2015年10月7日早朝から夜中まで、我が庵の上空を、プロペラ米軍輸送機、米軍ヘリコプター、米軍ジェット戦闘機が無数に飛んで行きました。 最初は数えていたのですが、、いつもと違ってあまりに数が多く、無数としか報告のしようがありません。 ここ津久井の山は米軍横田基地と米軍横須賀基地のちょうど通過地点にあり、米軍の動きが手に取るように分かるのです。 もう明らかに、米軍は新配備した原子力空母ロナルド・レーガンに大量破壊兵器や戦闘機や戦車を積み始めているようです。 どちらにお出かけ? 決まってるでしょう、、ロシア軍を牽制するため中東方面に向かうのです。
ロシアがシリアのISやテロリストを空爆:
2015年9月28日の国連総会演説の前に、ロシア・プーチン大統領は「アメリカがISに対抗するため行っている反政府勢力の兵士の育成に関して、やっと60人を訓練したが、実際に戦っているのは4~5人程、大部分がアメリカ製の武器を持ってIS側に寝返った、、アメリカの取り組みは失敗だ、、実際にISと戦っているのは、アサド政権の軍だけだ。」と、アメリカのテレビ・インタヴューで語った。「アサド政権を救うのがあなたの目的か?」というCBSの問いに、「あなたの言う通りだ」と、答えた。そのうえで、「アメリカやトルコ、サウジアラビアなどに協力態勢を整えるよう提案した、、外交交渉だけがシリア戦争を解決できる」と、プーチンは正論を展開した。が、その舌の根も乾かない翌日の9月30日に、ロシア国会はプーチンから出された<テロリストを撲滅するためのシリア空爆>を承認し、即、シリアの空爆が始まった。
ロシア国防省のコナシェンコフ報道官は2日、夜間も含めて複数の攻撃機と爆撃機を出撃させ、1日から2日にかけてシリア北部にあるISの拠点など10か所以上を破壊したことを明らかにした。「北部のアレッポではISの拠点を破壊したほか、北西部のイドリブでもISの宿営地を爆撃した。ISの武器の保管庫や燃料の貯蔵施設も完全に破壊した」と発表した。
10月7日、ロシアのショイグ国防相は、「ロシア海軍の4隻が1500キロ離れたカスピ海から巡航ミサイル26発を発射し、シリア領内の過激派組織ISの11拠点を攻撃した、民間人の死傷者はいない」と、明らかにした。さらに、領空侵犯を非難するトルコや欧米諸国に対して、「ミサイルは、シリア作戦で協力するイラン、イラク上空を通過した」と、国防相は説明を加えた。10月8日、アメリカは、ロシアの巡航ミサイルが米軍偵察機に接近したとか、26発のうち4発がイランを誤爆した、などなど、いちゃもんをつけた。
欧米のロシア空爆反応:
10月2日、オランド・フランス大統領はプ-チン・ロシア大統領とパリで会談し、ロシア軍のシリア空爆に関して、①過激組織ISに攻撃対象を限定すること、②市民の安全確保、③アサド・シリア大統領からの政権移行につながることなど、三つの条件をプーチン大統領に示した。フランス自身が既にシリア空爆を実施しており、強くロシアを非難できる筋合いではない。
両首脳は、米国、フランスなどを含む有志国側とロシアの立場を近づけるため、協議を重ねる方針を確認したそうだ。
10月2日、オバマ大統領はホワイトハウスの記者会見で、シリアでのロシア軍によるIS空爆に関して、「プーチン大統領はISと、アサド政権の打倒を目指す反政府勢力を区別していない」と文句をつけた。しかし、アメリカはずっとシリア空爆を続けていて、アメリカもフランスと同様に、正面切ってロシア空爆を非難できる筋合いのものではない。そしてオバマは、「われわれはアサド大統領を批判する人たちすべてを滅ぼそうとするロシアとは軍事作戦で協力しない。ロシアの政策は穏健な反政府勢力を排除し、ISを強化するだけだ」と、牽制した。欧米の情報筋によると、ロシア軍がシリア国内で実施した空爆の標的のなかに反政府勢力の拠点が含まれており、この勢力は、2013年からアメリカの情報機関CIAを通じて極秘に訓練や武器の提供を受けていたそうだ。が、その米軍に訓練されたシリア反政府軍の多数が、米軍提供武器を持参してISに寝返ったとか、、日本では、<鴨葱>と言います。
湾岸諸国、サウジアラビア、トルコのロシア空爆反応:
10月1日には、トルコ外務省がアメリカ、フランス、ドイツ、UAE(アラブ首長国連邦)、カタール、それにサウジアラビアと共同で、「ロシアの空爆に懸念」の表明した。
この中で、7か国は「ロシア空軍がシリアのハマ、ホムス、それにイドリブで、イスラム過激派組織ISを標的としない空爆を行ったことに深い懸念を示す、、、緊張をさらに高める軍事行動は過激派を勢いづけることになる。ロシアがシリアの反体制派と民間人に対する攻撃をただちに中止し、過激派組織ISに立ち向かうよう呼びかける」と、ロシアを非難した
シリアの春、シリア内戦、シリア戦争、、と戦禍がエスカレートしているシリアは、未曽有な難民を出して世界の良心を揺すぶり、ロシアが空爆をしたことから世界大戦の戦場になってきた。
巨額の難民支援金を払わされた日本人も、シリアを戦場地獄にしてしまった、そもそもの仕掛人を知っておく必要がある。一人はサウジアラビア王国の元トップ外交官で、もう一人はアメリカ合衆国の前国務長官だ。
