SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】625 戦時法の適正外国人法って何?

 「ガザ戦争もウクライナ戦争もすぐに止めさせて見せる」と、トランプ氏は豪語して、第47代アメリカ大統領になりました。 イスラエルの残酷なジェノサイド(大虐殺)に打ちのめされたガザの人々は、藁をもすがる思いでトランプ氏の停戦を待ったのです。
 が、ガザ停戦もウクライナ停戦も、トランプ米大統領の無理が通らなかったようです。
 その一方、ベネズエラ人の追放を画策していたトランプは、戦時法を無理に発令し、数百人のベネズエラ人を国外強制追放しました。

①ガザ・ジェノサイドを扇動するトランプ米大統領:
 2025年3月19日の国連定例記者会見で副報道官が、「事務総長は、ガザにあるデイル・アル・バラの2つの国連ゲストハウスが攻撃を受け、UNOPS(国連プロジェクト・サービス事務所)の職員が死亡したことを知り、深く悲しみ、ショックを受けた。他に5人の国連要員が重傷を負った、、2023年10月7日以降にガザで殺された国連職員の数は少なくとも280(正確には288)人」と、報告した。が、この日までイスラエルに殺された48,577+710人ガザ市民の数には触れなかった。3月18日に再開されたイスラエルの猛爆は19日も続き、BBC英国TVなどによると、710人のガザ住民が殺された。「人道支援物資とその他すべての物資が通過するイスラエル検問所の閉鎖は、現在18日目に入った。ガザは食料、医薬品、燃料、調理用ガスに対して完全に封鎖されている」と、副報道官はイスラエルの兵糧攻めを報じた。
 17日、米FOXニュースの番組に出演したホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官は、「トランプ政権は、今夜のガザ攻撃についてイスラエルから事前通告を受け、協議を行った」と、明かした。 さらに「トランプ米大統領が明言しているように、ハマス、フーシ派、イランなど、イスラエルだけでなく米国をも脅かそうとする者は、その代償を払うことになる。地獄の門が開くだろう」と、ケロッと言った。
 ネタニヤフ・イスラエル首相は18日夜、「ガザへの戦闘を全面的に再開した」とするビデオ声明を出した。「これは始まりにすぎない」と凄んだ。ネタニヤフは近々に訪米する。
3月17日から、国連記者会見室の常連だったVOA(ボイス・オブ・アメリカ)のマギー記者が姿を見せなくなった。原因はトランプ米大統領が3月15日に VOA(ボイス・オブ・アメリカ)への助成金を停止したためだ。1,300人に上る全スタッフには休職が通知され、事実上、機能停止になってしまったのだ。政府系報道機関VOA(ボイス・オブ・アメリカ)は80年以上の歴史を持ち、約50言語でニュースを発信する米政府系の国際メディアなのだが、、
 トランプ米大統領は14日、VOAのほかにラジオ・フリー・アジア(RFA)、ラジオ・フリー・ヨーロッパ/ラジオ・リバティー(RFE/RL)も、助成金停止の大統領令に署名した。
 かくして、トランプはメデイア戦争に火をつけた。

②「エネルギーインフラ攻撃停止に成功」のトランプ発言直後から双方が攻撃再開!:
 「エネルギーとインフラへの攻撃を停止することにプーチン露大統領が合意した」と、プーチン露大統領との4時間(?)電話会談後にトランプ米大統領は自画自賛した。「エネルギーとインフラへの攻撃停止にゼレンスキーも賛同した」と、ゼレンスキーとの2時間(?)電話会談を自慢した。
 が、トランプが電話会談を自慢したその日3月18日、ロシアとウクライナの双方は、互いのインフラを標的とした空爆を実施した。ゼレンスキーは、ロシアの標的には複数の病院が含まれていると非難した。ロシアが40機以上のドローン(無人機)をウクライナに飛ばしたとした。ロシア国防軍が、「ロシアの対空防衛システムは3月20日でウクライナ軍の米国製誘導爆弾JDAM 5発と、米国製M142 高機動ロケット砲システム「ハイマース」のロケット弾1発とドローン225機を撃墜。ウクライナ兵1320 人が戦死」と、発表した。ゼレンスキーは20日、ブリュッセルで開かれたEU首脳会議でビデオ演説し、砲弾の購入資金として、少なくとも50億ユーロ(8,073憶円)をくれと請求した。
 トランプのウクライナ捕虜の命乞いを電話対談で受けたプーチンは、「ウクライナ軍や外国人傭兵はテロリストであり、全員を特定し処罰する必要がある、、クルスク州の民間人に対する犯罪の命令を出し関与したものは全員身元が特定され、相応の罰を受ける」と表明した。
 3月21日、ユーリ・ウシャコフ露大統領補佐官は、3月24日のサウジアラビア・リヤド米露協議にグリゴリー・カラシン上院議員と連邦保安庁セルゲイ・ベセダ長官顧問を派遣すると発表した。議題は、黒海における<安全航行のイニシアチブ>の実現だそうだ。
 日露の漁業協議でも、2025年の日本の200海里水域における日本漁船のサケ・マス漁獲量について両国は合意した。日本の水産庁によると、カラフトマス、ベニザケ、ギンザケなどの漁獲量は昨年と同じ計2050トン。日本がロシアに支払う額も1億8000万円から3億円と、2024年の水準を維持する。ロシアはせっせと商売に励んでいます。

