マスクの右目横の痛々しい傷を見ました? トランプ政権を離脱した直後のインタヴューで、トランプとの<金けえせ!けえさない!>大喧嘩よりも、気になったのは傷です。
トランプ一・ファミリーは、マスクも敵に回しました。
① トランプ政敵ナンバースリーのボルトン:
第47代米大統領トランプは、政界、財界、報道界、芸能界、そして同盟国に至るまで、あらゆる方面で、自分の意向を押し付け、いう事を聞かない個人や団体や国家を敵と決めつけ、考えうる限りの締め付けをやっている。トランプ政権は、抗議行動に参加した学生の拘束と強制送還、大学への連邦予算拠出停止、政敵とつながりのある法律事務所の排除、裁判官への脅迫、報道関係者への圧力、さらには、トランプの意向に従わない可能性がある連邦職員の解雇、、と、徹底したギャングもどきの恐喝政治を続けている。それの音頭を取るのが、大統領令だ。大統領令は、政策課題というより、復讐目的に使われ、国民への宣伝道具として使われている。

メリーランド州のボルチモアで生まれたジョン・ボルトンは優しくて少々頑固な 右派の政治家だ。お父さんは、ファイアーファイター(消防士)。
敵の中でも、トランプがターゲットと公表する政敵は、バイデン前大統領、ブリンケン前国務長官、ボルトン元大統領国家安全保障担当補佐官、ポンピオ元国務長官、チェイニー元下院議員、ミリー前統合参謀本部議長、ファウチ元国立感染症研究所長兼元米主席医療顧問、の諸氏だ。
リストアップを主導したのは39才のスティ―ブン・ミラー大統領上級顧問。ユダヤ人家庭に育った右翼アジテーターで、トランプ第一期大統領宣誓の<アメリカファースト>を生んだスピーチライラ―でもある。トランプ第二期の100日を<洪水戦略>と銘打って、トランプ反対者の打倒に集中し、短期間に大量の大統領令を出し、いわゆる<粛清>をやってのけた。トランプが就任初日に署名した殆どの大統領令の起草はミラーが調整した。
ジョン・ボルトンもビル・クリストルとのインタヴューで、ミラーの行動力に触れている。
そのボルトンは、1948年ボルチモアで生まれた共和党強硬派の政治家だ。「拉致問題が解決するまでは、米政府による北朝鮮のテロ支援国指定解除は交渉すらすべきでない」と主張するボルトンは、2007年11月に北朝鮮による拉致被害者家族連絡会・北朝鮮に拉致された日本人を救出する全国協議会が訪米した時、最初に面会した要人だった。
② 「A very dumb gay」発言のボルトンにインタヴュー殺到:
「A very dumb gay(とっても馬鹿な奴)」とトランプに評価を下した元トランプ第45代米大統領国家安全保障補佐官で元米国連大使のジョン・ボルトンが、米国内外からインタヴューを受けている。
4月末にマイク・ウォルツが国家安全保障担当補佐官から解任され、国連大使に格下げされたホワイトハウス不祥事件が起こると、補佐官と国連大使の経験者だったボルトンに、ますますお声がかかってきた。
2025年5月2日、CNN米TVは、ボルトンを政治討論会に招待した。ボルトンは、「ルビオ米国務長官に米国家安全保障担当補佐官を兼任させるのは、トランプがこの要職を理解していないからだ」と、無神経なトランプに疑問を呈し、「トランプには政治家として必要な三つの素質に欠ける、、1-哲学、2政策、3-(国を守る)信念。この三大要素のないトランプには、おべっかを使うイエスマンとイエスウーマンしか集まってこない」と、批判した。
5月2日、NBC米TVでも国家安全保障担当補佐官のマイク・ウォルツ退任に関してボルトンは質問され、「シグナルのチャット論争を受けウォルツが政権を去るのは分かっていた。それよりも、トランプがどう後始末をするかが問題だった。が、またもや、放り投げた、、」と、ここでも、政治家三要素の欠如を衝いた。
5月5日、オーストラリアTV<60分>のインタヴューでボルトンは、「A very dumb gay(とっても馬鹿な奴)」を連発し、関税戦争、ロシア・中国枢軸や、現在のホワイトハウスについての考えを語り、<トランプの世界・激変という名の演目>と、大統領執務室劇に仇名をつけた。
5月7日、<ネオコン知識人クリストルとの対談>でボルトンは、ウォルツの解任を、混沌としたホワイトハウスの象徴とみなし、「ホワイトハウスではますます多くの独断決定が下され、閣僚による決定は、殆どない」とトランプ・ワンマンショーを嘆き、「トランプは、アメリカに対する善意、信頼、依存を築いた何十年ものアメリカ外交努力を灰にしてしまった。世界中が<アメリカは外交感覚を失った>と言っている」と、アメリカの鎖国が加速するのを警告した。因みに、ボルトンはネオコン一派ではない。
5月16日、ポリテイコとのインタヴューでボルトンは、「金正恩との会談後にトランプは<Fall in love with him !(彼に恋をしちゃった)>と言った」と、内輪話を漏らした。
③ 「アメリカは国連西サハラ人民投票を支持すべき」ボルトンの<西サハラ問題>寄稿:
