SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】631 ベイサット西サハラ外務大臣誕生

 2011年5月に石巻の被災地を見舞ったベイサットが、西サハラ難民政府の外務大臣になりました。  2025年4月13日にアルジェリア西端のチンドゥーフにある難民キャンプで、シダティ前西サハラ難民外務大臣から重職を引き継いだ新外務大臣は、すぐ、エチオピアの首都アディスアベバに飛んで、AUアフリカ連合外相会議に列席しました。

2011年5月、石巻の被災地にたたずむベイサット

① サハラ新外務大臣がAUアフリカ連合外相会議で歓迎を受ける:

 2025年4月15日、ベイサット新西サハラ外務大臣がAUアフリカ連合外相会議で紹介されると、大きな拍手が沸き起こった。ベイサットの前職は駐南アフリカの西サハラ大使で、力強い演説と人懐っこい性格は既にアフリカ外交界で<知る人ぞ知る>の存在だった。アフリカ連合(AU)執行理事会議長のアントニオ・チテ氏(アンゴラ外務大臣)は、「西サハラ共和国外交トップとしての新たな成功を祈り、アフリカ連合内で西サハラ共和国が果たした役割に感謝し、アフリカ大陸の問題に共に奉仕するため、さらなる協力をお願いしたい」と、祝辞を述べた。

2025年4月、エチオピアのAUアフリカ連合外相会議でベイサット外務大臣

2025年4月、AUアフリカ連合本部で、マフムード・アリ・ユーセフとベイサット

 4月15日午前の会議で、アルジェリアが平和安全保障理事会(国連安保理に匹敵)における、北アフリカ地域の代表に選出された。アフリカ大陸の安全保障と治安の分野においてアルジェリアの存在が、さらに強化された。アルジェリアは、「アフリカ諸国は、解放という全大陸の目標を目指し、外国の野心から脱出しょう」と、誓いの言葉を述べた。

 4月16日の朝、西サハラ共和国のモハメド・ヤスラム・ベイサット外務大臣はエチオピアの首都アディスアベバにある連合本部のオフィスで、アフリカ連合委員会のサルマ・マリカ・ハダディ副委員長と会談した。二者会談でベイサット外務大臣は、「西サハラ共和国は、アフリカ連合委員会の目標と、そのあらゆる平和的尽力を支援する」と、西サハラ人民を代表して表明した。さらに両者は、共通の関心事である現在のアフリカ諸問題についても意見を交換した。

 会談にはラミンAUアフリカ連合兼エチオピア大使とマライニン副代表が同席した。

     2025年4月 AUアフリカ連合本部で、サルマ・マリカ・ハダディAU副委員長権駐         エチオピア・アルジェリア大使

② ベイサット新外務大臣を中心に、ガッチリ団結西サハラ外交団:

 ベイサット新西サハラ外務大臣の活躍に呼応して、世界各地で西サハラ外交官たちが蜂起した。

 4月28日、アルジェリアの首都アルジェで、<殉教者の息子>組織の本部が主催して西サハラの人々との連帯セミナーで行われた。組織のハリファ・サマティ・アルジェリア代表は、「西サハラの人々は解放された西サハラ本土で西サハラ共和国を建設するため、50年以上も戦ってきた」と、改めて称賛した。アブデルカデル・タレブ・オマル駐アルジェリア西サハラ大使が、国連事務総長個人特使スタファン・デ・ミストラによる、国連安全保障理事会での定例ブリーフィング以降の西サハラ問題に関する最新情報を説明し、西サハラへの国際的な支援を紹介した。

 チリの首都サンティアゴでは、キリスト教人文科学学術大学で「西サハラと国際法、そして西サハラ人の自決権」と題して西サハラに関する講演を開催した。講演は、チリの西サハラ代表であるハファドラ・シャダッド・イブラヒムが司会を務め、スペイン植民地支配時代から1991年の停戦宣言までの西サハラ戦闘史を紐解き、自決の原則を詳細に説明した。これは国際法で長年確立された原則であり、非独立地域の人々は無条件でそれを行使する権利を持っていることを強調し、この原則が西サハラにも適用されると断言した。

 そして、ルビオ米国務長官(米外務大臣)が捨てた祖国・キューバでも、駐キューバ西サハラ大使が主催して、最後のアフリカ植民地・西サハラの現状を伝えるセミナーが4月から5月にかけて開催された。一方、キューバからの移民二世でもあるルビオ米国務長官は、トランプ100日を自画自賛する閣議で、「エルサルバドルだけでなく、卑しむべき人間の一部をあなた方の国に移送させるため協議中だ」と、豪語??この卑しい発言に注意!

