8月25日に日本記者クラブで記者会見を行って、日本へのメーっセージで訪問をしめくくり、ベイサット西サハラ外務大臣とラミン西サハラAU兼エチオピア大使は成田空港から飛び立つ予定でした。
ところが、外務省が一切の活動を止めてTICAD9終了後、直ちに出国と命じてきました。
「主催国の意向だから、、」と、ラミン大使が首を振りました。
① 西サハラ難民通信が伝えるTICAD9:
西サハラ難民通信は外務省から出国命令が出されたことなどに触れず、8月22日にTICAD9 訪問総括記事を出した。以下に紹介する。
「横浜で開催された第9回TICADサミットは、水曜日に開催され金曜日に閉幕し、アフリカの団結を分裂させようとするいかなる試みも拒否することを再確認した。
サミットは、石破茂内閣総理大臣、ジョアン・マヌエル・ゴンサレス・ロレンソ・アンゴラ大統領、アフリカ連合輪番議長、アフリカ連合委員会委員長、マフムード・アリ・ユスフ国連アフリカ事務総長代表、クリスティーナ・ドゥアルテ氏、国連開発計画(UNDP)事務次長補のフリャン・シュ氏、世界銀行総裁のモフタール・ディオプ氏の議長のもと、閉幕した。
第9回TICAD首脳会議宣言は採択され、宣言の第1段落で、<日本とアフリカ連合加盟国は、他の主催者、特にアフリカ連合委員会、国連、国連開発計画、世界銀行とともにいる。>とある。
西サハラ共和国は、首相、ベチャラヤ・ハムディ・バイヨン国務局長、モハメド・ヤスラム・ベイサット外務・アフリカ問題大臣、ラミン・アバ・アリ大使兼アフリカ連合常任代表がTICAD9サミットに参加した。」
APSアルジェリア国営通信は、「TICAD に参加しているアルジェリアのヌールッディーン・ワダーハ・知識経済・スタートアップ・中小企業担当大臣が、8月20日、午後1時30分から約15分間、藤井比早之外務副大臣と会談を行った」と、伝えた。
西サハラをTICAD9から排除しようと画策してきたモロッコは、MAPモロッコ国営通信でもTICAD9を取り上げていなかった。モロッコの注文通り、日本は会議場前にも会議場内にも合同記者会見場にも、国際会議につきものの国旗掲揚を一切取り止めた。

ベイサット西サハラ外相、ベチャラヤ西サハラ首相、平田伊都子、ラミン西サハラAU大使

平田伊都子、川名生十、ベイサットにshサハラ外相、ラミンAU大使、(旅籠ふじにて)
② 「行く」「行かない」「行く」「今、日本に向かう飛行機の中」:
7月末にベイサット西サハラ外務大臣から、「プレスのアレンジを頼む」との連絡を受けた。
JNPC日本記者クラブに連絡し、8月7日にJNPC 事務総長から許可が出、8月25日午後1時から2時の記者会見が仮決まりになった。
8月13日、ベイサットから記者会見受諾のメールがJNPC日本記者クラブに送られ、8月25日のベイサット西サハラ外務大臣の記者会見が確定した。
8月14日、ラミン西サハラAU兼エチオピア大使から、ビザも航空券もまだだ。あす判明すると連絡がきた。
8月15日、ラミン西サハラAU大使から、ビザ問題は解決した。航空券の予約にかかっている。決まり次第報せると連絡がきた。
8月16日15時39分、ベイサット西サハラ外務大臣から、「プレス・コンフェランス中止」と、連絡が入った。すぐにJNPC日本記者クラブに中止の連絡を入れた。すると同日20時31分、「ノー、ノー! ノー・キャンセル!予定通り決行!!」と、急報が入った。再び、JNPC日本記者クラブに再開をお願いした。「プレス・コンフェランスを予定通り行います。」と、ありがたいお返事が返ってきた。
8月17日、ベイサット西サハラ外務大臣から、「予定は全てキャンセルしないで欲しい。私は東京に向かう飛行機に乗っている」と、連絡がきた。かくして8月20日、西サハラ代表団はTICAD9 に参加した。
しかし、8月22日、再度「ノー。プレス・コンフェランス!私は明日出国するようにと、外務省から命じられた」と、ベイサット西サハラ外務大臣から急報が入った。以下に、ベイサット西サハラ外務大臣の公開メッセージを紹介する。
「親愛なる日本の皆さん、日本政府 (外務省北アフリカ・ミードル・イースト局長) がTICAD以外で日本国内での活動を行わないようにと、正式に要請してきたことをお知らせします。彼らは私たちに、国会議員、市民社会、メディアとの会合をすべてキャンセルするよう命じました !!
