SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】655 どっちがテロリストだ?

 2025年10月13日、パリの裁判承はニコラ・サルコジ元フランス大統領を10月21日からパリのサンテ刑務所に収監すると、発表しました。  

 パリの裁判所は9月に、2007年のフランス大統領選戦でサルコジ被告が、リビアの指導者・故カダフィから巨額の選挙資金を不正に受け取ったとして、実刑判決を言い渡していました。  サルコジ被告は罰金10万ユーロ(約1760万円)と5年間の被選挙権停止を課されています。

① カダフィとサルコジ:

 二コラ・サルコジ元フランス大統領は、1955年にハンガリー系移民の父とギリシャ系ユダヤ人の母の間で、パリに生まれた。サルコジが5才の時、父はサルコジなど息子3人と母を捨て出奔し、貧しい母子家庭に育った。サルコジは、2004年から2007年まで国民運動連合(UMP)党の党首を務めた。 シラク大統領の下で、2002~2004まで内務治安地方自由大臣を、2005年からドビルバン内閣の内相を務めた。

 2007年フランス大統領選挙の時に、リビアのカダフィから5,000万ユーロ(880憶円)に及ぶ違法な政治献金を受けた。大統領当選直後から、自家用ジェット機や豪華ヨットで遊び回った。金欠になると、サルコジ大統領の給料を2倍に引き上げると、声明を出した。

 2008年、スーパーモデルで歌手との3度目の結婚式は、エリゼ宮殿で行った。

 サルコジの贅沢癖と浪費癖に目をつけたモロッコは、モロッコ占領地・西サハラの眠れる地下資源と漁業資源の開発話を持ち掛けた。遊ぶ金が欲しいサルコジは、西サハラのモロッコ自治州案をでっちあげ、モロッコ王はサルコジに別荘の一つを提供した。

 一方、2001年9月11日のアメリカ同時テロ事件をきっかけに、3男サイフの暗躍も手伝って、反欧米のカダフィーが親欧米に変わっていく。。カダフィはテロ事件の犯人とされるアルカイダを非難し、世界的なテロ批判の風潮に乗り、リビア国内のイスラーム過激派組織「リビア・イスラーム戦闘団」と戦ったりしてみせた。カダフィは2003年末に核放棄を宣言し、査察団の受け入れた。アメリカなどはカダフィの対応を評価し、経済制裁などを解除し、リビアをテロ国家指定から外した。

 しかし、欧米はカダフィを受け入れたわけではなく、カダフィの原油を受け入れようとしたのだ。

 隣国チュニジアで始まった<アラブの嵐>の影響を受け、2011年2月、反カダフィのデモが、欧州の指導のもとに発生した。フランス国内でカダフィとの汚職が騒がれ始めたサルコジは、<リビア友の会>をでっちあげ、リビアのベンガジで「ベンガジ市民アリガトウ!」と、英国首相キャメロンと一緒に煽った。カダフィを消せば自分の汚職も消えると判断したサルコジは、アメリカのクリントン国務長官を巻き込み、NATO軍の空爆で首都トリポリを陥落する。

 2011年10月20日午前8時、故郷シルトに潜伏していたカダフィと南アフリカ兵の逃亡車列を、フランス空軍の戦闘機ミラージュ2000アメリカ空軍無人攻撃機RQ-1 プレデターが空爆した。車列から引きはがされたカダフィは反カダフィ国民評議会に拘束され、惨殺された。実際に誰が殺したのか、明らかにされていない。が、カダフィ暗殺にゴーサインを田したのが、時のアメリカ国務長官ヒラリーとフランス大統領サルコジだったことは、容易に推測できる。 

 NATOによる軍事介入を批判していたロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、偶発的な死亡ではないとし、カダフィ-惨殺に関して、国際的な調査を要求している。が、国連は未だ動かない。

 カダフィとサルコジ、どっちがテロリストだ?

リビアのシルトでリビア指導者・カダフィにインタビューをする筆者

② ハマスとイスラエル:

 「パレスチナを認めろ!」と、大声が10月13日のイスラエル国会クネセトに響き、和平合意の成果を大宣伝するトランプ米大統領を黙らせた。キッパを被ったクネセト警備員が、叫び続ける二人のクネセト議員を会議場外に引きずっていった。慌てたネタニヤフ・イスラエル首相は拍手を先導し、トランプ喝采を捏造した。二人は、<Hadash-Ta’al Coalition.(ハダフ・タール連合)>に属するイスラエル人オフェル・カッシフ議員 と、パレスチナ人エマン・オデ議員で、イスラエル人質20人とパレスチナ収監者約2000人の交換を歓迎しつつ、「イスラエルとパレスチナの和平合意は、二か国共存を礎にしなければ成立しない」と、釈放後に語った。

