イスラエル軍の破壊行為と占領を描いたドキュメンタリー映画No other land(故郷は他にない)は、2024年のベルリン映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞を獲得しました。 パレスチナとイスラエルの青年による合作という背景が評判を呼び、ガザ戦争が続く2025年3月3日、第97回アカデミー・ドキュメンタリー賞も受賞しました。
ただし、作品はガザ戦争勃発以前に作られていて、ガザの地獄は出てきません。 来年のアカデミー賞も、いただきですね!

[No other land (故郷は他にない)]のポスター。左がパレスチナ映像作家バーセル・アドラ
① No other land故郷は他にない:
バーセル・アドラは若いパレスチナ人映像作家で、祖国をイスラエルから開放しようとする活動家でもある。彼が生まれ育ち住む、イスラエル占領下のヨルダン川西岸ヘブロンにあるマサフェル・ヤッター地域の人々は、常にイスラエル占領軍の銃で脅かされながら戦後80年を生きてきた。ヘブロンには最大のイスラエル入植地・キリヤット・アルバに加え、町の中心にもイスラエル入植地がある。旧市街にはイーブラヒム・モスク(アブラハム・モスク)が、イスラム教とユダヤ教のご先祖を祭っている。トランプとネタニヤフの中東和平案<アブラハム合意>の由来になっている礼拝所だ。が、へブロンの人々は残虐極まりないイスラエルに屈することはなかった。
そんな抵抗の町ヘブロンに育ったバーセルは、イスラエル軍によるパレスチナ人の強制移動に子供の頃から反発してきた。彼は、イスラエル兵が家屋を取り壊し住民を立ち退かせ、故郷が徐々に破壊されていく様子を20年以上に渡って撮影記録してきた。その間、イスラエル軍はバーセルの自宅に2度突入し、コンピューターやカメラを没収していった。
バーセルに協力しようと、平和活動家でジャーナリストのイスラエル人ユヴァル・アブラハムがヘブロンにやってきた。彼ら2人に加え、他の2名の映像作家兼活動家たちも製作に参加し、2023年10月まで4年間をかけて90分のドキュメンタリー映画を完成させた。
ベルリン国際映画祭で2024年2月16日にワールドプレミア上映され、最優秀ドキュメンタリー映画賞を獲得した。「イスラエル人とパレスチナ人が、抑圧する側とされる側ではなく、本当の平等の中で生きる道を問いかけたい」と、彼らは語った、が、,イスラエルン軍による恐ろしいガザ・ジェノサイドは、今も続いている、、
② アラブ連盟緊急首脳会議:
トランプ米大統領は2月、アメリカがガザを所有し、ガザ住民を域外に移住させ、ガザを中東のリビエラにする構想を提案した。「域外に移住したパレスチナ人には、エジプトやヨルダンなどでより良い住居が与えられ、ガザへ戻る権利はないだろう」と、言及した。
トランプ・ガザ構想に反撥したアラブ連盟は、3月4日、エジプト・カイロで緊急首脳会議を開き、総額530億ドル(約7兆9500億円)を投じるガザ再建計画を採択した。アラブ連盟のガザ再建計画は、3段階からなる。第1段階は約6カ月間続き、30億ドルを投じて数百万トンのがれきや不発弾を撤去する。第2段階は2年続き、200億ドルをかけて住宅や公共施設を再建する。第3段階では、さらに2年かけて、空港や二つの港、工業地帯をつくり、これには300億ドルが投じられる。
「パレスチナ人のいかなる形の移住も断固拒否する」とし、そのような考えは「重大な国際法違反であり、人道に対する犯罪かつ民族浄化だ」と、アラブ連盟は声明で強調した。
この計画では、ガザは「パレスチナ自治政府に守られたガザ管理委員会」によって一時的に管理されることになる。同委員会は有能なテクノクラートで構成される。
ハマスは、「我々の民族を移住させようとする試みを拒否するアラブ諸国の立場」を評価した。アメリカとイスラエルは5日、アラブ連盟が前日に採択した、パレスチナ・ガザ地区の再建計画を受け入れないと発表した。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ハマスやパレスチナ自治政府が将来、ガザで役割を担う可能性を懸念している。
