2016年10月24日、国連PKOトップで国連副事務総長のハーベ・ラドスが西サハラ難民キャンプとMINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)を視察している頃、同じアフリカのど真ん中・中央アフリカ共和国ではPKOに反対する住民デモが勃発しました。 「PKOは住民を守ってくれない。中央アフリカから出ていけ!」と、叫ぶデモ隊にPKO部隊が発砲し4人が殺されました。 PKO部隊は催涙ガス弾を撃っただけだと、釈明しましたが、血だらけの死体が警察の車で運ばれていったと、目撃者が語っています。 この事件の真相は、国連記者会見でも追及されました。
そして、炙り出されてきたのが国連内部告発者アンダー・コンパス元国連人権高等弁務官地域作戦トップです。 彼は、モロッコへの情報提供者でもありました、
西サハラに展開する国連PKO基地の一つです
(1)定例国連記者会見にアンダー・コンパス登場:
2016年10月28日の国連記者会見で、記者の一人が、「仏紙リベラシオンがアンダー・コンパスの長いインタビューを載せていたが、彼が<中央アフリカPKOなどの問題に関して、パン・ギムンには指導力がない>と、非難している。彼は国連人権高等弁務官のベテランだった。国連として、彼の発言をどう思うか?」と、質問した。ステファン国連報道官は、「私は彼の意見に反対だ。中央アフリカなどに関して、事務総長は総括的に、微に入り細にわたり対応している。中央アフリカの事は我々が知りうる限りの最新情報を君たちプレスに公開している。事務総長はこれらの性的搾取・虐待などの違法行為に対して、断固とした態度で、対処している」と、答えた。
話題の人・アンダー・コンパスは1955年にスウェーデンで生まれた国連高官だ。OHCHR(国連人権高等弁務官)地域作戦リーダーを長年務めた。
(2)アンダー・コンパスとフランス:
アンダー・コンパスOHCHR(国連人権高等弁務官)事務所の地域作戦リーダーは、2013年12月から2014年7月にかけて中央アフリカでのPKOフランス兵による少女性的搾取・虐待事件の途中経過を、ゼイド高等弁務官の許可なしにフランス政府へせっせと通報した。ゼイド高等弁務官はコンパスをその要職から追放した。フランス兵17人の性的搾取容疑者たちに対する調査は、今も続いている。
2016年に入っても中央アフリカでは、国連PKO要員らによる性的搾取・虐待などの違法行為が後を絶たない。50セントを業者に払って売春しているのは、フランス、モロッコ、ブルンジ、ガボンから派遣された兵士たちだという。
(3)国連内部告発者アンダー・コンパスは正義の味方か?:
2016年6月8日、アンダー・コンパスは国連を辞職すると発表した。同時に彼は、国連の階級制度と国連批判を許さない体制に、不満を漏らした。
アンダー・コンパスが国連を去った後も、中央アフリカではPKOの性的不祥事が続き、10月24日には中央アフリカにあるPKO本部が住民デモに襲われ、国連PKO軍の発砲で住民4人が犠牲になった。さらに10月27日には2013年からくすぶっていた宗教と部族対立が絡む内紛に火が点き、15人が死んだ。28日の朝には再び衝突があり、6人の国境警備隊員と4人の住民が命を落とした。
中央アフリカでは内戦が起きた2013年から、数千人が殺され数万人が避難民となっている。国連はPKO部隊MINUSCA(中央アフリカ多面的統合安定化ミッション)を設置し、延べ12,000人のPKO兵士を送り込んできた。
(4)アンダー・コンパスとモロッコ:
アンダー・コンパスとモロッコとの繋がりは深い。
2013年2月8日、モロッコ国連大使オマル・ヒラールはモロッコ内閣に、<人権問題に関するロス特使と国連人権高等弁務官>と題する機密Faxを送った。Faxは、モロッコの親友コンパス情報として、「国連人権高等弁務官ピライ夫人(ゼイド氏の前任者」が、西サハラ占領地視察を勧めるロス特使の意見に乗らないよう画策した。ロス特使はMINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)の任務に西サハラ人権問題監視作業を加えるよう、ピライ夫人の賛同を求めたが、無理だと諦めた」と、報告した。さらにヒラール大使は「ロスは、モロッコが彼の更迭を求めたことを、未だに悟っていない」と、付け加えている。
2013年 11月29日、ヒラール大使がモロッコ内閣などに宛てたFaxは<国連人権高等弁務官のモロッコ訪問>と、題されている。その中で、「国連人権高等弁務官内のモロッコの協力者アンダー・コンパス地域作戦リーダーなどの工作で、弁務官のモロッコ訪問にはモロッコ占領地・西サハラを省くことになった」と、コンパスの諜報活動を称賛している。
コンパスがヒラールから賄賂を受け取った事がばれている以上、<正義の告発者>という称号は相応しくないようです。
ところで、国連安保理11月議長国はセネガルです。 フランスの子分・セネガルはモロッコを支持しています。 モロッコはセネガル議長を100%利用しようと、あれこれと企んでいるようです。 一方の西サハラ難民政府は、、ちょっと困ったかなあ?、、 国連の正義と安保理理事諸国の良心に期待するしかないのでしょうか?? がしかし、「待っても海路の日和はありません」
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2016年10月31日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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