 「和平合意はネタニヤフ・ジェノサイドの免罪符にはならない」と、サンチェス・スペイン首相は殊勝な発言をした。サンチェス首相は、西サハラ独立運動に関して、支持を名言していたのに、2023年3月、モロッコ国王の賄賂と恐喝に屈した。反省してください。

 ネタニヤフは祭りを理由に、一旦は参加を表明したマクロン仏大統領とスターマー英首相は理由なしに、一方の当事者ハマスは呼ばれず、ロシアと中国は招待されず、全員欠席。結局、G7首脳は言い出しっぺアメリカ以外、出席しなかった。エジプトのシャルム・エル・シェイクで10月13日に行われたガザでの戦闘終結に向けた国際首脳会議とは、トランプ米大統領のワンマンショーに終わったようだ。首脳を送った国は、アメリカ、エジプト、トルコ、カタールなどで、アッバス・PLO議長、グテーレス国連事務総長、アフメド・アラブ連盟事務総長、アントニオEU理事会議長などが加わった。

 2023年10月7日に爆撃を開始し、現在に至るまで約67,938人を大虐殺し、170,169人の負傷者を出し、未だに150,000人を下らない犠牲者を瓦礫に埋めた戦争犯罪人ネタニヤフと、人質を解放したハマスと、どっちがテロリストか?、、明らかだ、、

③ 西サハラとモロッコ:

 娘婿クシュナーと戦争犯罪人でお尋ね者のネタニヤフ・イスラエル首相に<ハマスはテロリスト>と刷り込まれたトランプ米大統領の脳は、修復の余地がない。そんな脳にモロッコ国王は、<西サハラはテロリスト>の虚言を植え付けようとしている。具体的には、国連脱植民地委員会やジュネーブ国連人権委員会などでの発言場所で、「西サハラ難民キャンプは非人道的なテロリスト養成場」とか「西サハラ独立運動を指導するポリサリオ戦線は西アフリカ・テロ組織と繋がっている」などと、宣伝する。

 そして、モロッコ占領地・西サハラの観光経済開発をだしに、娘婿クシュナーやモロッコ・ロビイストである共和党下院議員を動かし「西サハラはテロリスト」を成文化させる法案を米国下院に提出させた。が、アメリカ政府機関封鎖が続き、中断している。

 モロッコ占領地・西サハラへの欧州誘致も思うようにいかないと見えて、モロッコ得意の麻薬商売が盛んになってきた。MAPモロッコ国営通信が。「10月4日も、西サハラを分断する<地雷原・砂の壁>南端に乗り捨てた外国ナンバープレートの国際貨物トラックのシャーシ隠しコンパートメントから、53.63キログラムのコカインを押収した、」と、発表した。持ち主不明のコカインは誰が保管しているのですか?

 一方、トランプ・ヘグサス戦争内閣は、10月13日、またしても公海で5回目となるベネズエラ漁船の爆破を敢行した。「ベネズエラはテロリスト」と、刷り込まれたトランプは、臨検も警告もせず軍事演習よろしく殺す。「ベネズエラは麻薬ギャングの悪者だ」とおっしゃるのなら、トランプ米大統領殿、モロッコも<麻薬ギャングの悪者>となりますよね、、

 モロッコ占領地・西サハラを売りに出し、占領民を傷め、国内の民主化運動を撲滅しようとするモロッコと、50年間、国連と国際社会の正義を信じて祖国帰還の夢を持ち続けている西サハラと、どっちがテロリストですか?

 2025年10月13日に、トランプ和平案がエジプトで、国連事務総長を含む数人の出席者によって合意されました。 トランプ支持の国連事務総長は、「和平合意のおかげで援助作業が開始」の報告を連日流しましたが、10月16日、17日の記者会見でガザに入ったトラックの台数を聞かれると、報道官はシブシブ、「エジプトからガザに入るラファ検問所は相変わらずイスラエル軍に閉鎖されたままで、イスラエル当局は多くの国際NGOにビザを発行していない」と、白状しました。

 「先日は5人、昨日は3人とネタニヤフ軍はガザ住民殺しを続けている。停戦違反では?」との質問に報道官は、「私たちはこの紛争の調停者ではない。私たちは協定違反を非難する人ではない」と、答えました。 国連は何をする人なんでしょうね?

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。                              著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、                       定価:本体1,800円+税、                                             発行人:松田健二、                                                     発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861

同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、                       「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内                                                 「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc              「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU

Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。                    「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo                        「Last Colony in Africa]  英語版URL:   https://youtu.be/au5p6mxvheo

WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十  2025年10月18日                 SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座  https://chikyuza.net/                            〔eye6037 : 251018〕