子安宣邦の執筆一覧

〈大正〉を読む・13   和辻と「偶像の再興」・その2―津田批判としての和辻「日本古代文化」論

著者: 子安宣邦

1 津田の記紀批判 「記紀の上代史が神代史と共に後世の創作であるといふことは、もう疑の余地がないと思ふ」と和辻が『日本古代文化』に書いたのは大正9年である。すでに津田の『神代史の新しい研究』(大正2年)も、その続編である

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〈大正〉を読む・12  和辻と「偶像の再興」・その1 ─津田批判としての和辻「日本古代文化」論

著者: 子安宣邦

1 偶像の破壊 『日本古代文化』の大正9年初版[1]の序で、「在来の日本古代史及び古代文学の批評」は彼にとっては「偶像破壊の資料」に過ぎなかったといっている。少年時代以来、和辻はさまざまな理由から「日本在来のあらゆる偶像

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「中国問題」と私のかかわりー語り終えざる講演の全文

著者: 子安宣邦

1)私は「中国」の研究者でも専門家でもない。私は「中国問題」についての一人の外部的な発言者である。外部的というのは、私の発言は日本からの、日本思想史という専門的立場からの、そして方法論的な外部的視点からの発言だということ

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「神代史」批判と〈脱神話化〉の意味―津田『神代史の研究』再読  

著者: 子安宣邦

〈大正〉を読む・11 「神代史」批判と〈脱神話化〉の意味 ―津田左右吉『神代史の研究』を再読する 「その大和の国家の君主の家が統一国家の首長としての皇室となられたのである。国家の統一は民族の内側に発生した事件であり、皇室

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「方法論的転換」の意味―『江戸思想史講義』中国語版序

著者: 子安宣邦

「方法論的転換」の意味 『江戸思想史講義』中国語版の読者のために 私が思想史における「方法論的転換」を遂げたのは1980年代である。日本思想史を専門領域としてもった日本の若い研究者・学生にとって、戦後長く彼らの研究目標、

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記録する存在としての人間    ―「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」を見て

著者: 子安宣邦

ドキュメンタリー映画「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」を京橋の試写室で見た。2007年の冬のことシカゴのアマチュア歴史家の青年が、ネガ・フィルムの一杯詰まった箱をオークションで350ドルで競り落としたことから話は始まる。

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「公的自由」と人間的幸福―ハンナ・アーレント『革命について』を読む

著者: 子安宣邦

「公的自由を経験することなしにはだれも自由であるとはいえず、公的権力に参加しそれを共有することなしには、だれも幸福であり自由であるということはできない。」          ハンナ・アーレント『革命について』 &nbsp

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東アジアと普遍主義の可能性*ソウル講演(2014.11.07.)/東アジアと普遍主義の可能性

著者: 子安宣邦

1  〈東アジア〉は自明か
 本連続講座が掲げる「東アジア文明と普遍主義の可能性」という課題をあえて私の講演の主題として、自分なりの答えを出すことを試みた。この答えることの困難な問題を考えるにあたって、〈東アジア〉あるい

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ソウルからの問いに答えて/東アジア問題を今どう考えるのか

著者: 子安宣邦

1.)グローバル資本主義という現代世界のあり方は、転換すべき最終的段階にいたっているという多くの識者の認識を私も共有しています。これが「東アジア問題」を考えるときのマクロなレベルにおける私の認識・判断の最大の前提です。グ

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子安宣邦 on Twitter 9月16日〜10月6日:三木清「親鸞」、慰戯、全体主義的プロパガンダ、福島とオリンピック

著者: 子安宣邦

10月6日 稲葉剛さんがいっている:国を信じてはいないが上手にだまされるならいい、という空気が日本に蔓延しているように思えてなりません。それは現実逃避です。消費税であれ、社会保障や労働政策であれ、政府がこう言うが、事実は

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5/11(土)昭和思想史研究会「歎異抄の近代」講師:子安宣邦

