私が会員となっている短歌雑誌『ポトナム』1月号に「歌壇時評」を書きました。いつも同じようなことを言っているような気がするけれど、最近の短歌雑誌・出版事情にも触れました。 ********** 最近の短歌総合雑誌や新聞は、
本文を読む内野光子の執筆一覧
革たな年となるか
著者: 内野光子今日もお訪ねくださり、ありがとうございます。 ことしもどうぞよろしくお願いいたします。 中ぐらいところか、まったくめでたくもないないお正月なのだが、”おめでたい”人の顔はいくらでも浮かぶ。国民の幸せと世界の平和を願うとい
本文を読む歌壇、この一年を振り返る季節(2)歌人によるパワハラ?セクハラ?~見え隠れする性差
著者: 内野光子歌壇の内情に疎い私には、今年「未来」という短歌結社の選者の一人である加藤治郎の発言やツイートによる発信が物議をかもしていることを最近知った。加藤が、2018年2月から『短歌往来』に「ニューウェーブ歌人メモワール」という1
本文を読む歌壇、この一年を振り返る季節〈1〉短歌と天皇制
著者: 内野光子短歌研究社『短歌研究年鑑』(2020年版)とカドカワ『角川短歌年鑑』(令和2年版)が出そろった。2019年の歌壇状況を知る助けにはなるのだが、今年という一年をしっかり振り返ったことになるのかなという違和感があった。その二
本文を読む忘れてはならない12月8日
著者: 内野光子記憶せよ、十二月八日。 この日世界の歴史あらたまる。 アングロ・サクソンの主権、 この日東亜の陸と海とに否定さる。 否定するものは彼らのジャパン、 眇たる東海の國にして また神の國なる日本(につぽん)なり。 そを治(しろ
本文を読む改元、一連の行事はいつ終わるのか=その根源たる差別も続く
著者: 内野光子昨年の5月、改元前後からの皇室行事は、いつ果てるともなく続いているかのような光景である。大嘗祭後に行われた4回の饗宴の儀、そして、続く伊勢神宮参拝・報告、奈良や京都の天皇陵参拝、そして京都では御所でのお茶会まで開いていた
本文を読む<歌壇>における「賞」の在り方~「ショウほど素敵な商売はない」?
著者: 内野光子一九五〇年代に「ショウほど素敵な商売はない」という、マリリン・モンロー出演のアメリカのミュージカル映画があったらしい。見る機会もないままいまに至っているが~。 これまで私は、国の褒賞制度や栄典制度が、本来の学術・文芸の振
本文を読むいったい、文化勲章って、だれが決めているのだろう~その見えにくい選考過程は、どこかと同じ?
著者: 内野光子「桜を見る会」は、時がたつにつれて、実態が明らかになってきた。国費を使い<功労者>顕彰を標榜する催事の実態が明白になった以上、即刻廃止すべきだろう。 「見る会」の招待者名簿は、慌ててシュレッダーにかけたなど、子供じみた回
本文を読む「桜を見る会」と「勲章」も同じ構図では
著者: 内野光子今年の文化功労者の中に、歌人の馬場あき子の名があったし、秋の叙勲では永田和宏が歌人として瑞宝中綬章を受章していた。<注1>上に「文化」が付こうと「芸術」が付こうが国が取り仕切る栄典制度の一環である。拙著でも何度か触れてい
本文を読む「大丈夫」って?何が?「嵐」が歌った即位を祝う歌
著者: 内野光子11月11日は、新聞の休刊日なので、朝のテレビを見ていると、昨日祝賀パレードが、「良かった」「感動した」「素晴らしかった」「すごかった」「おきれいだった」など、キャスターもゲストも晴れやかに語るのだが、何がどうよかった
本文を読む首里城焼失、「心を一つに再建を」への不安
著者: 内野光子私が初めて沖縄を訪ねたのは2014年11月11日だった。ホテルに荷を預け、最初に向かったのが首里城だった。長くて高い城壁を見上げながら進んで、歓会門から入り、いくつかの門をくぐり、奉神門からは有料ということであった。中庭
本文を読むそれでも「饗宴」は続くのか
著者: 内野光子即位礼の祝賀パレードを11月10日に延期した理由は何だったのだろう。台風被害に配慮してとのことだったが。天皇夫妻が即位礼参列者への返礼として開催される「饗宴の儀」は、下記の資料に見るように4回開かれる。すでに2回は終了し
本文を読む報道の自由が危ない!11月5日シンポジウムに参加を
著者: 内野光子かんぽ不正を追及していたNHKは、日本郵政の圧力に屈して、「クローズアップ現代+」の続編がなんと1年以上も延期されている(2019年7月30日放映)。昨年の4月、かんぽ生命保険の不正販売を報じた番組について、日本郵政がN
本文を読む政治利用されない「天皇制」って、ありですか?~パレード延期と恩赦に思う
著者: 内野光子「祝賀御列の儀」というパレード 天皇即位に伴う祝賀パレードが10月22日から11月10日に延期された。また、即位に伴う恩赦の政令が出されることになった。ともに、10月18日の閣議で決定されたのだが、パレード延期の件は、す
本文を読む<「暗愚小傳」は「自省」となり得るのか―中村稔『高村光太郎の戦後』を手掛かりとして> を書きました
著者: 内野光子当記事でもお知らせしましたように、表記の拙稿収録の雑誌『季論21』46号(本の泉社)が発売となりました。「目次」の一部と拙稿の章立てを紹介いたします。 『季論21』46号(2019年10月)目次 ************
本文を読む日曜美術館「異色の戦争画~知られざる従軍画家・小早川秋聲~」(NHKEテレ2019年9月1日)を見て
