南方熊楠の執筆一覧

唐澤太輔(秋田公立美術大准教授)の『南方熊楠』(中公新書)――日本人の可能性の極限を思わせる巨人の生涯と思想(下)

著者: 横田 喬 

◇無念の帰国と思想の深化――那智隠棲期 1900年9月1日、約八年間滞在したロンドンを後にし、熊楠は日本へ帰国する。迎えてくれた弟・常楠は、亡父の後を引き継ぎ、酒造業で成功していた。「南方酒造」の那智勝浦支店の応援を名目

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唐澤太輔(秋田公立大準教授)の『南方熊楠』(中公新書)――日本人の可能性の極限を思わせる巨人の生涯と思想(上)

著者: 横田 喬 

南方熊楠(1859~1941)は百科事典を丸ごと暗記し、二十以上の言語を解した、とされる伝説の巨人。筆者は「てんぎゃん(天狗さん)」と渾名された少年時代~大英博物館に通い詰めた海外放浪期~在野の粘菌(変形菌)研究者として

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私が会った忘れ得ぬ人々(38)  南方文枝さん――「父(熊楠)は集中力が強かった」

著者: 横田 喬

 紀伊半島の中ほど、田辺湾の美しい岬・天神崎は日本初のナショナル・トラスト(市民による自然環境の買い取り~保存)運動の成功例として知られる。深い緑の海岸林を背に、黒々と広がる岩礁の磯を黒潮がゆったり洗う。海と森がうまくか

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