著者: 昭和思想史研究会

歎異抄の近代 「中国論」の読了とともに昭和イデオロギー研究会を閉じて、新たに昭和思想史研究会として発足し、昭和にいたる近代日本知識人における〈信〉の問題を追究していきたいと思います。歎異抄が彼らに〈信〉の問題をつきつける

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子安宣邦 on Twitter 3月27日〜4月21日: 日本の主権の回復とアメリカへの軍事的従属、暁烏敏と本居宣長、論語塾、『文化大革命の遺制と闘う』、V.E.フランクル

著者: 子安宣邦

4月21日 「主権回復式典」をめぐって、サンデーモーニングで寺島が、日米関係の強化をいいながら、日本の主権回復61年を祝おうとする安倍の本意がどこにあるかを危惧するアメリカの識者の声を伝えながら、同じ疑問をのべていた。こ

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4/27(土) rengoDMS 論語塾 第一回 (主催:子安宣邦)

著者: 論語塾事務局

■論語塾 −−伊藤仁斎とともに『論語』を読もう 『論語』とは孔子がはじめて「学とは何か」「信とは何か」「仁とは何か」「孝とは何か」などなどを問うていった書です。それは決して人が安直に手に入れようとするような人生訓の集まり

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子安宣邦 on Twitter11月8〜12月3日─9条と<アジアの平和>、『日本人は中国をどう語ってきたか』、 靖国問題と領土問題、『チベットの秘密』、「親鸞問題」

著者: 子安宣邦

12月3日 7時のニュースを見ていたら、石破がはっきりといっていた。「海外に向けては軍隊だといい、国民に向けては自衛隊であって軍隊ではないという。こういうマヤカシはもう止めねばならない」と。解釈改憲というマヤカシをやって

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子安宣邦 on Twitter 10月12日〜11月2日…歎異抄の近代」、清沢満之、20世紀的国家主義の亡霊、『日本人は中国をどう語ってきたか』、井上究一郎

著者: 子安宣邦

11月2日 私は無理だと思われるような問題を自分にあてがい、走り出しながら読み、読みながら書き、書きながら問題を再発見し、再構成していく。それはしんどいが、スリルに富んだ作業である。そのようにして国家神道論も、近代の超克

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子安宣邦 on Twitter 10月6日─領土問題、東アジアの新たな〈平和〉、戦後的体制の転換

著者: 子安宣邦

10月6日 TBSのサンデーモーニングをわりあいよく見ている。国際問題などについての自分の考えをまとめる上で参考になる。領土問題をめぐる今朝の議論は、緊迫的停滞といった現状通りに議論も停滞していた。諸論家も匙を投げたとい

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子安宣邦 on Twitter 9月12日〜9月30日 ──尖閣問題、「中国論を読む」、「歎異抄の近代」、中国の公民的要求 

著者: 子安宣邦

9月30日 「過ちては改むるに憚ること勿かれ。」世界中から指弾されない中に、早々に改めることだ。野田のしたことは中国だけではない、国際的状況を見誤った行為だ。われわれの生活を不安定にさせた罪は大きい。 〈中国の衝撃〉をも

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この出版は正しいか ─岩波書店『劉暁波文集』刊行の大きな疑問

著者: 子安宣邦

岩波書店が『最後の審判を生き延びて』というタイトルを付して2月25日付けで刊行した『劉暁波文集』について大きな疑問がある。疑問は岩波書店によるこの書の刊行のあり方にかかわるものである。岩波書店によるこの書の刊行は、岩波書

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劉暁波・われわれの問題としての  ─『天安門事件から「08憲章」へ』を再読する

著者: 子安宣邦

1 劉暁波問題と日本のメディア 劉暁波の名を私は早くから知っていたわけではない。二〇〇八年一二月九日のいわゆる「08憲章」公表の報道のなかで私は彼を知ったのである。いま私は「報道」といったが、それはマス・メディアの報道に

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