著者: 内野光子やや旧聞に属するのだが、ある地元の会で、表記の番組がよかったよ、と話に聞いて、録画で見ることになった。放送の概要は、下の番組案内を参照してほしいのだが、いま残されている小早川秋聲の「国の盾」という作品はインパクトのある
本文を読む『象徴のうた』(永田和宏著)の書評を書きました
著者: 内野光子『象徴のうた』(永田和宏著)の書評を書きました 先月号の『現代短歌新聞』に掲載されたものです。『象徴のうた』は、昨年1月から今年3月まで、週一で63回にわたって『東京新聞』に連載された記事をまとめたものです。平成の天皇
本文を読む10月1日、「赤い羽根共同募金」の使い道、ふたたび
著者: 内野光子当ブログをおたずねくださりありがとうございます。昨日10月1日から、赤い羽根共同募金運動が始まりました。共同募金って何?という関心を持つ方や自治会や町内会で、募金集めをする羽目になった方、募金を迫られた住民の方々からのア
本文を読む消費増税と歌会始~2019年9月30日
著者: 内野光子9月30日は、消費増税実施の前日である。テレビなどでは、秒読みよろしく、巷の駆け込みや買いだめに走る様子やイートイン・テイクアウト、レジ対応の混乱などを伝えている。垣間見たNHKのニュースでは、女性アナウンサーがにこやか
本文を読むあらためて、高村光太郎を読んでみた(9)芸術院会員辞退のこと
著者: 内野光子光太郎の詩集の解説や評伝のようなものでは、彼の「反骨精神」の証として、あるいは、戦時下の活動やたくさんの戦争詩を書いたことへの「自省」の現れとして、芸術院会員への推薦を辞退したこと、しかも二度も辞退していたことを高く評価
本文を読むあらためて、髙村光太郎を読んでみた(8)晩年の「新しい天の火」
著者: 内野光子光太郎は、1956年4月2日、74歳の生涯を終えるが、その最晩年における、あるテーマの詩作品をさかのぼってみた。みごとに、雑誌の新年号、新聞の元旦号を飾る詩人であったことがわかる。これは、戦争詩を書いていた頃と変わりはな
本文を読むあらためて、髙村光太郎を読んでみた(7)敗戦後、天皇をどうよんだか
著者: 内野光子光太郎は、前述のように1950年に『典型』という詩集を出版し、敗戦後の詩作品をまとめた。そこには、「暗愚小伝」という題でまとめられた20篇からなる詩があり、これは、雑誌『展望』の1947年7月号に一挙に掲載されたものであ
本文を読むあらためて、高村光太郎を読んでみた(6)戦争詩において天皇はどうよまれたか
著者: 内野光子「戦後、髙村をほんとうに苦しめたのは、天皇(制)の問題と、自分の詩をよんで人は死んでいったという問題だけであった」 (「髙村光太郎論」『吉本隆明全著作集8』勁草書房 1973年 171頁)とは吉本隆明のいうところであるが
本文を読むあらためて、髙村光太郎を読んでみた(5)民族の「倫理」と「美」と
著者: 内野光子光太郎は、地政学をはじめ、天文学などに自然の必然があるかのような、そして数学・物理という論理と「倫理」「美」という言葉を頻用する。しかし、頻繁に登場するそれらのことばは、よくよく考えてみると無内容であるにもかかわらず、繰
本文を読むあらためて、髙村光太郎を読んでみた(4)光太郎の世界地図帳
著者: 内野光子若いころ、国際関係論を専攻した同僚が「地政学」という言葉をよく口にしていた。なんとも古めかしく、怪しげな・・・などと思っていた。ナチスの国土拡張、侵略の理論的な支柱になっていたことなどのうろ覚えでもあったのだろう。しかし
本文を読むあらためて、髙村光太郎を読んでみた(3)「地理の書」の改作と削除
著者: 内野光子「あれが阿多多羅山、あの光るのが阿武隈川。」のリフレインのある「樹下の二人」(1923年3月11日作『明星』同年4月)も、そうなのだが、「葱」(1925年12月28日作、『詩人俱楽部』1926年4月)という短い詩の前半に
本文を読むあらためて、髙村光太郎を読んでみた(2)「食」へのこだわり
著者: 内野光子中村稔の新著『髙村光太郎の戦後』には、敗戦後の花巻市郊外での七年間にわたる山小屋蟄居生活が日記や書簡によって詳しく紹介されていた。今回の、髙村光太郎について読み始めた目的は、おびただしい数の戦争詩と敗戦後「暗愚小傳」とし
本文を読むあらためて、髙村光太郎を読んでみた(1)教科書の中の光太郎
著者: 内野光子機会があって、髙村光太郎の詩作品を通して読むことになった。とくに戦時下と敗戦直後の作品を「歌集」や『髙村光太郎全詩集』(北村太一編 新潮社 1966年)とをあわせて読んでみた。「道程」や「レモン哀歌」のイメージが大きく崩
本文を読むはじめてのオランダとハンブルグへの旅は始まった(17)ハンブルグ歴史博物館を最後に、旅も終わる
著者: 内野光子午後にハンブルグを発って、ドゴール空港乗り換えで、帰国する日がとうとうやって来た。午前中に、きのう休館で見学しそこなった歴史博物館は見ておこう、と今日ばかりは、少し遠回りだが、市庁舎広場を通り越して、jungfernst
本文を読むはじめてのオランダとハンブルグへの旅は始まった(16)
著者: 内野光子7月2日(火)風が強く、外へ出ると、寒い。まずは歩きで歴史博物館へと思う。まるで冬支度のコートとマフラーの出勤途上の女性もいれば、半そでの男性もいる。何度も往復したルーディング・エアハルト通りのビジネス街をミヒャエリス教
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