野上俊明の執筆一覧

「第6回ヘーゲル研究会」追加報告摘要 ―中国的市民社会の形成―ヘーゲル的=西欧的/日本的問題圏との重なり―

著者: 野上俊明

<なにゆえ市民社会なのか> ●第一次ロシア革命(1905~1907)とウェーバー  M・ウェーバーは、「血の日曜日事件」を発端とする帝政ロシアの革命的動乱を追跡しつつ、市民的自由主義の担い手となる勢力を事態の展開のなかに

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【7月22日(土)】第六回 ヘーゲル研究会のお知らせ

著者: 野上俊明

 これまで二回の「市民社会」論の講読から見えてきたことを、自己流ながら簡単にまとめます。  普遍性と特殊性の論理的概念を使って、ヘーゲルは市民社会を成立させている個の契機と共同性の契機の相互関係を明らかにします。個の契機

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ウクライナのカホフカダム――プーチンのチェルノブイリの瞬間  ウクライナのダム災害は、新しい次元の戦争を予感させる。大規模な破壊工作は、ロシア撤退の前触れであろう。

著者: 野上俊明

6/6付リベラル系独紙「ターゲスツァイトゥング」の記事である。実証性に欠けた断定記事だとみなすこともできるが、撤退を見越したロシア自身のテロ行為という観点は、斬新なのであえて紹介する。思い出せば、ナチスのソ連邦からの撤退

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ミャンマー、ディぺインの大虐殺から20年 ―残虐さは続くも、追いつめられる軍事政権

著者: 野上俊明

2021年2月1日の軍部クーデタにより政権が奪取されて以来、本年3月のNLDの発表によれば、アウンサンスーチー氏―現在33年の禁固刑に服している―を筆頭に少なくとも1,235人の党員が拘束され、26人が尋問や拘留中に死亡

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ミャンマー、目立つ中国の戦略的外交攻勢 ―試練に立つ国際社会の対応

著者: 野上俊明

 まず、先日Youtubeで拾った地下放送のテレビ番組をご紹介する。反体制派メディア「Mizzima」が4/19に放映した、「クーデタからの利益:ミャンマーの少数民族反乱軍は、民主派戦闘員を歓迎する」と題する、タアン民族

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ミャンマー、国軍の虐殺続く ――国連非難決議できず、またしても中国とロシアが障害に

著者: 野上俊明

 4月11日に行われた軍によるサガイン管区カントバル郡区のパジギー村への空爆の被害は、当初の推定をはるかに上まわり、国民統合政府NUGによると、死者は168名以上に上っているという。そのうちには40人の子供と24人の妊婦

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ミャンマー、ティンジャン(新年の祭り)の大虐殺 ―軍にとって心強いロシアと中国の後ろ楯

著者: 野上俊明

 一年で最大のお祭りである、新年の水かけ祭りを13日にひかえているミャンマーで、11日、国軍・空軍は、女性や子供たちも混じる村人が多く集まっているところを無差別に空爆し、110名を超える死者が出たとのこと。国内外各紙の報

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ヘーゲル「精神現象学」序論を読む(2)

著者: 野上俊明

<対象化の論理>をめぐるヘーゲルとマルクス  かつて60年代から70年代初めにかけて、ヘーゲルとマルクスの継承関係について、構造主義の流行を背景としつつ、疎外論か物象化論かをめぐり、特に主体概念をどう捉えるのかを中心に様

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ヘーゲル「精神現象学」序論を読む(1)

著者: 野上俊明

 以下の文章は、自主サークル「ヘーゲル研究会」の三月例会で報告者(筆者)が提出したレジュメに若干手を入れたものである。テキストに中央公論社版「世界の名著」シリーズ「ヘーゲル・序論」を用いて、若きマルクスが「ヘーゲル哲学の

