2016年7月26日の午後は、国連安保理を覗いてみましょう。 お金のある幸せな方は、ニューヨークの国連本部にお出かけください。 お金のない不幸せな方はご一緒に、国連のウェブサイトで国連安保理会議場と別所浩郎国連日本大使・安保理7月議長の記者会見を覗いてみましょう。 ニューヨークと日本の時差は13時間、ニューヨークの7月26日午後1時は日本の7月27日午前2時です。 国連安保理の映像中継は、UN.WEB.TV、それからMeeting &Events とアクセスしてください。 別所浩郎国連大使の素敵な笑顔におめもじできます!
(1)別所浩郎、国連日本政府常駐代表特命全権大使:
2016年7月15日、国連本部で別所浩郎・国連日本大使の定例記者会見が行われた。この日はイラクUNAMIと西サハラMINURSOが取り上げられ、そのうち西サハラMINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)に関しては、記者団からモロッコ国連妨害事件の進展について、具体的な状況説明を求められた。別所浩郎国連日本大使は、「7月26日に国連事務総長から西サハラMINURSO要員の職場復帰に関する報告がある」として、詳細を避けた。モロッコ国連妨害事件とは、3月20日にモロッコが、西サハラMINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)要員84名をモロッコ占領地・西サハラから追放したことを指す。スペインのラス・パルマスで待機していた要員16名は7月半ばにモロッコ占領地・西サハラにあるラユーンMINURSO基地に職場復帰をしたと伝えられている。残り要員の職場復帰は?滞った職務は?MINURSO (国連西サハラ住民投票監視団)という名前が示す国連西サハラ住民投票の施行は??26年間も放置されていた<国連西サハラ住民投票>に、世界の目が向けられる。それが7月26日の国連安保理だ。しかも安保理の議長は我らが日本・国連大使、、ワクワクしますね!
(2)モロッコ王の無理難題要求書:
全く可愛げないのが、モロッコ国王のAUアフリカ連合に宛てたラブレター。32年前、AUアフリカ連合が西サハラを正式加盟国にしたのが気に食わないと、蹴とばしてAUを出て行ったのを忘れたのかしら?その後も事あるごとに、あんな貧乏団体は邪魔にこそなれモロッコの国益にならないとか、黒人の頭なんて、、とか、散々悪態をついてきたのを忘れたのかしら? 国際社会から孤立しつつあるモロッコにとって、唯一残された国際団体が馬鹿にしてきたAUアフリカ連合とは、皮肉だネ。そして、モロッコは、恥も外聞もなく大昔の捨てた恋人に長々と自分を売り込む恋文を送った。
ところが、さらにメンコクないモロッコは、「西サハラをAUアフリカ連合から追放せよ」と、暴言を吐いた。しかも、セネガルを通じて、しかもAUサミットが開かれていたルワンダの地元通信社を通じて、西サハラ追放のモロッコ王令を発表したのである。
(3)故アブデル・アジズ西サハラ難民大統領を偲ぶAUサミット:
2016年7月17日のルワンダの首都キガリ第27回AUアフリカ連合サミットは、故アブデル・アジズ西サハラ難民大統領への黙祷で始まった。7月18日、第27回AUサミットのメインテーマである<人権、特に女性の権利の拡張>にちなんで、ルワンダとアルジェリアと南アフリカとチュニジアの女性貢献に対して、表彰状が贈られた。南アフリカ大統領の元ファーストレデイでAU事務総長のドラミニ・ズマ博士は、「アフリカ諸国は団結精神を守り、全アフリカ大陸の経済発展に向けて、行動計画を一緒に勧めて行こう。このサミットは我々が団結すれば、どんな困難にも打ち勝つことができるということを見事に証明してくれた」と、AUサミットの成功を誇った。
第27回AUサミット議長のチャド大統領イドリス・デビ・イトゥは、「アフリカ大陸を発展させ独立を目指すための我らが呼びかけは、続行されねばならない。我々は、あらゆる分野で男女平等を推進し、お互いに切磋琢磨してより高めていかねばならない」と、鼓舞した。
予定されているAU事務総長の選挙には、ボツワナ外務大臣ペロノミ・モイトイ博士と赤道ギネア外務大臣アガピト・モクイ氏とウガンダ前副大統領スペチオサ・カジブエ博士の三人が立候補している。2017年1月アジスアベバ本部で行われるAUサミットまでは、現ズマAU事務総長が職務を続投する。
第27回AUサミット
(4)「AUから西サハラを追放」というモロッコ発言は、乱暴でナンセンス:
2016年7月21日、アルジェリア首相アブデルマレク・セラルは、「西サハラをAUアフリカ連合から追放しろ>というモロッコの要求は乱暴でナンセンスだ。基本的に、モロッコのAU復帰に関して、アルジェリアとしては問題などない。アルジェリアは地域の安定化に向けて、モロッコ人民と話し合える可能性があるのなら、いささかも躊躇しない。が、西サハラに関して、アルジェリアは当初から一貫している。我々は国連決議を支持し、国際法を尊重する立場を取り続けているし、それは、これからも変わらない」と、明言した。
7月に入っても、バングラデシュ・テロ事件、ニース・テロ事件、トルコ・クーデター未遂、などなど、大事件が後を絶ちません。イラクもシリアもリビアも戦争状態です。リビア沖では、金を騙し取られて溺死したアフリカ難民の人々が浮いています。
国連安保理7月議長で別所浩郎国連日本大使は、殆ど毎日のように国連本部で記者団の質問を受けています。残酷で複雑な世界の難題を背負って、爽やかにしかも丁寧に記者団と対応される大使は、凄いです。 国連安保理は私たち庶民と縁遠いもの、、でしょか?
いえいえ、縁遠くしているには、私たち庶民です。 億劫がらず、国連にアクセスしてみませんか?
文:平田伊都子 ジャーナリスト、 写真提供:AUアフリカ連合
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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