SJJA&WSJPO【西サハラ最新情報】160 パナマ文書にモロッコ国王陛下秘書

2016年5月10日、パナマ文書に記載されていた法人や個人の名前を、ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)がホームページで公表しました。 タックスヘイブン(租税回避地)と呼ばれる21か国と、税金逃れをした214,000の法人と個人の名前など11,500,000件が明らかされ、我々貧乏人とは全く縁のない金持ち連中が戦々恐々として言い逃れを考えています。 そのパナマ文書に、モロッコ国王陛下の秘書が名を連ねているのです。

(1) パナマ文書:
パナマ文書とは、パナマにあるモサック・フォンセカ法律事務所が1970年代から2016年にわたって作成した、機密文書をいう。匿名者から文書を入手した、<南ドイツ新聞>が、ワシントンD.C.にあるICIJに送り、80カ国の約400名のジャーナリストが分析に加わった後、2016年4月3日に分析の結果が発表された。発表された有名人たちは、ロシア大統領ウラジーミル・プーチンの友人3人、習近平中国共産党総書記の義兄、李鵬元中国首相の娘、デヴィッド・キャメロン英首相の亡父、ナジブ・ラザク・マレーシア首相の息子、イルハム・アリエフ・アゼルバイジャン大統領の子供達、ヌルスルタン・ナザルバエフ・カザフスタン大統領の孫、ナワーズ・シャリーフパキスタン首相の子供達、ジェイコブ・ズマ南アフリカ大統領の甥、エンリケ・ペーニャ・ニエト・メキシコ大統領の財政的支援者、盧泰愚元韓国大統領の息子、コフィー・アナン元国連事務総長の息子、そして、モロッコ国王陛下モハンマド六世、、と、続く。人名リストは日本人にも及んでいる。

 内部告発および情報漏洩専門のウェブサイト・ウィキリークス編集長アサンジが、パナマ文書の流出には米国国際開発庁と米投資家のジョージ・ソロスが関わっているとツイッターで語っている。

(2) 麻薬ハシッシ摘発:
 パナマ文書の漏洩は、各国の首脳やその関係者の隠れた資産運用の実態を明らかにし、アメリカがテロや麻薬取引などに関わる犯罪組織との関連が疑われると指定した、33以上の人物や団体の名前も含まれている。

 MAP(マグレブ・アラブ・プレス)モロッコ通信組織によると、「2016年5月6日、モロッコ南部のアガデール警察が、マリに向かうモロッコ北部から来たトラックを摘発した。約15トンの鳥餌に隠されていた麻薬ハシッシを発見し、3人のモロッコ麻薬密輸人を逮捕した」とある。

 5月7日のMAPは、「モロッコ北部のバブ・セブタにある国境検問所で、128㎏の麻薬を密輸しようとしていた3人のモロッコ人を、モロッコ国境警察官が逮捕した」と報じている。バブ・セブタはモロッコ北部にあるスペイン領セウタに接する国境にある。モロッコのバブ・セブタ検問所とスペインのセウタ検問所を無事通過すれば、そこは憧れの<ヨ―ロッパ>!命がけで地中海を渡ることはない。モロッコ移民やアフリカ移民が殺到し、検問所は度々閉鎖されてきた。麻薬ハシッシの密輸中継点でもある(MEDIAS24発)。

 BBC・英国TVなどの報道によると、2016年5月9日の朝、ベルギー・ブリュッセルでモロッコ移民二世のISイスラム過激派組織欧州細胞に対する裁判が始まったそうだ。2015年11月のパリ・テロと2016年3月のブリュッセル・テロの容疑者のうち6人が出廷した。ISイスラム過激派組織欧州細胞の資金源の一つが、モロッコ産麻薬ハシッシである。

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 モロッコ南部のアガデール警察に捕まった麻薬密輸犯3人(後ろ姿)と押収品

(3) 43年前の5月10日、ポリサリオ戦線創設:
 5月10日はポリサリオ戦線創設の記念日で、毎年、一か月ほど準備をして大騒ぎをするのだが、今年はシ~ンと静か、、独立に繋がる国連西サハラ住民投票の可能性が見えてきたからには、祭りなんかに浮かれていられないし、祭りで世間の目を引く必要もない。アルジェリアの西サハラ難民とモロッコ占領地の被占領民は、一丸となって国連西サハラ住民投票の実現を目指している。

 西サハラ民族の独立運動を指導しているポリサリオ戦線は、1973年に羊飼いのエル・ワリが創設した。ポリサリオ<Polisario>戦線とは、<Frente Popular para la Liberacion de Saguia el Hamra y Rio de Oro>という超長いスペイン名の略である。日本語に訳すと<サギア・エルハムラとリオ・デ・オロ解放のための人民戦線>となる。サギア・エルハムラ(赤い涸れ川の意味)は西サハラ北部のアラビア語地名で、リオ・デ・オロ(金の川の意味)はサハラ南部のスペイン語地名である。

 創設者エル・ワリは砂漠の戦場で散ってしまったが、死後40年経った今、国連も国際社会もポリサリオ戦線を西サハラ民族の代表と認めている。

 モサック・フォンセカ法律事務所は、情報漏洩は国外サーバーのハッキングの仕業で、同事務所は法に触れることなどしていないと自己弁護しています。

 しかし、パナマ文書は庶民の厳しい反脱税非難に火を点け、アイスランドの首相やスペインの産業相などを辞任に追い込みました。

が、しかし、、モロッコ国王陛下に物申すモロッコ庶民なんて、いるとは思えません。 モロッコ国王陛下に一言でも悪口を言おうものなら、<不敬罪>というお縄を頂戴してしまうからです。 

WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之     2016年5月11日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子 

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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