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【4月29日(土)】第3回 ヘーゲル研究会のお知らせ

著者: 野上俊明

 今回から、本研究会はヘーゲルの主著のひとつ「法の哲学」(1821年)のなかの「市民社会」を扱います。国家と有機的に関連しつつ独自の領域として「市民社会」を概念化したのは、ヘーゲルの功績だとされています。マルクス主義の正

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ミャンマー、軍事独裁者からの勲章受ける ―日本の政治の現状映し出す

著者: 野上俊明

 唖然とするような出来事である。大量虐殺の血で汚れ、中露といくつかの国を除く国際社会から、戦争犯罪や人道に対する罪で告発され、轟轟たる非難を浴びるミンアウンライン軍事政権。彼ら自身の策定した憲法によれば、この1月で非常事

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ミャンマー、悪化する戦況に苦悶のクーデタ政権 ――秘密対策会議の記録が漏洩

著者: 野上俊明

 2008年憲法の規定では、本年2月までにクーデタによる非常事態宣言を終了させて権力を「移行評議会」に移譲し、そのもとで8月までに総選挙を実施する必要がある。軍事政権にとって、選挙を実施するにはまず軍事的に全国をコントロ

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新年にあたって思う――ウクライナとミャンマーのこと

著者: 野上俊明

 昨年世界中の耳目を引いたのは、電子戦争の様相を呈しながらも、その本質においては二十世紀的な古めかしい戦争の嵐に見舞われたウクライナであり、また軍の暴力が荒れ狂ったミャンマーでありました。ユーラシア大陸のほぼ両端に位置す

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醜い日本人、どこまでもミャンマー軍事政権擁護 ――フィクサー渡辺氏の異様なふるまい

著者: 野上俊明

 昨年の2.1クーデタ以後、国際社会からの軍事政権の暴力支配への轟轟たる非難のなか、プーチン・ロシアだけは鉄面皮にもミャンマー軍事政権との関係を深めてきた。その範囲は、ミサイル・軍事車両、重火器・戦闘機といった兵器類の売

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ロシアの政治学者、プーチンを代弁する――納得しがたいその論理

著者: 野上俊明

 12月8日、NHKインタビューに答えて、ロシアを代表する国際政治学者だというドミトリー・トレーニンという人物が、多少婉曲的にプーチン大統領擁護の言説を張っているので、以下何点か素人の疑問を呈したい。 ――プーチンは、国

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民主主義・市場制度・グローバリゼーションについての考察メモ ――M・ウェーバーの「ロシア革命論」を手がかりに

著者: 野上俊明

 それほど昔のことではない、2008年のリーマンショックのころまでは、新興国中国を先頭に発展途上国における経済開発が成功し、年間可処分所得が100万円から300万円ほどになる中間層が人口の過半を超えて厚く形成されれば、そ

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アウンサンスーチーからのメッセージ ――〝若者たちの抵抗を誇りに思う“

著者: 野上俊明

 昨年の2.1クーデタ以後続くミャンマー国民の、わけても若者たちの武装抵抗闘争をスーチー氏がどう思うかは、民主化勢力にとって懸念すべきところでした。マハトマ・ガンジーやネルソン・マンデラを師と仰ぐスーチー氏は、1988年

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ミャンマー、映像作家久保田徹氏釈放後、日本帰国 ――やさしく、しなやかで勇気ある精神に乾杯!

著者: 野上俊明

 7月にヤンゴンで抗議デモを撮影中に逮捕され、10年の刑期で悪名高きインセイン刑務所で服役していた日本人ジャーナリストの久保田徹氏(26)が11/17釈放され、その日のうちに帰国の途についた。  ラジオ・フリー・アジアに

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宗教についての断想/宗教と政治・世俗世界

著者: 野上俊明

はじめに  私は無神論者だということもあり、宗教のこと、信仰のことに口出しするのは極力避けてきました。しかし安倍元首相銃殺事件のあと、旧統一教会問題が、自民党の醜悪な実態をさらけ出す大スキャンダルに発展しつつある事態を前

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