半澤健市の執筆一覧

昭和16年12月8日 ―髭の男の「亡びるね」を繰り返さぬために―

著者: 半澤健市

 次に掲げるのは熊本から乗った青年と京都で乗った40歳前後の男との上り列車中の会話である。 ▼「あなたが東京が始めてなら、まだ富士山を見た事がないでせう。今に見えるから御覧なさい。あれが日本一の名物だ。あれよりほかに自慢

本文を読む

石橋湛山のいない21世紀 -機会主義と大衆迎合の国-

著者: 半澤健市

 ジャーナリスト石橋湛山は、敗戦直後に『東洋経済新報』(1945年10月27日号)で近衞文麿を批判した。近衞は1930~40年代に三度にわたり首相となった政治家である。 《口火をつけたのは閣下の対支政策である》  石橋は

本文を読む

みのもんたと天野祐吉 ―「混ぜっ返し」と「小判鮫」―

著者: 半澤健市

《やっぱり「一億総白痴化」》  みのもんたの報道風番組退場と天野祐吉の死亡報道の感想を書く。 みのに関する報道は息子との関係への批判以外のものは何もなかった。私が知りたかったのは、みのもんたは「ジャーナリスト」として何を

本文を読む

半沢直樹のいないみずほ銀行 ―「元金融機関勤務」者の感想―

著者: 半澤健市

 金融機関に40年勤めた私は退職してすでに18年経った。現場を離れるとカンが鈍るのはどの商売も同じである。倍返しドラマは一回しか見ていない。むしろ一般人の感覚で感想を書いておく。 半沢直樹がいない三つの理由  だれもが半

本文を読む

「トラ・トラ・トラ」と「ミッドウェイ敗戦」 ―歴史は逆順で繰り返す―

著者: 半澤健市

《「ユーフォリア」はいつでもやってくる》  「東京五輪2020」決定で国中が「ユーフォリア(陶酔感)」にはまった。壮大な国民的錯誤の発生である。1941年12月8日に、帝国臣民が陥ったユーフォリアと同質である。いずれも2

本文を読む

私のメデイア時評 ―「書かないこと」と「書くこと」―

著者: 半澤健市

《品川正治氏の死亡記事の意味》 元日本火災海上保険社長で経済同友会終身幹事の品川正治氏が8月29日に89歳で亡くなった。氏は財界人としては珍しく護憲と反戦を公然と訴えていた。武器輸出三原則の緩和にも反対であった。新自由主

本文を読む

2013.09.03 リーマンショックから5年 ―世界の銀行株はどこにいるのか―

著者: 半澤健市

リーマンショツクから5年が経つ。 あの時私は大恐慌の再来だと思った。もうみんな忘れている。最近、米日刊紙『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』(『ニューヨーク・タイムズ』国際版、2013年8月31日~9月1日版)

本文を読む

「終戦記念」報道への違和感 ―「感傷と詠嘆」では立ち向かえない時代に ―

著者: 半澤健市

 今年も8月15日の前後に「終戦記念」番組と記事がテレビと新聞に現れた。その多くは、真面目な意図でつくられていると感ずる。私はそれを観たり読んだりして失望し、落胆し、落涙した。何という愚かな作戦であったのか。何というブザ

本文を読む

玉音放送の日に石川逸子の詩を読む ―「戦後レジーム」を忘れないために―

著者: 半澤健市

3 特攻 ゛ まっさらな きりきりとひたぶるに純粋な 青うい 十代の あなた方の心を てもなく操り 死へ ひたすら死へ 駆りたてた 男たちが憎い 葡萄のように真盛りの生を 一挙に断ち切るしかなかった あなた方 (ひたすら

本文を読む

原爆投下への抗議に関する一考察 ―「戦後レジーム」を忘れないために―

著者: 半澤健市

《原爆投下に対する「帝国政府」の対米抗議》  1945年8月6日の広島、同8月9日の長崎への原爆投下に対して、日本政府(「帝国政府」)は、8月10日に中立国スイス経由で米国政府へ抗議した。抗議の要旨は、「原子爆弾が国際法

本文を読む

山本太郎の選挙演説を聴く ―どこまで検証が必要かという問題―

著者: 半澤健市

 私事ながらこのところ体調不良で外出を控えていた。それでも参院選前夜に山本太郎の演説を聴いた。有料でPC配信する「デモクラTV」の座談会が山本と吉良佳子の善戦を伝えたからである。それまでの二人の健闘を私は知らなかった。

本文を読む

日本国民の愚かな選択 ―2013年参院選を要約すると― 

著者: 半澤健市

  2013年7月21日の参議院選挙は、安倍自民党が圧勝し民主党の惨敗に終わった。 「日本国民の愚かな選択」。これが私の第一印象であり当面の結論である。 民主主義は民意に依拠する政治である。しかし民意がいつも正しいとは限

