2018年9月25日から始まった第73回国連総会一般討論では、初日の♠米大統領の演説が必要以上に注目を浴びました。 実は、10月1日まで各国代表の演説が続いていたのです。 が、ハイライトが終ると、国連総会会場の観客はまばらで、マスコミも演説をフォローしなくなります。 そんななか、アフリカ最後の植民地・西サハラに関して 26日には南アフリカとナミビアとキューバが、27日にはジンバブエが、28日にはタンザニアが、西サハラ人の民族自決権を支持する演説をしました。 そして、9月27日、ペドロ・サンチェス・スペイン首相が西サハラ問題を語ったのです! スペインはこれまで、元スペイン植民地・西サハラに触れることを避けてきました、、
(1)西サハラの元宗主国スペインが国連総会一般討論で、西サハラ問題に言及:
9月27日、司会者に紹介されて国連大会議場の演壇にゆっくり足を運ぶ長身のペドロ・サンチェス・スペイン首相。<エル・グアポ(スペイン語で美男子の意味、彼の仇名)>という掛け声がかかってきそうだ。端正で引き締まった美形、鋭い眼光、、長年スペイン社会労働党党員や党首として鍛えてきたから、演説がうまい。なによりも、移民難民問題や貧困問題や多国間主義など、難題に正面から向き合った姿勢がいい。演説の中でエル・グワポ・ペドロは、「スペインに残された未解決の歴史的国際懸案事項が、二つある。一つめは英国とのジブラルタル問題で、二つ目は西サハラ問題だ。かって西サハラはスペインの植民地だった。スペインは国際社会に、西サハラの恒久的な平和解決を期待している。スペインは西サハラ人の民族自決権実現を目指す国連事務総長と国連事務総長個人特使の努力に敬意を払う」と、語った。そして、スペイン内戦(1936年7月17日~-1939年4月1日)を戦い、亡命先のメキシコシテイ―で客死した詩人レオン・フェリペの一節「一人で抱え込むな、一緒にやっていこう」を謳い、演説を締めくくった。
(2)モロッコ外交団はモロッコ王のメッセージ配達夫:
外交ロビー活動に長けているモロッコ外交団は、モロッコ国王モハンマド6世陛下の親書を、国連のみならずワシントンでもばらまいた。
サアッデイン・オスマニ首相は国連総会一般討論や国連平和維持軍PKO特別安保理委員会で、国王陛下の親書をそのまま読み上げた。親書は、モロッコが国連をはじめとする国際社会にいかに貢献しているかを宣伝し、モロッコ・サハラ(西サハラに対するモロッコだけの呼称)の主権を強調し、モロッコ自治州案以外の話合いには応じないと明言している。オスマニ首相は、「ポリサリオ西サハラ難民政府とは同席しない」と、西サハラとの直接交渉を強く拒否している。
ナセル・ブリタ・モロッコ外務大臣はワシントンでモロッコを支援する議員たちに会った。国連本部では♠米大統領夫妻と記念写真におさまったり、セルゲイ・ラブロフ・ロシア外務大臣殿と面談した。西サハラ問題をブリタ外務大臣が話したかどうかは、明らかにされていない。モロッコ外交団は様々な国連委員会にも顔を出している。
ワリド・サレク外務大臣が率いる西サハラ難民政府外交団も、ニューヨーク入りした。
国連はポリサリオ西サハラ難民政府を未だ国家として認めていない。しかし、西サハラと同じ立場にあるパレスチナは,,オブザ-バーとして国連内での外交活動や取材活動を認められている。「西サハラ記者にもパレスチナと同様に取材権を認めるべきだ」と、リー記者は国連報道官に詰め寄ったが、この一件も含め、モロッコ外交団にリー記者は永久追放された。国連内での外交活動をモロッコから排除されている西サハラ外交団は、国連内のトイレを自由に使用することすらままならない。
(3)ホルスト・ケーラーの招待:
9月27日、国連事務総長個人特使・ホルスト・ケーラー元ドイツ大統領は国連内部にポリサリオ西サハラ難民政府外交団を招待した。さらに、アルジェリア外務大臣アブデルカデル・メっサヘルや。モーリタニア代表との会合も重ねた。
写真左側が国連西サハラ担当団で、真ん中がホルスト・ケーラー。
右側が西サハラ国連代表団で、センターにモハンマド・ハダッド・団長
そして、国連事務総長個人特使ホルスト・ケーラー元ドイツ大統領は9月28日、モロッコとポリサリオ西サハラ難民政府の両当事者に加え、オブザーバーのアルジェリアやモーリタニア両隣接国に対して、12月4日と5日にスイスのジュネーブで行う両当事者交渉の場に招待した。「この会合は具体的な懸案事項を討議するものではなく、両当事者の交渉をどう進めていくかを検討する準備会合だ」と、西サハラと同席したくないモロッコに気を使った。「10月20日までに返事をするように」と、付け加えた。
モロッコはこの情報をAFP(エージェンス・フランス・プレス)発と、西サハラはAPS(アルジェリア・プレス・サービス)発としている。
「西サハラ問題は、脱植民地化問題と決定を下した国連に責任がある。アルジェリアは西サハラ人民自身が自らの民族自決権を行使して脱植民地化を解決しうるものだとみなしている。そのためにはモロッコとポリサリオの両当事者が直接交渉して双方が納得する政治的解決が望まれる。アルジェリアは直接交渉再開を目指す国連事務総長と国連事務総長個人特使を支援する」と、閑散とした9月29日土曜日の第73回国連総会一般討論会でアルジェリア外務大臣アブデルカデル・メっサヘルが熱弁を振るいました。
ほんとうに、真っ当なご意見ですが、、もっと、たくさんの人に聞いてほしいですね
Youtubeにアップした「人民投票」(Referendum)のご案内です。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いいたします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2018年10月1日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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