前回学んだ、国家と宗教の関係を論じている§270には、次のような文章がありました。「真なるものとは、・・・内なるものが外なるものへ、理性の構想が実在性へと踏み越えてゆく巨大な歩みである。そこにおいて全世界史は孜々として
本文を読むヘーゲル研究会の執筆一覧
【1月25日(土)】第22回 ヘーゲル研究会のお知らせ
著者: 野上俊明明けまして、おめでとうございます。 本年もよろしくお願いします。 2025年 元旦 先の研究会では、Gesinnungというドイツ語の訳をめぐって少し議論をしました。日本の翻訳文化のレベルの高さはつ
本文を読む【10月26日(土)】第20回 ヘーゲル研究会のお知らせ
著者: 野上俊明1. テーマ:ヘーゲルの市民社会論 中央公論社「世界の名著」の「ヘーゲル・法の哲学」から 第三章 国家(§257~§360)を講読会形式で行ないます。今回は§261からです。 ★国内では数少ないヘーゲル「法(権利)の哲学
本文を読む【10月26日(土)】第20回 ヘーゲル研究会のお知らせ
著者: 野上俊明ヘーゲル「法権利の哲学」・国家論の章については、市民社会論に比して左翼やリベラル派の関心は概して高くはない。自らの思想の歩みを顧るとき、その原因は我々の関心の持ちようが、「国家の死滅」や「商品経済の廃棄」の方に強く傾い
本文を読む【7月27日(土)】第17回ヘーゲル研究会のお知らせ
著者: 野上俊明前回で「市民社会」の章を終え、今回から「国家」の章に入ります。優れた古典というものは、個々人の問題意識に応じて様々な答え方をしてくれるものなので、単純な割り切り方は禁物です。ただ学習の便宜のためという条件付きで、「市民
本文を読む【6月29日(土)】第16回 ヘーゲル研究会のお知らせ
著者: 野上俊明私的所有と営業の自由の原理に立つ市民社会の主要な矛盾、つまり原理的に解決不可能な問題が、貧困問題、富と貧困の格差問題であることをヘーゲルは見抜いています。それゆえ、市民的原理(市場原理)を補完すべく社会政策――ポリツァ
本文を読む【5月25日(土)】第15回 ヘーゲル研究会のお知らせ
著者: 野上俊明先の研究会で、出席者の一人から、ヘーゲルの「法哲学」市民社会論の叙述は、プロイセン等ドイツの現実を述べているのか、あるいは理想化した現実・あるべき現実を述べているのか、そのどちらであろうか、という疑問が提出された。これ
本文を読む【4月27日(土)】第14回 ヘーゲル研究会のお知らせ
著者: 野上俊明前回に続き、金子武蔵「ヘーゲルの国家観」についての追加的な感想を述べる。この書のテーマは、当然ながらヘーゲルの生涯にわたり国家観、国家論の成立・成熟過程を追跡し、ヘーゲルにおける近代的法治国家の法哲学的な体系構想を明ら
本文を読む【3月30日(土)】第13回「ヘーゲル研究会」のお知らせ
著者: 野上俊明時空の制約を超えて、現在の我々をなお感動させて止まないものを古典というのなら、80年前「アジア太平洋戦争」最中に刊行された金子武蔵著「ヘーゲルの国家観」は、ヘーゲル研究書の古典中の古典といえるであろう。総力戦という当時
本文を読む第12回「ヘーゲル研究会」のお知らせ
著者: 野上俊明1月中旬、スイスのダボスで行われた世界経済フォーラム(WEF)年次総会(通称「ダボス会議」)の開幕式で、居並ぶ欧米の政財界のVIPたちを前に中国の李強首相が熱弁を振るった。李首相は、習近平体制の輝かしい経済成果をあれこ
本文を読む【12月23日(土)】第11回へーゲル研究会のお知らせ
著者: 野上俊明前回のあらまし――市民社会における自由な経済活動は、抽象的人格と(私的)所有権をもとに成立しており、それを承認し法として効力あらしめるのが司法活動である、というのである。 以下は、少しバイアスがかかっているかもしれない、
本文を読む【11月25日】第10回へーゲル研究会のお知らせ
著者: 野上俊明前回のあらまし――ヘーゲルは、市民社会における社会的富の生産と交換とその取得における仕方様式の相違に基づいて、市民社会内に三つの身分(Stände)―農業身分・商工身分・普遍的身分(政治家・官僚・軍人)―が形成されるとす
本文を読む【7月22日(土)】第六回 ヘーゲル研究会のお知らせ
著者: 野上俊明これまで二回の「市民社会」論の講読から見えてきたことを、自己流ながら簡単にまとめます。 普遍性と特殊性の論理的概念を使って、ヘーゲルは市民社会を成立させている個の契機と共同性の契機の相互関係を明らかにします。個の契機
本文を読む【6月24日(土)】第5回 ヘーゲル研究会のお知らせ
著者: 野上俊明先月の第4回例会では、「法(権利)哲学」の「第2章 市民社会」§182~§185の講読を行ないました。「市民社会の創造は現代世界に属する」としたへーゲルですが、近代(現代)世界を国家―市民社会という構造を有するものとし
本文を読む【5月27日(土)】第四回ヘーゲル研究会のお知らせ
著者: 野上俊明滝口先生は、後期ヘーゲル哲学のモチーフを「近代とは何かの問いかけ」とされています。デカルトやスピノザ、ホッブスやロック、そしてカントやルソーらの思想的エッセンスを批判的に凝縮して自己の哲学体系に組み入れ、ポスト・モダン
本文を読む【4月29日(土)】第3回 ヘーゲル研究会のお知らせ
著者: 野上俊明今回から、本研究会はヘーゲルの主著のひとつ「法の哲学」(1821年)のなかの「市民社会」を扱います。国家と有機的に関連しつつ独自の領域として「市民社会」を概念化したのは、ヘーゲルの功績だとされています。マルクス主義の正
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