本文を読む

伊藤博文は何というだろうか ―安倍晋三の過半数改憲論の卑しさ―

著者: 半澤健市

安倍晋三の改憲発言、とくに過半数改憲論、はこのところトーンダウンしている。 世論の反発が強いからである。しかし憲法改正への執念を取り下げたのでない。安倍改定論の無理筋の理由を「大日本帝国憲法」(明治憲法)との比較で考える

本文を読む

切り札はないのか ―2013年6月の都議選結果を考える―

著者: 半澤健市

 2009年の「政権交代」は二大政党による保守独裁体制の成立であった。 2012年の総選挙結果は、極右政権によるその強化であり「12/16反革命」である。 それが制度的に完成するのは、自民党の「憲法改正」案が法律になると

本文を読む

「飛ぶ球」問題は日本人心性の問題である ―加藤良三を解任できないのか―

著者: 半澤健市

 プロ野球の加藤良三コミッショナーは、2013年の統一球変更について、「聞くまで知らなかった」、「ガバナンスの問題だ」と言っている。飛んでもない。飛んでいるではないか。本塁打数が50%増えた。投手の防御率が低下した。昨年

本文を読む

21世紀版「女の平和」への期待 ―橋下倒すにゃ刃物は要らぬ―

著者: 半澤健市

 橋下徹(大阪市長・「日本維新の会」共同代表)の暴言は日本の政治を一変させるかも知れない。否、一変させて欲しいので私はこの一文を書くのである。 《維新とみんな》  橋下徹・石原慎太郎の二人は、揃って戦時下の女性の性的苦役

本文を読む

マルクス経済学はいま―宇野派理論家による現状分析―

著者: 半澤健市

書評 伊藤誠著『日本経済はなぜ衰退したのか―再生への道を探る』(平凡社新書) 《リーマンショックとは何だつたのか》 本書は、世間で絶滅危惧種とされるマルクス経済学者による世界経済と日本経済の現状分析である。説得力のある現

本文を読む

「侵略」は明確に定義されている ―安倍晋三の答弁を嗤う―

著者: 半澤健市

すでに田畑光永氏が触れたことだが、別の切り口で一言する。 2013年4月23日の参院予算委における丸山和也議員(自民)への安倍首相の答弁は誤りである。この誤答は世界に安倍晋三の無知蒙昧を知らしめるものである。 「村山談話

本文を読む

相場は誰にも分からないのである ―市場は何故アベノミクスを好感するのか―

著者: 半澤健市

 最初から逃げを打つつもりはない。しかし相場は誰にも分からないのである。 安倍政権発足少し前から今日に至る円安・株高はどう説明できるのか。アナリストやエコノミストという「専門家」はもっともらしく説明するが、喋っている本人

本文を読む

ベルリン国際映画祭開幕 ―60年後の『東京物語』と「3・11」―

著者: 半澤健市

 2013年2月7日から17日まで、第63回「ベルリン国際映画祭2013」が開催される。ベネチア(伊)、カンヌ(仏)と並び、世界三大映画祭の一つと呼ばれる。最近の発展はめざましく「ベネチア」を凌いだという論もある。 日本

本文を読む

1985年夏・メットで観た「暫」 ―十二代市川団十郎の他界を悼む―

著者: 半澤健市

 1985年8月、十二代目団十郎襲名披露米国公演を観た。 私がみた演し物は、団十郎が主役を演ずる「暫」、「口上」、孝夫(現仁左衛門)・玉三郎の演ずる「色彩間苅り豆」(通称かさね)であった。団十郎の若すぎる他界を知り茫々た

本文を読む

新自由主義を考える人の必読書 ―経済生活にもある大量虐殺― 書評 中山智香子著『経済ジェノサイド―フリードマンと世界経済の半世紀』(平凡社)

著者: 半澤健市

《三つの観点からフリードマンをみる》 本書はミルトン・フリードマンを教祖とする新自由主義批判の書である。 見事な出来映えである。気鋭の論客である著者・中山智香子(なかやまちかこ)は1964年生まれ、早稲田大とウィーン大の

本文を読む

大島渚追悼 ―時代は『愛と希望の街』へ回帰する―

著者: 半澤健市

お互い映画好きと知って会話が弾んだ時に、「半澤さん、大島渚を見なければ今の日本映画は語れませんよ」と言ったのは、京大出身の新入社員だった。1961年のことである。私は大島渚をみていなかった。1958年に社会人となった私は

本文を読む

改憲と原発への反対は少数派 ―2013年元旦6紙を読む―

著者: 半澤健市

《改憲と原発をどう書いているか》  元旦6紙読み比べは4回目になる。 改憲と原発の取り上げ方に注目して読んだ。今年の最大テーマだと思うからである。経済第一は極右政権の擬態である。各紙とも本紙と別刷りで構成している。別刷り

本文を読む

「12・16/反革命」の開始 -総選挙結果に関するY君への手紙-

著者: 半澤健市

Y君 最近便りがありませんが如何お過ごしですか。 30代半ばの働き盛りで「年寄りの繰り言」には興味がなくなりましたか。 それとも個人的に難しい事情でも発生したのですか。たまにはウンとかスンとか言ってきて下さい。 《10年

本文を読む