SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】677 西サハラ会合は前進か後退か(ロス)

 2026年3月6日、元国連西サハラ事務総長個人特使のクリストファー・ロス氏は、トランプ政権が秘密裏に進めている西サハラ会合の実態を<Diplomacy Now(現在の外交)>誌で明かしました。

 2009年から2017年まで国連西サハラ事務総長個人特使を務めた米外交官クリスファー・ロス

 クリストファー・ロスは20年以上、トリポリ(レバノン)、フェズ、アルジェで米国務省高官として勤務し、アルジェリアおよびシリアの米国大使を務め、2009年から2017年まで西サハラ担当国連事務総長の個人特使として、西サハラ人民投票の実現を目指しました。 

① 西サハラ協議の裏で蠢くモロッコのトランプ政権陽動工作:

 国連安保理で西サハラ問題のペンホールダー(草案提出者)は、なぜか、アメリカとされてきた。その立場を利用し国連を支配するよう、モロッコはネタニヤフ・イスラエル首相のようにトランプを持ち上げ、米議会にも働きかけた。 かくして2025年10月31日の国連安保理では、トランプ政権が西サハラ・ペンホルダーとなって、西サハラのモロッコ自治州案を推薦する決議2797が採択された。そして、MINURSO(ミヌルソ国連西サハラ人民投票監視団)の一年延長が承認された。

 アルジェリアにある西サハラ難民キャンプのポリサリオ戦線本部では、もう一年MINURSO(ミヌルソ国連西サハラ人民投票監視団)の寿命が延びたことで、ホッと一息ついていた。が、モロッコは息をもつかせぬ外交攻勢をかけた。まずトランプ娘婿の親父マサド・ブーロスを西サハラ問題仲介者にでっちあげ、ペンホルダー米国連大使を議長に、ステファン・デ・ミストラ国連事務総長個人特使を共同議長に格下げした。

 さらにモロッコは、西サハラ独立運動の母体であるポリサリオ戦線にテロリストのレッテルを貼ろうと、アメリカ議会にテロリスト法案提出を促した。2025年6月24日に法案は正式に米下院に提出され、パット・ハリガン、ザカリー・ナン、ランディ・ファイン、ランス・グッデン、ジェファーソン・シュリーブ、マリオ・ディアス・バラート、ジミー・パネッタ。サウス、クラウディア・デニーが、共同提案者として署名した。

 上院ではテッド・クルーズが、SNSで流れたポリサリオ戦線の兵器写真を証拠に、イランやヒズボラと繋がっているテロリストと位置付けた。米議会で<テロリスト・ポリサリオ>決議案が通ったら、イラン・ヒズボラ・ハマスの延長線でトランプ戦争内閣が退治してくれる。ついでにポリサリオを庇護するアルジェリアもテロ国家指定をしてもらい、アルジェリアを壊滅して天然ガスを頂こうと、モロッコは企んでいる。

 ブリタ・モロッコ外相はルビオ米国務長官から<早期のMINURSO解体>という、約束を取り付けた。MINUROミヌルソは、その名称が示している通り、<国連西サハラ人民投票監視団>で、西サハラ人民投票の施行が役目だ。人民投票を消滅させたい,モロッコにとって、無用の長物なのだ。モロッコは一日も早くMINURSOミヌルソを解体したい。

② 西サハラ会合は問題を前進させたのか?後退させたのか?(クリストファー・ロス):

 アメリカ外交官のクリストファー・ロス元国連事務総長西サハラ個人特使は、国連安保理決議2797を、「米国は実際に交渉の促進と実施の主導権を握り、国連事務総長の個人特使を<共同提案者>の役割に置き換えた。この変化とそれに伴う加速された一連の会合が前進、あるいは膠着状態に戻るのかは、これからの課題だ」と、分析した。

 「モロッコの自治提案を礎にと決議は述べているが、ポリサリオ戦線の人民投票提案に言及していない、」としつつもロス氏は、「決議は、西サハラの人々の自己決定権を保障する最終的かつ相互に受け入れ可能な政治的解決の要件を保持し、当事者に最終的に相互に受け入れ可能な解決策を支持するアイデアの提出を奨励すると明言している」と付け加えた。

 「米国は、約7年の中断を経て交渉プロセスの復活を牽引し、1月と2月に3回の予告なしの当事者会合を開催した。最初の会合は1月中旬にワシントンの国務省で開催され、2回目は2月8日から9日にかけてマドリードの米国大使館で行われた。3回目は再び2月23日から24日にかけてワシントンで行われた。  

