SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】656 負けるなボルトン、ノーサレンダー

 2025年10月20日のホワイトハウス前庭での記者会見は、解体王トランプにとって面目躍如たる舞台となりました。 「ほら、解体の音が聞こえるだろ?」と、上機嫌で東ウィングを指さし、トランプ大統領ポールルーム(宴会場)建設のための解体工事開始を宣言しました。ボールルーム建設プロジェクトには2億5000万ドル(350憶円)以上の費用がかかる見通しで、トランプ解体王は7月に自身と協力者が負担すると言いました。 

 ニューヨークタイムズが、勝手に国の象徴であるホワイトハウスを解体していいのかどうかの、調査に入りました。 雑談会見で、解体したガザの復興について質問されたトランプ解体王は「Don’t worry about it(心配するな)」を繰り返し「OK?(わかったか!?)」と、打ち切りました。

 ガザ復興見積もり金は、UNDP(国連開発計画)が700憶$(10兆6995憶円)と10月14日に発表しました。 アメリカは、国連未払金が15億$(2292憶7500万円)もあることを、忘れないでください。

① 解体王トランプ、政敵解体: 

 解体王トランプはコミー元FBI長官やニューヨーク州のジェームズ司法長官など,民主党系政敵を相次いで起訴した。解体王トランプの召使・パム・ポンデイ司法長官が、罪状をでっち上げた。二人は無実を主張しジェームズは長官室でノーサレンダーを叫んでいる。

 そして、第一次トランプ政権下で国家安全保障担当大統領補佐官を務めた共和党強硬派のジョン・ボルトン元国連大使の自宅を、8月、FBIに奇襲させた。無数の段ボールに書類を詰め込み、10月19日、機密情報を違法に取り扱った疑いで、アメリカ東部、メリーランド州の連邦大陪審に起訴した。「私は、これまでアメリカの国家安全のために尽くしてきた。トランプがでっち上げた違法行為など、全くやっていない、、 ノーサレンダー、断固、戦う」と、ボルトンは宣言した。<ノーサレンダー>は著作の表題だ。 

 「彼はBad Person (悪い人)だ、奴はBadGuy(悪人)だ、Bad Guy,, Yes, Bad Guy,,」と、解体王トランプは繰り返した。例によって、起訴の理由や証拠など言わなかった。

 第1次トランプ政権で国家安全保障問題担当の大統領補佐官を務めていたジョン・ボルトンをホワイトハウスから追い出したのは、トランプの娘婿ユダヤ系アメリカ人クシュナーだった。「あの髭は平和より戦争が好きだ」と義理の親父に吹込み、クシュナーは自分のイスラエル。ファースト外交に反対するボルトンを任期途中で首にした。その後、ボルトンは単独で、トランプ軍団を批判し闘ってきた。

 最近のホワイトハウス閣議ではまず音楽が流れて、トランプ国王が登場する。そして、トランプ解体王がおもむろに玉座に座る。なんと王冠をもじった背もたれは、金メッキ! 王冠を被って登場する日も間近のようです。
 「王はいらない!」と叫ぶ民の声は、ホワイトハウスに届かないようです。

② ジョン・ボルトンの「ノーサレンダー負けないぞ(ボルトン著作の表題)」:

 ボルトンは、1948年ボルチモアで生まれた共和党強硬派の政治家だ。「拉致問題が解決するまでは、米政府による北朝鮮のテロ支援国指定解除は交渉すらすべきでない」と主張するボルトンは、2007年11月に北朝鮮による拉致被害者家族連絡会・北朝鮮に拉致された日本人を救出する全国協議会が初訪米した時、最初に面会した要人だった。

 4月末にマイク・ウォルツが解任され、国連大使に格下げされたという<ホワイトハウス不祥事件>が起こると、補佐官と国連大使の経験者だったボルトンはマスコミの寵児になった。5月2日にCNNで「トランプには政治家として必要な三つの素質に欠ける、、1-哲学、2政策、3-(国を守る)信念。この三大要素のないトランプには、おべっかを使うイエスマンとイエスウーマンしか集まってこない」と、トランプ内閣を批判した。5月5日のオーストラリアTV<60分>のインタヴューでボルトンは、「A very dumb guy(とっても馬鹿な奴)」を連発した。