 4月29日の国連では、西サハラ国連代表でMINURSOミヌルソ(国連西サハラ人民投票監視団)の調整者オマル博士が、ローズマリー・ディカルロ国連副事務総長(政治・平和構築問題担当)と会談をした。両者は、最近のMINURSOに関する安全保障理事会の協議を背景に、国連が主催する西サハラの和平プロセスを議論した。さらに両者は、西サハラの脱植民地化を完了するための国連とアフリカ連合の努力に協力することを約束した

 4月30日、アルジェリア大統領のアブデルマジド・テブンはSADRサハラ・アラブ民主共和国大統領兼ポリサリオ戦線事務総長のブラヒム・ガリを大統領官邸に招いた、会談で両首脳は、西サハラとアルジェリアの二国間関係について話し合った。

③ ベイサット新外務大臣に立ちはだかるモロッコ・ギャング外交団:

 モロッコ王国は西サハラを、まず武力で、次に国連人民投票で自国に併合しようとしたが、諦めた。そもそも、他国や自国領土でない地域を強奪しようというギャング思考は、法が支配する世界では間違いだ。が、悪徳不動産ギャングは自分の物にしようという邪まな執念にとりつかれていて、脅迫、逮捕、強姦、拷問、虐殺と、手段を問わず攻撃する。

 とりわけ、<ロビー活動>とかいう<金と女>を濫用したモロッコ・ギャング外交は、ベイサット新外務大臣の正攻法外交をせせら笑って暗躍中だ。

 4月12日、モロッコ・ギャング外交は米ワシントン・ポストの紙面を借りて、「何百人ものポリサリオ戦士が、イランの支援の下、シリアでの武装作戦で訓練を受け、イランの影響力拡大を狙った地域ネットワークに参加した、、シリアでの逮捕者には、アルジェリア軍の将軍、500人のアルジェリア兵も含まれている」と、プロパガンダを流した。その狙いは、「米国がポリサリオ戦線をテロリスト集団に指定することは、それが表す脅威の大きさに見合った正しい方向への客観的な一歩となるだろう」と、いうことらしい。

 テロリストのレッテルを貼って、パレスチナ人の民族浄化や中南米移民の撲滅をやる単細胞米政権を騙そうとする、モロッコ王国の策略が見え見えだ。騙されるな、ベイサット!

 国連外交では、ヒラール・モロッコ国連大使がオマル・西サハラ代表を脅かしている。4月28日に開催された「世界の強制移住の課題」に関する安保理の会合で、アマル・ベンジャマ・アルジェリア国連大使の発言に対し、ヒラールは安保理に反論の書簡を送った。アルジェリア大使が会合で、西サハラ難民の窮状とモロッコの国際法違反を訴えたからだ。

 ヒラールは、「アルジェリア代表は、安保理が国連憲章第VI章の下でモロッコ・サハラ問題を検討していることを無視しているふりをしている。この地域紛争は、彼の国によって半世紀にわたって完全に捏造され、マグレブとアフリカ大陸の平和、安全、安定に計り知れない結果をもたらしている、、アルジェリアは、国連難民高等弁務官事務所が50年以上にわたってチンドゥーフ・キャンプに捕らわれている人々の国勢調査と登録を行うことを拒否している。その上、国連機関や人道支援組織と協力していない」と、批判した。

 さらにヒラールは、「モロッコ自治イニシアチブは、安全保障理事会の常任理事国2カ国、モロッコ・サハラの元占領国、欧州連合の23加盟国を含む100以上の国連加盟国によって支持されている」と、モロッコ国王の西サハラ自治州案を強調し、「アルジェリア大使が国民投票の実施に言及したが、安保理と総会がそれぞれ2002年と2003年に国民投票を決定的に棚上げした」と、彼の書簡でアルジェリアの執拗な西サハラ支援を非難した。

 例によって国連総会決議や国際司法裁判所や国際人道法を無視し、安保理が提案した国連西サハラ人民投票を過去のものと一掃するヒラール・モロッコ国連大使は、オマル西サハラ国連大使の狡い強敵だ。負けるな、オマル!

 「日本の治安当局が、このポリサリオ戦線をイスラム・マグレブのアルカイダや他のテロ集団とつながる集団と分類したことを思い出す。」と、モロッコのネット通信アル・アハバールが報じたので、ベイサット新外務大臣から4月24日に「ほんとうか????」と、問い合わせがきました。 2013年から2014年にかけて流されたこのプロパガンダは、当時のアルジェリア大使が追跡し、デマであることを明確にしています。

 ポリサリオ戦線とは、全西サハラ人民を代表し、西サハラ難民政府を指導する組織です。

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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。                                  著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、                  定価:本体1,800円+税、                                                発行人:松田健二、                                                        発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861

同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。

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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。                         「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc                             「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU

Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。                    「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo                         「Last Colony in Africa]  英語版URL:   https://youtu.be/au5p6mxvheo

WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十  2025年5月3日                       SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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