 公式発表や記念写真がない幽霊参加者たちは、米大統領上級顧問マサド・ブーロスと米国連大使マイク・ウォルツ、国連西サハラ事務総長個人特使スタファン・デ・ミストゥラが共同スポンサーに就任、モロッコ代表団はナセル・ブリータ外相が率い、GDSDのモハマンスーリ長官や国連大使ヒラールが参加、ポリサリオ代表団はモハメド・イェスラム・ベイサット外相が率い、ニューヨーク代表のシディ・モハメド・オマルとワシントン代表のムロード・サイードが参加、アルジェリア代表団はアフメド・アタフ外相が率い、モーリタニア代表団はウルド・メルズーグ外相が率いた。

 初めて開催された閣僚レベルの会合であったが、手続きは機密扱いで、声明は一切発表されなかった」

 何もかも筒抜けの露出狂時代に、誰が何故、極秘の会合にしたのか?

③ 3月20日、ラマダン(断食月)が明けて本格的外交再開:

 2026年のラマダン(断食月)が西サハラ難民キャンプでもモロッコの王宮でも、3月19日で終わった。続く<ラマダン明けのお祭り>が終わると、さ~あ~~仕事だ!

 ロス氏の自らの体験にもとづく論文が国際社会で再評価され始めた。

 「西サハラ極秘会合は米国の強い要請により、決議2797への支持とモロッコの提案に代わるいかなる代替案も拒否していると明言している。ポリサリオは、西サハラの将来を決定する人民投票の要請を撤回しモロッコ主権内での自治体制を交渉するよう(この会合で) 圧力をかけられている。独立を目指して50年にわたる努力を考えれば、これは受け入れがたい苦い現実だ」と、何度も難民キャンプに足を運び、2016年にはパン前国連事務総長を西サハラポリサリオ解放区やキャンプに案内したロス氏は、西サハラ難民の想いを代弁した。

 「信頼できる自己決定権とは何かを早期段階で探求しなければならない。人民投票は伝統的な手段なのだが、、」

 「米国は、2026年半ばまでに枠組み合意を成立させ、10月末までに最終合意を成立させたい、」と、ロス氏は、トランプ政権とモロッコの<捕らぬ狸の皮算用>を暴らした。

 「問題は大きすぎる。特に安全保障理事会が一方の提案を支持し、アメリカはモロッコの西サハラ主権を認めたため、もはや両者は誠実な仲介者とは見なされていない。」と、国連も共犯者に巻き込んだモロッコと米国の悪巧みを危惧した。

 そして、ロス氏は、「非公開で交渉された自治協定と、国民の民族自決権の自由な行使の間の矛盾は、おそらく克服するにはあまりにも大きすぎる、、」と、強調した。

 それにしても、3回にも上る西サハラ問題国際会議を、なぜ、機密に行わなければならないのか?疑問が残る、3月13日、ニューヨークタイムスで、「トランプ米大統領の娘婿であるジャレッド・クシュナーが中東特使として活動する過程で、自身が設立した投資会社アフィニティ・パートナーズに約50億ドル規模の追加投資ファンド造成のため中東の投資家らと接触」とすっぱ抜き、トランプ外交の隠された実態を暴露した。

 クシュナーは1月にスイスで開かれた世界経済フォーラム(WEF・ダボス会議)に米代表団の一員として出席したが、真の目的は財界指導者らとの非公開秘密会談、すなわち、新規資金調達の秘密協議だった。公的業務を私的利益追求に利用する、トランプ公私混同政策はトランプ一家に浸透していて、肝心なことは<一家の秘密>、、

 因みに、パレスチナ騙しのクシュナーはトランプ娘婿、西サハラ騙しのブーロスはトランプ娘婿の親父、同じ穴のむじなです。秘密主義です。

 「イランは我が国に対し差し迫った脅威をもたらしていない。イスラエルとその強力な米国のロビー団体からの圧力によって、この戦争を始めたのは明らかだ」と、ジョー・ケント米テロ対策長官は、X でイラン攻撃に反対しトランプ大統領に三行半を突き付け、辞任しました。 

 入れ墨をしょった元アメリカ陸軍特殊部隊「グリーンベレー」隊員は、「自分らだけで密室協議をし、反対者は寄せ付けない」と、インタヴューでトランプ一家を非難しました。    

 パレスチナも西サハラも、トランプ一家の被害者です。

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 「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。                                著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、                  定価:本体1,800円+税、                                        発行人:松田健二、                                              発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―12―9、クランディ―ルお茶の水201              電話:03-3814-3861

同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。

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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。                       「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc                      「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU

Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。              「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo                   「Last Colony in Africa]  英語版URL:   https://youtu.be/au5p6mxvheo

WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十  2026年3月21日               SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエ「ーション)代表:平田伊都子

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座  https://chikyuza.net/                            〔eye6135: 260321〕