彼らにそれを求めたのはモロッコだったと確信しています。とても悲しいニュースであり、本当に残念なことです。真実を知り、制約や偏見なくすべての当事者にアクセスできることは、私たちの権利であり、日本国民の権利だと思います。私たちは、私たちの権利とあなたの権利が侵害されたと考えています。しかし、たとえTICAD9当局に同意しない場合でも、当局を尊重しなければなりません。このため、予定されていた会議には出席しません。大変申し訳ございませんが、皆様にご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。
また、皆さんにお会いする機会があり、過去50年間、自由を求めるこの長い行進に親切かつ寛大に同行してくださった皆様に挨拶できることを願っています。たくさんの温かいご支援ありがとう。」
③ 西サハラTICAD9参加は成功:
「参加することに意義あり」とは、まさに<西サハラTICAD9参加>を指す。
8月21日、国連定例記者会見で副報道官が、「TICAD9サミットについて、グテーレス氏が、会議での議論は、アフリカとのパートナーシップが平和、グローバルガバナンス、金融、気候変動対策、デジタルトランスフォーメーションにおいて、全世界が必要とする解決策をどのように強化できるかに焦点を当てました。」と、報告した。
この記者会見で最後の4人目に筆者は、「平和に向けてのスピーチありがとうございます。アフリカ最後の植民地・西サハラについてお尋ねしたいと思います。1991年に国連は西サハラ人民投票という平和的解決を提案されました。しかし、未だに人民投票は行われていません。いつ、国連は人民投票をやるのですか?」と、事務総長に尋ねた。
事務総長は例によって、抽象的に、「実のところ、我々はこの紛争に関して、平和的解決を目指し、絶え間なく努力を続けているところだ。」と答えた。そして、「バイバイ」と、上機嫌で会場を後にした。
副報道官は、「事務総長は、ガーナ共和国のジョン・ドラマニ大統領やケニア共和国のウィリアム・ルト国家元首と会談し、22日は、岩屋武什外務大臣や横浜市長とも別途会談する」と、言及した。
そして、「事務総長は、万博が開催される大阪へ向かいます。」と括った。
筆者は、ジブチのオルビッソ・カミ―ル商社マンから、<TICAD9参加者の大阪万博ツアー>が予定されていることを聞かされ、すぐに西サハラ代表団に報告した。ラミン西サハラAU大使が、「いくら費用がかかるのか?」と聞いてきた。「TICAD9の企画だから招待だと思うよ。当然、無料だよ」と答えたら、「日本政府は我々だけに旅費全額を請求した。他の国は招待で無料なのに、、」え~~~マジ??!!「自費できているんだったら、報道の自由を無視した国外退去要請を無視すればいいじゃないの?」と、ラミン西サハラ大使に聞いた。が、ラミン西サハラAU大使は、「TICAD9の要求に従わざるをえない」と、答えた。
ベイサット外務大臣はたばこを吸うため、席を離れた。
「彼が喫煙を止めろ時が、西サハラ独立の時だ」と、ラミンAU大使が苦笑いをした。
先発のベチャラヤ西サハラ首相を送ったベイサット西サハラ首相とラミンAU大使に、SJJAは朝食のお返しと、宮ケ瀬湖にある<旅籠ふじ>での昼食に招待しました。 車で往復2時間半はかかりますが、強制出国のフライトまでたっぷり時間がありました。
なす、カボチャ、のり、キノコ、シイタケ、エビ、の天ぷらに、ハヤの塩焼きを、<旅籠ふじ>の主人哲央氏、通称てっちゃんは、大盛サービスしてくれました。
「出発までずっと、ここにいたい」と、疲れ切ったラミンAU西サハラ大使はえくぼを見せて笑いました。 ベイサット西サハラ外相は、たばこと湖のきれいな空気を吸いに、席を外しました。
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。 著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、 定価:本体1,800円+税、 発行人:松田健二、 発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。 「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc 「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。 「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo 「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2025年8月24日 SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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