野沢敏治の執筆一覧

東大音感合唱研究会の内田義彦とその問題史的意義(4・終)

著者: 野沢敏治

 Ⅳ 東大音感合唱研究会――明日の糧となる音楽を  内田は戦後、どう抑えられても伸びんとして根を張る芸術と社会科学を求めて活動していった。前者の1つが東大音感合唱研究会(以下、音感と略す)での活動であり、後者は経済学史の

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東大音感合唱研究会の内田義彦とその問題史的意義(2)

著者: 野沢敏治

Ⅱ 音楽と社会運動 1 園部三郎――社会全体のための音楽を  音楽を現実生活と関係させた第2のものがプロレタリア音楽運動である。日本では近代を根づかせる間もなく早くも資本と労働の対立が生じ、社会主義の思想と理論が入ってき

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東大音感合唱研究会の内田義彦とその問題史的意義(1)

著者: 野沢敏治

以下の文章は私が昨年ある小さな研究読書会で報告したことを元に大幅に加筆したものである。それは明治から昭和の戦後にかけての時期のものであるが、忘れさせようとする内と外の動きに対して意志をもって記憶し省みるべきことである。4

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「土に生きる」とは? その一応の答 ――『土に生きる』第11号を手にして(12)

著者: 野沢敏治

「作って食べる会」は発足してから10年たった。それを祝って1983年11月12日、記念式典が三芳村稲都公民館で開かれる。本号はその特集号である。発行日は1984年5月17日。ここでも中村則子によるカットがたくさん入ってい

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露木裕喜夫 ・ 言葉とともに身体で分からせる――『土に生きる』第10号を手にして(11)

著者: 野沢敏治

 本号も筆耕者がいてガリ版刷りの印刷となる。1983年10月20日発行。 本号もカットが楽しい。10歳の子供のカットが混じっている。露木裕喜夫が三芳村共同館で撮られた写真があり、中牧弘子がその横に何かの野菜を持った「先生

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一度、原点に帰らねばならない ――『土に生きる』第9号を手にして(10)

著者: 野沢敏治

 発行日は1982年7月15日。奥付では1981年となっているが、誤植であろう。本号でも第6号と同じく三村瑶子によって草花のカットがたくさん添えられている。    消費者の女性の投稿は生産者に比べると筆まめであり、洗練さ

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配送なくして、食べることはできない――『土に生きる』第8号を手にして(9)

著者: 野沢敏治

発行日は1981年5月31日。 1981年という年を年表で見ると――土光敏夫による第2次臨時行政調査会が始まり、俗にいう「小さな政府」路線が敷かれる。閣議で生産者米価が60キロ1万7756円と決定する。審議会の答申を受け

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公害企業に勤める主人 と 安全な食べ物を求める主婦――『土に生きる』第7号を手にして(8)

著者: 野沢敏治

 本号も内容は充実している。1980年9月20日発行。本号からタイプ印刷になる。 1980年と言えば、8月にポーランドのグダンスク造船所でストライキが発生し、労働者が政府に労働組合や言論の自由を求めている。1950年代か

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音と音楽――その面白くて不思議なもの(12・完)

著者: 野沢敏治・石塚正英

第12回 文化の耳あるいは音の文化誌 >往< 野沢敏治さんへ  石塚正英から  シリーズ最終回ですよ、野沢さん。ここは私の問題関心であります感性文化から話題を拾います。文化の耳あるいは音の文化誌です。なお、最初に述べます

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「一つ頭のしわがふえたよう」なキャンプ生活――『土に生きる』第6号を手にして(7)

著者: 野沢敏治

 本号は1979年12月15日、発行。特集「三芳子どもテント村」(企画・編集は菅洋子)が組まれている。その標語が「子供に自然を」となっている。一楽照雄さんの言葉であろう。  この特集は同時に「カット」特集号と言ってよいほ

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人間がすることは自然の手助けをすること――『土に生きる』第5号を手にして(6)

著者: 野沢敏治

 本会は1978、発足してから5周年に入った。本号はそれを記念した特集号である。1979年3月31日発行。表紙のデザインと本文中のカットは杉野和子作であり、表紙は私が知る限り第4号から18号まで変わらない。会誌も5年にな

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音と音楽――その面白くて不思議なもの(11)

著者: 野沢敏治・石塚正英

第11回 男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり  >往< 石塚正英さんへ  野沢敏治から  石塚さんと今回のテーマのことを話してから、『土佐日記』の冒頭を思い出し、それを標題に掲げました。『土佐日記』は高

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三芳の鶏の身になってもみませんか――『土に生きる』第4号を手にして(5-2)

著者: 野沢敏治

C 座談会・「鶏と卵、ざっくばらん」  この座談会は本号の白眉と言ってよい。知らなかったことを、でもやはりそうでしかないと思ってしまうことを教えてくれる。自然農業と生活様式の見直しは現代文明を批判するものだが、それは同時

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消費者による生産者理解のさまざまと、「納得のし直し」――『土に生きる』第4号を手にして(5-1)

