できる。2019年12月、ユダヤ教アメリカ人でトランプ米大統領(当時)の娘婿クシュナーがモロッコに、アラブの掟を破るイスラエルとの国交正常化と引き換えに西サハラのモロッコ領有権承認を与えた。イスラエルはモロッコの中枢部に侵入し、弱みを握っている。
② レバノンが安保理にイズラエルを訴えた:
IDI(イスラエル民主主義研究所)が最近実施して発表した世論調査の結果で、回答者の15%しかネタニヤフの続投を望んでいないことが、判明した。人質家族の即時釈放を求め声が、日に日に悲壮感を帯びてきても、ネタニヤフはハマスとの人質交渉を再開しようとしない。それどころか、仲介役を務めていたモサド(イスラエル諜報特務庁)に帰国命令を出し、モサド本来の任務である情報収集、暗殺を含む秘密工作に専念させることにした。かくして、水を得た魚は、レバノンやイランに侵入し、闇の世界で泳ぎ回っている。
2024年1月2日、イスラエルはレバノンの首都ベイルート郊外のダヒエにあるイスラム教シーア派組織ヒズボラの拠点を小型無人機(ドローン)で攻撃した。この攻撃で、ハマス幹部のサレハ・アルーリ氏を含む6人が、殺された。イスラエルのネタニヤフ首相の上級顧問を務めるマーク・レゲブ氏はMSNBC(米ニュース専門放送局)に、イスラエルにはこの攻撃の責任がないと惚け、「誰が攻撃したにせよ、これは国家としてのレバノンに対する攻撃ではない」とし、「誰が実施したとしても、これはハマス指導部に対する攻撃だ」と述べた。米国は昨年、アルーリ氏に関する情報提供に500万ドルの報酬を支払うと表明していた。
1月3日は、米軍の攻撃で2020年にイラクで殺害されたガセム・スレイマニ・イラン革命防衛隊隊長の命日だった。イラン国営テレビによると、数千人が集まった追悼式会場の墓地から700メートルの場所で1回目、約13分後に1キロ離れた場所で2回目の爆発が起きたという。少なくとも103人が死亡、188人が負傷した。12月30日にネタニヤフ首相が自ら、「イランは悪の枢軸を率い、我々への侵略を行っている、、我々は常に、どこでも、あらゆる方法でイランに対し行動する」と、挑発テロの予告をしていた。
レバノンのミカティ首相はイスラエルによる全ての「レバノンの主権侵害」に対し、国連安全保障理事会に訴える」と、声明を出した。ハマスやヒズボラを支援するイランの外務省報道官は「パレスチナだけでなく、この地域、そして自由を求める世界中の全ての人々の間で、シオニスト占領者と戦う動機に再び火をつけた」と述べた。
③ 2024年の安保理オープン:
2023年1月3日、フランス国連大使が1月議長を務め国連安保理がオープンした。
前日の1月2日、新安保理非常任理事国、アルジェリア、韓国、ガイアナ、シェラレオネ、スロベニアの5か国を紹介する記者発表が開かれた。その中で、アマル・ベンジャマ・アルジェリア国連大使は、「パレスチナ人の苦境は、われわれアルジェリア国連代表団にとって、最大の課題だ。われわれは、ガザ戦争の即時停戦と、エルサレムを首都とするパレスチナ独立国家を、絶対に諦めない」と、パレスチナ支持を表明した。さらに大使は「アラブとアフリカ諸国の声に耳を傾けながら、占領下で苦しむパレスチナと西サハラの人々に、我々は寄り添って国連活動をしていく」と、強調した。アマル・ベンジャマ氏は、2001年から2005年まで、駐日アルジェリア大使を務めていた。
2024年1月2日、国連安保理会議場の前でアルジェリア国旗
を示すアマル・ベンジャマ・アルジェリア国連大使
1月3日のアラブメデイア各社は、アルジェリアの国連安保理非常任理事国入りを取り上げ、「新安保理メンバー国アルジェリアは、国連安保理が行き詰っているパレスチナと西サハラ問題解決に、風穴を開けることができるのでは」と、大いに期待している。,
1月3日の初・国連定例記者会見で、報道官助手が事務総長の年頭初の声明として、「100人以上の追悼式参加者を殺し、さらに多くの負傷者を出した攻撃を、最も強い言葉で非難する。犯人は相応の責任を取ることになる」と、イランでの追悼式テロを非難した。
同記者会見で、「今日(1月3日)イスラエル財務大臣がガザ住民に、ガザを去ることを繰り返し命じたが、事務総長の見解は?」と、数人の記者が質したのに対し、「基本的に我々は、強制排除ということに反対だ。パレスチナ人は、ガザ住民は、安全に自宅に戻る権利がある」と、報道官助手が答えた。
イスラエルは、ジェノサイド(大虐殺)に加え、民族強制排除や民族浄化という国際法違反を犯そうとしている。イスラエルのガザ住民強制移動は、明らかに、ICJ(国際司法裁判所)の起訴対象になる。イスラエルはどこまで罪を重ねるつもりなのか?
イスラエルを擁護するアメリカ国務省ミラー報道官も、さすがに、イスラエルの留まるところを知らない大暴走ぶりに、1月2日、ガザ地区からのパレスチナ人の移住推進などを主張した、イスラエル閣僚2人の発言を<扇動的で無責任>と批判し、「米国は拒絶する」と表明した。
2024年の国連安全保障理事会は、5常任理事国(米露中仏英)と、10非常任理事国(日本、モザンビーク、エクアドル、スイス、マルタ、韓国、アルジェリア、スロベニア、ガイアナ、シェラレオネ)で、運営されます。
ウクライナ戦争やガザ戦争などでは、5か国常任理事国のうちの大国一か国が拒否権を使うため、安保理は機能しませんでした。
しかし、西サハラ紛争に関して、アメリカもロシアも、国連和平交渉を支持しています。
2024年の安保理ではアルジェリアという強い助けを得て、西サハラに<チャンス>が訪れるかも??
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2024年1月6日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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