 2025年5月28日、ジョン・ボルトンはワシントン・タイムズ紙に西サハラ問題に関して寄稿した。以下にその要訳を紹介する。
 「未解決のままである主要な国際問題の1つは、西サハラの主権問題だ。モロッコの南、北アフリカの西海岸に位置するこの広大な地域は、1970年代後半から膠着状態にあり、サヘル地域全体の安定を脅かしている。アフリカ全土で中国とロシアの影響力が高まっている今、アメリカは彼らの影響力を拡大する新たな機会を提供する時ではない。かつての宗主国であったスペインは、1975年11月にフランコ将軍が死去した後、「アフリカ最後の植民地」として知られる西サハラを事実上放棄した。モロッコとモーリタニアという2つの隣国が領土を奪取しようとして侵略した。が、先住民の西サハラ人民はポリサリオ戦線という独立闘争組織を通じて、抵抗した。モーリタニアが撤退した後、モロッコ軍は領土の約80%を支配していった。
 故郷を追われた西サハラ人民は、アルジェリア南西部のチンドゥーフに拠点を置き、アルジェリアが支援するポリサリオ戦線の指導下にある。主権に対する明白な解決策は、西サハラ先住民に、独立か、モロッコ主権下での「自治」か、彼ら自身の選択に委ねる事だ。
 1991年、アメリカは国連西サハラ人民投票投票を監督する国連平和維持MINURSOの設立を国連安保理に提案し、安保理は採決した。この決議に、両当事者は同意した。しかし、モロッコは、自由で公正な人民投票が西サハラの独立選択につながると恐れ、決議を実施しようとする国連の取り組みを当初から妨害し始めた。ジェームズ・ベーカー元米国務長官は、両党事者を対話のテーブルに戻すことに成功し、人民投票の実施を改めて約束したが、モロッコは再び公約を破り、繰り返し承認した人民投票を検討することさえ拒否した。それ以来、モロッコの妨害は続いており、十何万人もの西サハラ人がチンドゥーフ近くの国連が運営する難民キャンプで生活し続けている。」

 ボルトンはジェームス・ベーカーの元で西サハラ人民投票の実現を目指していた。

トランプの挑戦を受けて立ったボルトンの著書「Surrender is not a option 降伏という選択肢はない」

③ 危うし、MINURSO(ミヌルソ・サハラ人民投票監視団):

 2025年10月20日、国連定例記者会見で、イタリア人記者ステファノ・バッカーラが、MINURSO (ミヌルソ・国連西サハラ人民投票監視団) に関して質問した。

質問:米国がモロッコの2007年の自治計画を承認する西サハラに関する決議案を回覧したことを考えると、事務総長はこの案が国連の自決原則に合致していると思ってるのか?                      ミヌルソの任務をわずか3カ月に制限するという米国の提案を、彼はどう見ているのか?

報道官:安全保障理事会理事国は、その知恵をもって、ミヌルソの任務について決定を下す。ミヌルソが活動を継続し個人特使も活動を続けているという以外に何もない

質問::しかし、米国は決議の中で、事務総長が3か月以内にミヌルソのアイデアを提案し、最終的には基本的にミヌルソを解体することを提案したんだが、、

報道官: そうだ、それがどのように機能するかはご存知だと思う。安全保障理事会が採択し、事務総長が決定する。

 MINURSO存亡の危機に、オマル西サハラ国連代表は、「報道官は結論をまだ語ってない、」と、メールをくれたが、ポリサリオ戦線西サハラ指導部は慌てて国連事務総長に宛てた書簡を出し、MINURSO(ミヌルソ国連西サハラ人民投票監視団)への恒久的な協力を誓い、MINURSO継続の必要性を訴えた。

 アメリカ国連大使は元トランプ解体王の国家安全保障担当補佐官で、ヘグセス国防長官の機密漏洩事件の責任を被って補佐官を辞任させられた、トランプ子分の一人だ。返り咲きを狙って、娘婿クシュナーが推す<モロッコ自治案>を、安保理でごり押ししようとしている。
 10月31日午前に、MINURSO(西サハラ人民投票監視団)の任期が採決される。

 10月1日に始まったアメリカ政府機関封鎖はトランプ解体王の命令でまだ続いています。

 9月2日に始まった解体王が麻薬船だとする中南米の小船爆撃は9回となり、37人も殺し、ベネズエラに続いてコロンビア大統領を麻薬犯罪者だと決めつけました。

 10月21日に出た故ヴァージニア・ジュフリーさんの遺作で、トランプと少女売春売買犯エプスタインとの関係が暴かれているのに、トランプ解体王は白を切り続けています。

 「無理を通せば道理が引っ込む」とは、江戸いろはかるたにあることわざですが、早く道理を通して欲しいと、念じています、、

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 「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。   著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、                   定価:本体1,800円+税、 発行人:松田健二、 発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861

同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。

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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。                     「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc                      「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU

Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。               「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo                     「Last Colony in Africa]  英語版URL:   https://youtu.be/au5p6mxvheo

WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十  2025年10月25日                 SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座  https://chikyuza.net/                            〔eye6041 : 251025〕