岩田昌征の執筆一覧

米軍占領下における日本人インテリの能力活用の一事例 ―信書検閲官5000名の従米無精神とその普遍を覗く―

著者: 岩田昌征

孫崎享の『戦後史の正体』(創元社)が広く読まれているようである。良い事だ。 ここで私は本書の評をしたいわけではない。孫崎大使が第三章「講和条約と日米安保条約」の一節「占領期の日本人には、象徴的なふたつの道がありました。ひ

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旧ユーゴスラヴィア戦争をめぐる、「ハーグ戦犯1号の日記」(20)

著者: 岩田昌征

68.下がっていた目線 私が1992年6月18日にオマルスカ収容所にいなかったし、虐待に参加していなかったと言う証人「H」の言明はハーグ法廷の判決の中で次のように解釈された。 証人は事件の様々な実行者を目撃しており、また

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旧ユーゴスラヴィア戦争をめぐる、「ハーグ戦犯1号の日記」(19)

著者: 岩田昌征

60.弁護士から裁判官へ 1994年にドイツで逮捕され、ハーグ国際法廷で結審されるまで、12人の弁護士が入れ替り立ち替り私の弁護団に登場した。セルビア人、オランダ人、イギリス人、ドイツ人、ボスニア・セルビア人。私は彼等の

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旧ユーゴスラヴィア戦争をめぐる、「ハーグ戦犯1号の日記」(18)

著者: 岩田昌征

56.たった一人の囚人 (タディチの独房生活の諸条件が列挙されている。裁判の政治的・社会的意味にかかわることではない。省略する。岩田) 57.最初の面会 丸2年間、家族の誰とも会えなかった。弁護士ヴラディミロフの支援で妻

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旧ユーゴスラヴィア戦争をめぐる、「ハーグ戦犯1号の日記」(17)

著者: 岩田昌征

48、彼等は少しも努力しなかった 1995年4月初、駐オランダ・ユーゴスラヴィア大使が面会に来た。大使はヴラディミロフのほかにミラン・ヴゥイン弁護士(ベオグラード)をやとうように示唆した。更にバニャルカの弁護士も私の弁護

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旧ユーゴスラヴィア戦争をめぐる、「ハーグ戦犯1号の日記」(16)

著者: 岩田昌征

41、強い痛み それから十日間、緑色の警察車が私をシタデルハイム監獄からミュンヘンのゲーテ・インスティテュートへ運んだ。朝早く出て午後遅く帰った。ゲーテ・インスティテュートの中庭で手錠のほかに足錠もかけられた。一歩10セ

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旧ユーゴスラヴィア戦争をめぐる、「ハーグ戦犯1号の日記」(15)

著者: 岩田昌征

36 牢から牢へ それからの7日間は真の悪夢であった。無情な裁判官僚制の鉤爪にかけられていた。まるで玩具のように私は牢から牢へ移された。新聞もテレビも拒否されて、誰が何故に私の生命をもてあそぶのか分からなかった。 カフカ

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旧ユーゴスラヴィア戦争をめぐる、「ハーグ戦犯1号の日記」(14)

著者: 岩田昌征

33 路上拉致 ドイツ秘密警察は監視カメラや通報者を用いて一カ月ほどミュンヘンにおける私の行動を追跡していた。1994年2月10日午前、私が弟(or兄)の店に一人でいた時、私服の警官が数人やって来て身分証明書の提示を求め

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旧ユーゴスラヴィア戦争をめぐる、「ハーグ戦犯1号の日記」(12)

著者: 岩田昌征

27 堅固な証拠かファンタジーか 収容所開設の初日から収容所の仕事を意識的に調整し方向付けた一群の人々がいた。彼等はそうすることで全セルビア人にどれだけの損害をもたらすかを考えもしなかった。ドイツ人ジャーナリスト・グルー

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旧ユーゴスラヴィア戦争をめぐる、「ハーグ戦犯1号の日記」(11)

著者: 岩田昌征

25 運命の男「髭面」 ムスリム人フォリチ・ダニエルは1992年6月14日に起こった諸事件の直接的参加者であり、目撃証人である。彼は書く。「誰から強制されたり示唆されたりしたのではなく、私の発意で表明する。ドイツにいて、

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旧ユーゴスラヴィア戦争をめぐる、「ハーグ戦犯1号の日記」(10)

著者: 岩田昌征

23 致命的過失 ドイツへ向かったのは致命的過失だったと人は言う。私は法律が支配する民主主義国に行くんだと信じていた。ハーグ検事局が言うような犯罪を行っていたならば、わざわざ罠にはまりに行くものか。 ミュンヘンでの家族再

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旧ユーゴスラビィア戦争をめぐる、「ハーグ戦犯1号の日記」(8)

著者: 岩田昌征

19.再び「NIPPON」へ   コザラツ地区で発生した戦斗を家族と共に滞在していたバニャルカでテレビ・ニュースで観ていた。戦斗終了後数日たって、私は弟(or兄:岩田)リュウボとコザラツへ行き、家族の土地財産をみてまわっ

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旧ユーゴスラビィア戦争をめぐる、「ハーグ戦犯1号の日記」(6)

著者: 岩田昌征

13.二つの塹壕   バニャルカの公安部長ストヤン・ジゥプリャニンは将来のセルビア人共和国領内のすべての警察署を完全に統制しようとはかった。警察勤務員全員に民族を問わずセルビア人権力への忠誠署名と新しいセルビア人共和国の

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旧ユーゴスラヴィア戦争をめぐる、「ハーグ戦犯1号の日記」(5)

著者: 岩田昌征

11、疎開    マイキチがハンドルをにぎった。私は、ムスリム人見張番がコントロールしている地域を安全に通り抜ける道を探す役目だった。教会の中庭を出る直前、SDAのムスリム人活動家がやじった、「タディチよ、私達が一番つら

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軍事クーデター⇒秩序⇒最小限流血か、民主化⇒内戦⇒最大限流血か、筋道のディレンマ

著者: 岩田昌征

〈解説〉   2011年12月25日と26日の『ポリティカ』紙(ベオグラードの日刊紙)に社会主義ユーゴスラヴィア時代のユーゴスラヴィア人民軍(JNA、連邦軍)の最高幹部の一人、ブランコ・マムラ提督のインタビューが載ってい

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旧ユーゴスラヴィア戦争をめぐる、「ハーグ戦犯1号の日記」(4)

著者: 岩田昌征

8.セルビア人共和国の土台    コザラツの町の中心に「聖ペタルと聖パヴレ」セルビア正教会があった。すなわち、プレェドル・オプシティナの最もラディカルなムスリムス人地区の真中に存在していた。しかし、長年、そこで行われて来

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自主管理社会主義の教訓――協議経済論・アソシエーション論の盲点と資本主義幻想の霧消――

著者: 岩田昌征

1.協議経済化過剰の無理  ソ連東欧の集権制計画経済の危機が表面化して以来,特にその全面的崩壊以後,資本主義に降伏せず,その批判者としての社会主義に思想的意味を認める人達の間に,資本主義市場経済と対置されるべきは,官僚的

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