3月4日夜、トランプ米大統領は連邦の上下両院議会で施政方針演説を行い、イスラエル支援を強調する一方で、2月28日に論闘したウクライナのゼレンスキーからトランプ和平交渉を受諾する書簡がきたことを、得意げに明かした。
③ マクロン仏大統領が欧州の核拡散煽る:
2月24日、トランプ騙しに失敗、3月3日、ウクライナ支援有志連合軍結成に失敗、3月4日、ゼレンスキーに書かせた詫び状に付け足したマクロンの1か月間停戦案も無視され、3月5日、ゼレンスキーとスターマー首相を御供に企んだ訪米も実現せず、3月6日、フォンデアライエンEU委員長に、ヨーロッパの防衛力強化のため、最大で8000億ユーロ、日本円125兆円規模の資金の投入を目指す計画を発表させたが、いまいち関係諸国は乗らず、、マクロンの企みはことごとく失敗している。
マクロン計略は、全てアメリカが金を出すのが大前提で、ケチなマクロンに身銭を切る積りも、自ら汗をかく積りもまったくない。ドサクサに紛れてヨーロッパを制覇したいという<ナポレオン風強欲>だけが露わになってきた。
ついに3月6日、マクロン仏大統領は国民に向けたTV演説で「自国の核抑止力で欧州の同盟国を防衛する」と、ヨーロッパで核の傘を広げるという、禁じ手を打ってきた。フランスとウクライナ抜きで和平を進めるアメリカとロシアを脅かす積りらしい。折しも、国連中心で核拡散禁止運動を繰り広げていた日本の被団協が、反撥した。アルジェリアのフランス核実験犠牲者の会も猛反発した。が、被爆犠牲者の声はマクロンに届かない。
マクロンは「私は植民地時代を知らない世代だ」と、豪語してきた。そんなマクロンにイスラエル占領下で80年間も悲惨な生活を送ってきたパレスチナ人の{No other land故郷は他にない}という声は届かない。
そんなマクロンに、植民地支配を脱却し、半世紀以上も独立を目指して厳しい難民生活を耐え忍んでいる西サハラ難民の姿は見えない。それどころか、メストラレット仏開発庁長官をモロッコ派遣し、トランプ・ガザ構想ばりのマクロン・サハラ構想を発表させた。
メストラレットはモロッコのニザール・バラカ装備水大臣との会議後に記者会見し、「モロッコ南部サハラでの強く安定した風、素晴らしい日差し、利用可能な土地、よく構造化された行政および閣僚組織、水素供給、およびヨーロッパへの近さという利点を考えると、当該地は、ヨーロッパの主要なエネルギーパートナーとして位置付けられている。」と強調し、「この会議は、フランスのエマニュエル・マクロン大統領がモロッコを公式訪問した際にモロッコとフランスの間で締結されたエネルギー協力協定の一環で、駐ラバト・フランス大使のクリストフ・ルクルティエ氏やフランスの送電網事業者グザヴィエ・ピエチャチク氏の取締役会会長も参加した」と、付け加えた。
マクロンの西サハラ乗っ取り計画は、着々と進行中だ
[No other land (故郷は他にない)]は、パレスチナの人々だけではなく、西サハラの人々の叫びでもあります。
「やり直すのは、今からでも遅くない」とは、このドキュメンタリーを共同制作したイスラエル人ジャーナリストのコメントです。 もう十分、遅い気もしますが、、
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。 著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、 定価:本体1,800円+税、 発行人:松田健二、 発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。 「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc 「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。 「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo 「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2025年3月8日 SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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