西サハラ難民青年の間で憧れの活動といえば、外交です。 とは言え、豊饒な外交予算
などあるはずがなく、招待者の旅費宿泊費負担と、なります。 パスポートの手配やビザの取得にも想像以上の手間がかかります。 例えば、TICAD7閣僚級準備会のため来日したワリド・サレク西サハラ難民政府SADR(サハラウィ・アラブ・民主共和国)外務大臣。 アルジェリア発行のパスポートとAUアフリカ連合の西サハラ難民政府SADR正式国家承認証を所持した西サハラ難民政府外務大臣に、日本は「国家承認をしていない」という理由で、会議参加不許可を宣告したそうです。
難民外務大臣は仕方なく自費で格安ビジネスホテルに泊まりました。 「日本は優しくないね~~」と難民外務大臣に言われてしまいました。
(1)ベイサット、外交最前線へ躍り出た:
2018年10月22日、ラユーンと名付けられた西サハラ難民キャンプで、ブラヒム・ガリ西サハラ難民政府大統領がモハンマド・ベイサットに、国連西サハラ交渉団の一員となることを命じた。やった~ベイサット! 英語、フランス語、スペイン語、そして母国語アラビア語に堪能なベイサットは、国際舞台で活躍するに相応しい語学力を備えている。それ以上に、国際法と人権問題と国際経験に長けている。何よりも優しい、、そのベイサットが、ラユーン難民キャンプ長では宝の持ち腐れと、遠い日本でジリジリしていた。
SJJAはベイサットを、2011年5月11日から5月16日まで、東日本大震災直後の日本に招待したことがある。到着した日から出発直前まで、びっしりのスケジュール、、京都を含め講演が5件、超党派議員諸氏との会談、プレスインタヴューの数々を、白い民族衣装を纏って元気に、にこやかにこなしてくれた。中でも、石巻の震災避難所を訪れた時は、「お互いに避難生活は辛いね!」と、被災者のみなさんとベイサット難民大使は意気投合した。
その後、ベイサットはアメリカの首都ワシントンの代表になったが、2017年から難民キャンプ長を務めていた。ちなみに、約20万人の西サハラ難民は、五つの難民キャンプに夫々、故郷の名前を付けて、暮らしている。その難民生活は43年にもなろうとしている、、
(2)モロッコには交渉参加以外の選択肢はない:
10月22日、ブラヒム・ガリ西サハラ難民政府大統領はラユーン西サハラ難民キャンプの大集会で、「西サハラ紛争解決に向けて、国連は両当事者交渉を12月5日と6日に開催することを提案した。両当事者とは我々西サハラ人民とモロッコ王国を指す。我々は勿論、交渉参加を快諾した。それに反してモロッコは、<西サハラとの直接対面には応じないが、アルジェリアやモーリタニアなど近隣諸国を交えたラウンドテーブルの席には着く>と解答した。モロッコは2012年5月17日から今日まで、国連が主催する交渉の席を拒否し続けてきた。そのモロッコも、国連事務総長個人特使のホルスト・ケーラー・元ドイツ大統領による交渉再開ラウンドテーブルを蹴るわけにはいかない。AUアフリカ連合、EUヨーロッパ連合、さらにモロッコの友好国である湾岸諸国の一部も、ケーラー提案の交渉再開を歓迎している。モロッコにはもはや、交渉参加以外に選択肢がない」と、未だに西サハラとの同席を渋るモロッコを、強く牽制した。
そして、「我々西サハラ人民は、この新たに提案された国連西サハラ交渉を、最優先事項
として取り組んでいく。そのために、我々は最強の外交団を結成する。みんなの兄であり父であるベイサットは西サハラ民族の存亡を賭けた新しい外交戦場に赴く。ベイサットの後は、モハンマド・ラミン・アルマハジューブがしっかりと引き継ぐ」と、大統領はベイサット新外交戦士と新難民キャンプ長の手を握った。
(3)マイク・ポンペオ米国務長官とアントニオ・グテーレス国連事務総長の会談:
「10月23日、グテーレス国連事務総長は首都ワシントンに出張して、ポンペオ米国務長官と会った」と、国連事務総長副報道官が10月24日の国連定例記者会見で、短い報告をした。「たった30分の両者会談に、一日がかりはおかしい?」と、記者が質問した。
「彼は、資金支援者との晩餐会に参加したと聞かされている。ポンペオ以外の米政府高官との会見は聞かされていない」と、副報道官は答えた。「しかし、事務総長は上下両院議員に会ったと、米国務省自身が発表しているぞ?」と、他の記者が詰問したら、副報道官は渋々、「彼は個人的に数人の米議会議員に会った」と、会合を認めた。こんな時にこそ、リー記者の突っ込みが必要なのだ。10月24日は、国連が決めた<国連デー>で、もしかしたら、リー記者の禁足が解かれるのではと同僚記者たちは期待したが、、この日も、リー記者の姿は会見室になかった。
10月23日に、米国務省は同日、ポンぺオ米国務長官とグテーレス国連事務総長が西サハラ問題を巡って会談したと発表している。会談の詳細は明らかにしていない。10月29日に国連安保理が採決するミヌルソMINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)の任期を巡って、やり取りしたらしい。「ミヌルソMINURSO不用論」を唱えるジョン・ボルトン米国家安全保障補佐官は、ミヌルソMINURSOの予算を現在の16憶円から半額の8憶円に削減することを唱えている。この会議には、アラビア語に堪能な中東外交官のデビッド・ヘイル副米国務長官も参加していた。
日本は、国家承認をしていないパレスチナを、准国家扱いにし、様々な会議に正式招待し、資金援助もしてきました。 日本にも優しさが残っていると、期待しています、、、
西サハラにも優しさをお願いします。
Youtubeにアップした「人民投票」(Referendum)のご案内です。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いいたします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2018年10月27日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion8132:181104〕