今朝(1月12日)の朝刊各紙は、朝日、毎日、東京、読売、日経ともに、JR福知山線(尼崎線)脱線事故で業務上過失致死傷罪に問われたJR西日本の山崎正夫前社長に対する無罪判決(神戸地裁)を社説で取り上げている。論調はいずれ
本文を読む宇井 宙の執筆一覧
カフカの読まれ方
著者: 宇井 宙カフカの小説はいかに読まれるべきか? ミラン・クンデラの回答は明快である。すなわち、「カフカの小説を理解する方法はただ一つしかない。それはひとが小説を読むように、彼の小説を読むことだ」(『裏切られた遺言』。以下引用はす
本文を読むカフカの「遺言」について
著者: 宇井 宙(ういひろし)薄れていくKの目に二人の紳士が、自分のつい鼻先で頬と頬をくっつけ、結果をじっと見守っているのが見えた。「犬のようだ!」と、Kは言った。恥辱だけが生きのびるような気がした。――フランツ・カフカ「審判」(池内紀訳) 池
本文を読む言葉が腐食する国で
著者: 宇井 宙今日(12月25日)の東京新聞読書欄は「2011私の3冊」というテーマで、28人の評者が今年印象に残った3冊の本を挙げ、寸評を書いている。中には同じ本も取り上げられているから、全体では80冊ほどの本が紹介されていることに
本文を読む本当に沖縄を愚弄しているのは誰か
著者: 宇井 宙佐藤優氏が「本当に県民を愚弄しているのは誰か。谷津憲郎朝日新聞那覇総局長の「防衛局長発言」コラムが明かす朝日沖縄報道の「構造的差別」」というコラム(「現代ビジネス」12月7日号http://gendai.ismedia
本文を読む【書評】サラ・ロイ『ホロコーストからガザへ』を読んで
著者: 宇井 宙イスラエルによるガザ大虐殺からまもなく3年を迎える今、イスラエルとは一体どういう国家なのか、イスラエルのユダヤ人は何を考えているのか、パレスチナ人の未来はどうなるのか、といった問題を漠然と考えていたとき、偶然本屋で目に
本文を読む小林直樹氏の暴力論――戦争論・死刑論を中心に
著者: 宇井 宙1.総合人間学会関東談話会に参加して 先週土曜日(11月19日)、「小林直樹名誉会長著『暴力の人間学的考察』(岩波書店刊)を読む」と題した総合人間学会主催の関東談話会に参加した。会は、新著『暴力の人間学的考察』を出版さ
本文を読む“独裁”よりも帝国主義を批判せよ!
著者: 宇井 宙唖然とするほど低劣なデマゴギーをマスコミが撒き散らすのは、もちろん原発問題に限らない。この国のマスコミによれば、カダフィ大佐が「死亡」して、リビア全土は「解放」されたそうだ。そしてこれは、「チュニジア、エジプトで始まっ
本文を読む<読書ノート>樋口陽一『いま、憲法は「時代遅れ」か』を読んで
著者: 宇井 宙本の帯に「もう一つの「憲法」入門――個人と国家にとって、この天災と人災の時代を生き抜くために、いま、何が必要か?」とある。仙台ご出身の樋口氏は、本書の校正刷に朱を入れて返そうとした矢先に3.11大震災に遭遇されたとまえ
本文を読む自然エネルギーは善か?――広瀬隆氏の問題提起
著者: 宇井 宙先日、銀行のキャッシュカードが使えなくなったので、某M銀行の窓口に行ったら、30分近くも待たされてしまった。本も何も持っていなかったので、待っている間、ロビーに置いたあった週刊朝日を読んでいた。その中の記事で、広瀬隆氏
本文を読む問題だらけの法科大学院は速やかに廃止せよ
著者: 宇井 宙1.はじめに 法科大学院がスタートして今年で8年目、新司法試験は6年目を迎えた。新司法試験開始後、移行期間の暫定措置として縮小しつつ併存していた旧司法試験も昨年度で終了した(ただし今年は、昨年の第2次筆記試験合格者に
本文を読むポピュリズムとは?
著者: 宇井 宙原発事故以後、重要な情報を隠蔽したり安全デマを垂れ流したりして、多くの国民を故意に被曝させるという大犯罪を犯した菅内閣がようやく退陣することになったが、後継首相となる次期民主党代表選に名乗りを上げている面々が揃いも揃っ
本文を読む米議員がNATOの戦争犯罪を告発
著者: 宇井 宙リビアの反政府勢力が首都トリポリの大半を制圧し、カダフィ政権の崩壊が目前に迫った今月22日、米下院のデニス・クシニッチ議員(民主党)は、「今こそNATOの役割と米国の介入主義の未来を再考すべきときだ」として、NATOの
本文を読むブレイビク容疑者の思想的背景
著者: 宇井 宙先月22日、ノルウェーで起きた連続テロ事件の背景には、欧州各国で反移民・反イスラムを掲げる極右勢力の台頭がある、ということを前回の記事「テロリストの心象風景」(*1)で指摘した。そのこと自体は、すでに多くの論者が指摘し
本文を読むテロリストの心象風景
著者: 宇井 宙先月、世界を震撼させたノルウェーの連続テロ事件(爆弾テロと銃乱射事件)は、日本のマスメディアからは早くも忘れられつつあるが、欧州では依然高い注目を集めている。というのも、これは一人の精神異常者がたまたま起こした事件など
本文を読む最高裁「君が代」判決が意味するもの
著者: 宇井 宙卒業式で日の丸に向かって起立し君が代を斉唱するよう教職員に義務づけた東京都教育委員会の2003年10月23日通達とそれに基づく校長の職務命令は憲法19条の保障する「思想・良心の自由」を侵害する違憲違法なものであり、その
本文を読む最終処分の不可能性という最終問題
著者: 宇井 宙今話題の映画『100,000年後の安全』(マイケル・マドセン監督)を観てきた。世界で初めて高レベル放射性廃棄物の最終処分場に決まったフィンランドのオルキルオトで建設中の地下処分場の映像なども交えつつ、この計画に携わった
本文を読むチェルノブイリを超える日は近い?