③アメリカは戦時体制だから米軍最高司令官・トランプに一番の指揮権あり(?):
 トランプ大統領は15日から16日にかけて、戦時中に敵国の出身者などを裁判所の手続きなしに拘束・追放でき、先の大戦では日本などからの移民を拘束するのに使われた「敵性外国人法」を適応し、数百人のベネズエラ人受け入れに合意した中米エルサルバドルへ追放した。トランプ米大統領が<バッド・グループ>とレッテルを貼り国外強制追放した対象者の中には、アメリカ人や学生など、ベネズエラと関係のない人々もいた。

      トランプ米大統領に「バッド・グループ」とレッテルを貼られ強制収監された、 エル・サルバドルの巨大刑務所


 首都ワシントンの連邦地裁判事は15日夜、戦時法は適用できないとし、対象者の送還を一時差し止める命令を出した。判事が命令を出した時刻と、メンバーを乗せた飛行機が米国領空を出た時刻との前後関係を巡り、「命令無視」に当たるかどうかの裁判戦争が始まった。ホワイトハウスのレビット報道官は17日、連邦地裁の命令が出る前に、強制送還のための航空機は出発していたなどと、釈明した。
 戦時権限に関して、第47代大統領ドナルド・トランプの大統領次席補佐官のステイ―ブン・ミラーは、CNNテレビのケイシー・ハントに、「戦時中だから<適正外国人法>を適用できるんだ!」と、喧嘩腰で対応した。「ワシントン地裁の判事が大統領令の撤回を命じたが、、」とケイシーが反論したが、「戦時中は、米軍最高司令官の米大統領の指揮権が裁判所の上にある」と、怒鳴った。
 ユダヤ人家庭に育ったミラー(1965年生まれ)は、ユダヤ主義の右翼で、トランプのスピーチライターも務めている。<アメリカファースト><私はあなたたちの声になる>などのキーワードを捏造したアジテーターだ。
 トランプ米大統領は投稿で、担当判事を「過激な左派」、「オバマ(元大統領)に指名されたトラブルメーカーで扇動者」などと攻撃。「私は圧倒的な支持を得て(大統領選で)勝利し、有権者が私に望んでいたことをやっているだけだ」などと主張し、差し止める命令を出した連邦地裁判事について、「弾劾すべきだ!!!」と自身のSNSに投稿した。
 これに対し、ロバーツ連邦最高裁長官は異例の声明を出し、トランプにくぎを刺した。ロバーツ判事は、最高裁判事9人の多数派を占める保守派6人のうちの一人で、共和党のブッシュ(子)元大統領に指名された法曹界のトップだ。。
 「適正外国人法は12万人を超える日系人の強制収容につながる大統領令への地ならしとなった。歴史を繰り返してはならない」「法律の乱用だ。ギャングとの関わりが証明できなくても、ベネズエラ人だというだけで標的にできてしまう」と、ロサンゼルスの日本人街・リトルトーキョーで18日、複数の日系人団体などが共同で記者会見をした。
 プロレスが好きなトランプ米軍最高司令官は、関税戦争、メデイア戦争、教育戦争、裁判戦争、、と、<戦時法>を自作自演している。
 そして、トランプ前期で西サハラをモロッコ領土と認めてくれたトランプに、モロッコは限りなくすり寄っている。

 トランプを真似たモロッコは、3月15日、モロッコ占領地・西サハラを視察に来た国際西サハラ弁護士協会とスペイン弁護士総評議会の国際法律代表団を、強制国外追放しました。 国際法律代表団は、モロッコ占領下の西サハラ民間人の状況やモロッコ占領刑務所の囚人状況を調査することが目的でした。
 飛行機で首都ラユーン空港に着いた一行は、西サハラの土を踏むことも許されず、そのまま帰り便となった機内で過ごし、出発地に戻されました。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。                                   著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、                    定価:本体1,800円+税、                                            発行人:松田健二、                                                 発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861

同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。                         「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc                         「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU

Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。                  「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo                     「Last Colony in Africa]  英語版URL:   https://youtu.be/au5p6mxvheo

WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十  2025年3月22日                   SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye5920 : 250322〕