野上俊明の執筆一覧

ミャンマー民主化運動の進化を阻むもの―戦前の日本における大量転向に通底するメンタリティ

著者: 野上俊明

 年明け早々、ある出来事が民主化運動や市民社会活動家のサークルで話題になっています。NLDで最も有能な幹部の一人とされている、ヤンゴン管区地方政府首相―東京都知事に相当する―ピョーミンティン氏が、ある元有名政治家に対し公

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ハイデガー哲学における歴史と真実(3)――「日本会議研究会」のために 

著者: 野上俊明

<前回のおさらいー映画「ゲッペルと私」をみて>  ポムゼルは、中学卒という低い学歴でありながら、チャンスを得て時代の寵児である宣伝省大臣ゲッペルスの秘書団の一人となりました。彼女の経歴のハンディキャップは、他の知識人女性

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ハイブリッド政権内で高まる国軍比重―行きづまる民主化と旧将軍たちを主要閣僚ポストに軒並み登用

著者: 野上俊明

 2020年の総選挙まであと2年、民主化も経済的パフォーマンスもその実を上げることのできないスーチー政権は、民主化を棚上げして経済的実績づくりのために、中核的閣僚人事で元国軍の閣僚経験者を民間人と入れ替えています。先の補

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イラワジ紙の丸山日本大使インタビューに寄せて 民主化の大道を見すえよ

著者: 野上俊明

 EUはまもなく、ロヒンギャ問題でのミャンマー政府と国軍の対応を見極め、強力な経済制裁を発動するとされています。アウンサン・スーチー氏は、日本が仲介役となりミャンマーへの経済制裁を行なわないよう関係諸国に働きかけてほしい

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哲学者ハイデガーにおける歴史と真実 ――ビクトル・ファリアス「ハイデガーとナチズム」※を読む (※名古屋大学出版 1990年 原著Victor Farias:Heidegger y el nazismo 1987)

著者: 野上俊明

チリー人であるV・ファリアスが著したこの書は、晩年の丸山真男が「1990年の読書界でまず第一に特筆すべきこと」として注目したものだったそうです。この書のあと、2014年に「黒いノート」Scwarze Hefteと呼ばれる

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深まる中緬関係 一帯一路戦略への組み込まれと高まる懸念

著者: 野上俊明

 地元紙イラワジ紙で、この9月、ナンルインという若い女性記者が、注目すべき論説記事を二本書いています。総勢50人を超えるイラワジ紙記者の半数以上が女性記者で、しかも年々彼女たちの取材能力が向上しているのは、目立たないもの

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どこへいく文民政権 アウンサン・スーチー、ロイター記者への実刑判決を擁護

著者: 野上俊明

 去る13日、ベトナムの首都ハノイでの世界経済フォーラムの東南アジア諸国連合(ASEAN)会議に出席中のスーチー国家顧問は、ロイター記者への実刑判決についてはじめてコメントしました。ある程度は予想されたことですが、コメン

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危機に瀕する言論の自由 スーチー政権の無力さと背信

著者: 野上俊明

 「無理が通れば、道理が引っ込む」状態が昂じて、「木の葉が沈んで、小石が浮く」世界へ――私は十数年のヤンゴン暮らしのなかで、軍政下で起こる政治社会事象に対し、いつもそういう印象を強く抱いていました。それはそれは不条理や腐

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ヤンゴンー岐路に立つ都市計画・都市改造

著者: 野上俊明

 NLD政権が国民・市民の立場に立って政治経済社会の改革を進めるのかどうか、その一つの試金石がヤンゴンの都市計画問題です。市民的公共圏に関心の高い欧米とちがって、アジア諸国では民主派を自認する人々においても、公共圏のハー

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こんどは悲劇のヒロイン!?―アウンサンスーチーの裏返しの美化を斥ける―

著者: 野上俊明

 スーチー大統領顧問はロヒンギャ危機になかなか有効に対処できず、国際社会から非難の十字砲火を浴び続けています。氏が3月17,18日のオーストラリア・シドニーでのアセアン首脳特別会議に出席のさなかに、母国ではテインチョウ大

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ウ・タンミンウー著「ビルマハイウェイ」(白水社)を読んで

著者: 野上俊明

 欧米志向の強い日本の知的世界に住まうみなさんに、ミャンマーに関心をもって頂くためにこの国の最高の知性のひとりをご紹介いたします。著者タンミンウ—の描く展望は、このところの中国の帝国化、インドのヒンズー教排外主義、ミャン

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研究ノート/「人権と国情」―ロヒンギャ危機に即して考える(2)

著者: 野上俊明

<体制移行と外来思想土着化の問題> Ⅰ.疑似民政から真の文民政府への移行をめざすなか、スーチー氏とNLDの急速な態度変化は、明治初期の自由民権運動がやがてナショナリズム(国権主義)に屈していく過程と二重写しになって見える

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東洋的専制(オリエンタル・デスポティズム)はいまなお健在?

著者: 野上俊明

<予備知識として> 1920年代、ソ連、中国、日本などの政界や学会で、植民地化される前のアジア諸国の国家・社会体制をどう理解するのかをめぐり、封建制か、奴隷制か、原始共産制か等々、激しい論争がありました。素人の私が一知半

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研究ノート/「人権と国情」―ロヒンギャ危機に即して考える(1)

著者: 野上俊明

<人権をめぐる問題状況> ミャンマーの民主化ウオッチャーの端くれとして現地の政情にある程度通じているはずの私にとっても、ロヒンギャ危機をめぐるNLD政府や民主化勢力の対応には驚きの念を禁じ得ませんでした。8月25日からの

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日馬富士問題に垣間見えるネオ・ナショナリズムの影

著者: 野上俊明

 東南アジア・南アジアの国々では、アイデンティティ政治と呼ばれる民族・宗教的な排外主義の流れが一段と強くなっています。インド、ミャンマー、インドネシア、スリランカ、バングラデッシュなどでは、外資の流れが堅調で経済的には良

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ロヒンギャ問題についての若干の理論的考察

著者: 野上俊明

 ローマ法王の27日ミャンマー訪問・スーチー会談を前に決着を付けたかったのでしょうか、ミャンマーとバングラデッシュとの政府間で、ロヒンギャ帰還に向けた協定が成立したそうです。1992年に発効した協定を踏襲するものだとして

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ロヒンギャ危機に潮目の変化か、イラワジ紙が社説 - 政府の責任で、安全な帰還と市民権を保障せよ -

著者: 野上俊明

 国連安全保障理事会は6日、ロヒンギャ難民問題について、ミャンマー政府に同州で行き過ぎた軍事力使用を抑制することを求める議長声明をまとめました。安保理は情勢を注視し続け、事務総長が30日後に現状報告するとしています。中国

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ロヒンギャ問題が炙りだしたもの ― ミャンマー政府の二重権力状況

著者: 野上俊明

 スーチー氏が諮問委員会の長に任命した前国連事務総長のコフィ・アナン氏はなかなかの人物と見えます。この人物を選んだということで、スーチー氏の国際的評価下落にいくらかの歯止めにはなったでしょう。スーチー氏の意図はともかく、

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