まず、バンダル・ビン・スルターンという名のサウジ王子(1949)をご紹介。
王子はイブンサウド国王の15男で、1983年から2005年まで駐米サウジアラビア大使を務めていた。2000年代に入りバンダルはジョージ・W・ブッシュ政権時に、軍事力によるイラクのサッダーム・フセイン政権の打倒を主張した。サウジラビア独裁王国は、社会主義共和体制のイラクとシリアを仇敵としていた。さらにバンダルは、チェイニー米副大統領(当時)が提唱するイランとシリアの政権打倒・民主化プログラム「The new Middle East(新中東)」政策を支持し、実際に彼の思惑通りにアメリカの中東政策を牽引していった。
2005年10月、アブドゥッラー国王の下で、駐米大使から国家安全保障会議事務局長に栄転した。2010年からのアラブの春ではアラブ諸国の民主化に否定的だった中国と軍事的経済的協力関係を強め、協力を取り付けていった。
2012年からは、国家安全保障会議事務局長を兼任する形で総合情報庁長官に就任した。2013年7月にロシアを極秘訪問し、プーチン大統領に「ロシアがシリアから手を引けばチェチェンのイスラム過激派の対露テロ行為を止めさせることが出来る」と、もちかけたが、プーチンは「あんたのとこがチェチェン・テロリストの仕掛人だろ?」と、断固、拒否した。その後のバンダルは、シリア・イラン政策で、穏健姿勢を採るオバマ政権のアメリカとは距離を置くようにと、サウジ国王に進言した。が、アアブドウッラー国王の死去で、権力を失っていく。駐シリア・ヨルダン大使のバハジャト・スレイマンや、ジャーナリストや学者たちの多数が、バンダルこそがアルカーイダの<真の指導者>であるとしている。
次にご紹介する<アラブの春>の仕掛人は、次期米大統領候補のヒラリー・クリントン前米国務長官だ。彼女は大統領候補演説会場で、「シリア戦争でまずやることは、アサドの抹殺だ」と、叫んだ。
この二人の共通する目的は、アサド・シリア大統領の抹殺だ。アサドが真実を語ったら、この二人にとって不利なことが芋ずる式に暴露されてくると、言われている。
米軍が、アフガニスタン国境なき医師団病院を空爆
2015年10月3日、アメリカ軍が、アフガニスタン北部のクンドゥズにあるMSF(国境なき医師団)の病院を空爆した。MSFは声明で「病院は爆撃を受けたことを米側に伝えたが、その後も30分以上空爆が続いた。全ての戦闘員に対し、医療施設やスタッフの安全を尊重するよう要求する」と訴えた。空爆時には、医療関係者80人以上と患者105人、その家族らがいたという。アメリカ軍による、MSF「国境なき医師団」の病院空爆で22人が死亡、33人が10月9日現在も行方不明だ。アメリカのオバマ大統領は「アメリカ軍が誤って空爆した、ゴメン」と、9月7日に電話でMSFトップのジョアンヌ・リューに謝罪したそうだが、電話で済む話ではない。
医療施設をアメリカ軍が空爆したことについて、国連のフセイン人権高等弁務官は、3日、「あまりに悲劇的で断固許しがたく、犯罪的ですらある」と強く非難した。そして、「今回の衝撃的な事件では、独立性を保った調査が迅速かつ徹底的に行われなければならないし、結果は公表されるべきだ。医療施設への空爆は、法廷で裁かれる戦争犯罪に等しい」
と、ICC国際政治裁判所への起訴を示唆した。が、ロシアもアメリカもICCに加盟していないのだ。
2015年10月1日、アメリカのオレンゴ州にあるアンプクア・コミュニテイー短大で、26才の男が銃を乱射し10人を殺し、約20人に重傷を負わせた。オレゴン州には、軍用自動小銃などに関する販売や所持の規制がない。購入できる銃器の数にも規制がない。
10月3日、アメリカのテネシー州で、11才の男の子が8才の女の子を父親のショットガンで射殺した。理由は、女のが男の子に子犬を見せなかったからだとか、、
10月8日、ミシガン州の金物スーパーで万引きした2人組が、スポーツカーで逃走しようとしたのに対して、48才の女が9ミリハンドガンで数発ぶっ放した。死傷者はなし。
アメリカで今年に入ってから10月1日まで銃乱射事件が294件、9956人が射殺、20,000人が重傷を負っている。
「銃発砲事件は日常茶飯事になってきた」と、オバマ・アフリカ・アメリカ大統領はアメリカ国内で頻発する銃撃事件を嘆いた。そして、銃規制を訴えた。
まったくその通りです。銃規制をしない限り、アメリカの銃撃事件は増えこそすれ、減少しません。
この世に武器がある限り、11才から大国の将軍まで、使ってみたくなるものです。
オバマさん、野放しになっているアメリカの銃にきつい規制を科せてください。
そして世界の武器製造者と武器商人のみなさま、人殺しで儲けるのを止めてください。
どうしても撃ちたくなったら、自分を撃ちましょう、、
文:平田伊都子 ジャーナリスト、イラスト:川名生十 カメラマン
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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