2025年5月28日、ジョン・ボルトンはワシントン・タイムズ紙に西サハラ問題に関して寄稿した。以下にその要約を紹介する。
「未解決のままである主要な国際問題の1つは、西サハラの主権問題だ。モロッコの南、北アフリカの西海岸に位置するこの広大な地域は、1970年代後半から膠着状態にあり、サヘル地域全体の安定と安全を損なっている。アフリカ全土で中国とロシアの影響力が高まっている今、彼らの影響力を拡大する新たな機会を提供する時ではない。かつての宗主国であったスペインでは、1975年11月にフランコ将軍が死去した後、「アフリカ最後の植民地」として知られる西サハラを事実上放棄した。モロッコとモーリタニアという2つの隣国が領土を奪取しようとして侵略したが、先住民の西サハラの人々はポリサリオ戦線という独立闘争組織を通じて、抵抗した。モーリタニアは後に領土主張を放棄したが、モロッコ軍は領土の約80%を支配していった。
故郷を追われた西サハラ人は、アルジェリア南西部のチンドゥーフに拠点を置き、アルジェリアが支援しているポリサリオ戦線の指導下にある。紛争は今日も続く。主権の問題に対する明白な解決策は、西サハラの先住民に、独立か、モロッコ主権下での「自治」か、彼ら自身の選択に委ねることだ。
1991年、アメリカは国連西サハラ人民投票投票を監督する国連平和維持ミッションの設立を推し進めた。この決定は、両当事者は当時の安全保障理事会の決議に同意した。しかし、モロッコは、自由で公正な人民投票が西サハラの独立選択につながることを恐れて、決議を実施しようとする国連の取り組みを当初から妨害し始めた。ジェームズ・ベーカー元米国務長官は、両党事者を対話のテーブルに戻すことに成功し、人民投票の実施を改めて約束したが、モロッコは再び公約を破り、繰り返し承認した人民投票を検討することさえ拒否した。残念ながら、それ以来、モロッコの妨害は続いており、十何万人ものサハラ人がチンドゥーフ近くの国連が運営する難民キャンプで生活し続けている。
アルジェリアと西側諸国との関係はモロッコのそれのようには強くなく、西サハラの大義に損害を与えた。しかし、状況は変わり始めている。最近、アルジェリアが新たな戦略的同盟を築こうとしているのだ。トランプ政権2期目の初めに米国とアルジェリアの間で最初の軍事協力協定が調印されたことは、関係の新たな方向性を示している。慌てたモロッコは、証拠なしに、ポリサリオ戦線がイランの影響下にあるという新たなプロパガンダを流し始めた。この嘘を、ワシントン・ポストや他のマスコミが、「新シリア政府とポリサリオ戦線は、嘘をきっぱりと否定している」と、断じている。ポリサリオ戦線をテロ組織に分類する法案を、モロッコロビーが米下院に提出するかも?
西サハラに対する米国の政策は、サハラの人々が自分たちの未来を決定することを可能にする人民投票を支持し、1991年の精神に戻るべきだ。米国議会の多くの議員が長年にわたってチンドウーフキャンプを訪れ、ポリサリオの指導者や支援のアメリカ人と会ってきた。彼らが学んだ西サハラの真実から目を逸らせてはいけない」と、ジョン・ボルトン元米国連大使は結んでいる。
ベイカー元米国務長官は、国連西サハラ人民投票を国連安保理で採択した後、人民投票実施に向け、1997年3月から2004年6月まで国連西サハラ事務総長個人特使として、部下のボルトンと共に大いに活躍しました。 選挙人認定作業も済み、1999年には待望の国連しサハラ人民投票が実施される寸前まで漕ぎつけました。が、、
当時の西サハラ人認定作業を取材したSJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)の「人民投票・ラストコロニー西サハラ」を、ユーチューブで覗いてみてください。
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。 著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、 定価:本体1,800円+税、 発行人:松田健二、 発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。 「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc 「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。 「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo 「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2025年6月7日 SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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