著者: 宇井 宙「DAYS JAPAN」6月号の編集後記(広河隆一氏執筆)を読んで驚いた。首相官邸HPに長瀧重信・長崎大学名誉教授(元放射線影響研究所理事長)と佐々木康人・日本アイソトープ協会常務理事(前放射線医学総合研究所理事長)連
本文を読む20ミリシーベルトの恐怖
著者: 宇井 宙福島の子どもたちを放射能から守ろうとする福島の親や市民団体などが5月23日、文科省前に集まり、文科省が定めた学校の暫定基準20ミリシーベルト(校庭での毎時3.8マイクロシーベルト)の撤回を求めるため、高木義明大臣との面
本文を読む脱原発へ転換のとき
著者: 宇井 宙NHKドキュメンタリー『原発導入のシナリオ』(1994年)http://video.google.com/videoplay?docid=-584388328765617134&hl=ja#によれば、1954年の
本文を読む米核戦略と放射線「科学」
著者: 宇井 宙福島第一原発事故が起きて以後、御用マスコミが東電や政府のデタラメ発表を垂れ流しにしただけでなく、御用学者を次々に登場させては、「原発は制御されている」(全くされていない)、「水素爆発は起きない」(起きた)、「格納容器は
本文を読む「校庭利用基準20ミリシーベルト」を考える
著者: 宇井 宙文科省が先月19日、福島県内の学校の校庭における年間被曝線量限度を20ミリシーベルトと決定したことが大問題となっている。改めてこの問題の経緯を振り返ってみよう。 福島県内の児童に許容される年間被曝線量について、文科省
本文を読む奇々怪々
著者: 宇井 宙福島第一原発事故が起きて以後、政府の原発事故対策は、「止める、冷やす、閉じ込める」ではなく、「隠す、騙す、はぐらかす」である、ということはすぐにわかった。だから、政府が情報を隠蔽し、操作し、ごまかそうとしていることは明
本文を読む「基準値は超えても超えてません」
著者: 宇井 宙この国はマンガのような、あるいは『1984年』のオセアニア国のような国になってきた。次の文章を読んで頂きたい。 「放射性物質の濃度に関しては、文部科学省が原発から約30キロ離れた福島県浪江町で、積算放射線量が屋内退避
本文を読む「チェルノブイリは我々の未来である」
著者: 宇井 宙福島第一原発からの放射能漏れが止まらない。タービン建屋やトレンチには高濃度の放射能に汚染された水が大量に溜まっているが、それらは直接、あるいは地下水となって、海に流出している。 4月2日東京新聞によれば、ロシアは旧ソ
本文を読む紙面にみる異常事態の「正常化」
著者: 宇井 宙桜が咲き始めたが、今年は到底、お花見を楽しむような気分にはなれない。三上治氏も書いておられたが、今年の桜は本当に可哀想だ。 福島原発事故については、相も変わらず楽観的な人は楽観的だし、悲観的な人は悲観的だが、ここまでくれ
本文を読む「心理的免疫作戦」―放射能に対する免疫ではなく、無防備性を高める―
著者: 宇井 宙3.11の東北三陸沖地震で発生した津波による被災者の方々が味わっている苦しみは、被災者でない私には想像を絶しているが、今後長い年月をかけて被災地が復興したとしても、震災と津波で家族や家や友人を失った方々は、被災以前の生
本文を読む信じがたい無責任と責任のなすり合い
著者: 宇井 宙今さら政府や東電の無責任体質に驚くのも馬鹿なのかもしれないが……。 読売新聞によれば、11日の地震により福島第一原発の被害が判明した直後、米政府は原子炉冷却に関する技術的支援を申し入れたが、それが原子炉の廃炉を前提に
本文を読む鳩山証言の重要性
著者: 宇井 宙私は自分ではツイッターを利用したことはないのだが、ちきゅう座編集部の方が2月17日に掲載されていた孫崎享氏のツイッターからの引用は勉強になった。それを読んで改めて、いわゆる鳩山「方便」発言を報じた沖縄タイムスと琉球新報の
本文を読む「中立性」という反動イデオロギー
著者: 宇井 宙昨年暮れ、憲法学者の小林直樹氏が40年以上前に書かれた論説「政治的中立ということ――教育と裁判への政治侵入――」(『世界』1970年9月号)を読む機会があった(「「司法の危機」から40年」https://chikyuz
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