著者: 野沢敏治

会ができて5年、「夢中の創成期から安定供給の時期」に入る。 会誌の内容が充実してきた感じがする。ページ数も80頁と前号の2倍半にまで膨れる。3人によって筆耕され、3人の編集者がつく。表紙とカットの制作者の名も出る。編集が

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音と音楽――その面白くて不思議なもの(10)

著者: 野沢敏治・石塚正英

第10回 自分なりのサウンドスケープをイメージする >往<  野沢敏治さんへ  石塚正英から  今回は、自分なりのサウンドスケープ(音風景)をイメージすることにします。方法として、周囲からなんらか気にかかる音をひろい、そ

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自然農業は人を変える―――『土に生きる』第3号を手にして(4)

著者: 野沢敏治

 どんな運動団体にも問題はあり、その存続が危機に陥ることがある。「作って食べる会」は発足後まもなくしてその時を迎えた。露木裕喜夫と岡田米雄が会の路線をめぐって対立する。そこに他の問題も加わり、会員の間で感情的な対立もおこ

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「自然に順応する」ことは新しい「自立」――『土に生きる』第2号を手にして(3)

著者: 野沢敏治

すでに問題が出され始める   「有機農業」は現在ではあちこちで実行されているが、その一つひとつが人間と自然との関わりを示す縮図となっている。縮図はただ寸法を縮めたものではない。それは広く深く伸びる内容をもっている。そのこ

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音と音楽――その面白くて不思議なもの(9)

著者: 野沢敏治・石塚正英

第9回 再生装置について >往< 石塚正英さんへ 野沢敏治から  近ごろ、パソコンから取り入れた音楽をイヤホンで聴いている若者をよく見かけます。ちゃちな器具に見えるけれど、楽しめるんですね。考えてみれば、高級な再生装置だ

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生産者と消費者が解りあうことをめざした会誌――『土に生きる』創刊号を手にして(2)

著者:  野沢敏治

手仕事のガリ版刷り 創刊号は1975年11月20日の発行。ガリバン刷りで簡素な仕上げ。今では見ることはできないがある世代にとってはなつかしいスタイルである。全28頁。表紙はタイトル・ページで目次がつく。裏表紙に手書きで千

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意志で記憶する自然農業と提携、生活――『土に生きる』を手にして(1)

著者: 野沢敏治

待っていた本が出る  こういう本を私は求めていた。『村と都市を結ぶ有機野菜』である。それは「安全な食べ物をつくって食べる会」が編集して2005年に発行したもの。出版はブロンテ。同会は今から40年ほど前に千葉県南房総市にあ

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音と音楽――その面白くて不思議なもの(8)

著者: 野沢敏治・石塚正英

第8回 葬送曲について  >往<  野沢敏治さんへ  石塚正英から きょうは葬送曲について語りましょう。このジャンルですと、私は真っ先にベートーヴェン「英雄」第2楽章を思い浮かべます。高校時代にクラシック愛好会をやってい

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 音と音楽――その面白くて不思議なもの(7)

著者: 野沢敏治・石塚正英

 第7回 行進曲について   >往<  石塚正英さんへ  野沢敏治から  春の来る前に想い出すこと   新年に入って陽ざしは着実に明るくなっています。春になると聞こえてくる音、それは小学校の運動会のざわめきです。心が浮き

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音と音楽――その面白くて、不思議なもの(6)

著者: 野沢敏治・石塚正英

第6回 耳から侵入する危険音への不安  >往< 野沢敏治さんへ、石塚正英から  かつて拷問に使用された音には、次のような事例があったと言われます。女性の叫び声、矢・ナイフ・斧を投げる音、鎖を切る音、途切れなく続く放電音、

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藤﨑清さんへ  スミスは「見えざる手」の市場論者ではありません

著者: 野沢敏治

    藤﨑さんが9月5日付でスタディル-ムに掲載した小論「市場経済の現状を放置しておいてよいのか」を拝見しました。 藤﨑さんはその最初の部分でスミスの「見えざる手」について言及し、その市場経済論に本質的に重大な欠陥があ

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音と音楽――その面白くて不思議なもの(4) 

著者: 野沢敏治・石塚正英

映画音楽の楽しさ、その面白さ   >往<  石塚正英さんへ  野沢敏治から  映画音楽はそれを聴けば、見た映画の場面が眼の前に浮かびます。  ぼくは西部劇の音楽が好きです。ぼくだけでないでしょう。「ハイヌーン」、「リオ・

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音と音楽――その面白くて、不思議なもの(3)

著者: 野沢敏治(のざわとしはる)・石塚正英(いしづかまさひで)

 第3回 沈黙は金なり、いいえ音なり―続き―  >復から往へ< 野沢敏治さんへ 石塚正英から  野沢さんの「忘れている調べ」「小学唱歌」を読んでいて、思い出した調べがあります。「ハトポッポ」です。私の爺さんは明治20年代

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