池田祥子の執筆一覧

日本の家族法の中での「共同親権」の不整合?      ― 宗像充『共同親権』を読んで ―

著者: 池田祥子

 早くも2年前になってしまうが、私は、かつて「ちきゅう座(時代をみる)」に次のようなタイトルの文章をアップしてもらっている。 「親権」とは何か?― 「家族」「親子」を考えるための基礎作業(11)(離婚後の「共同親権」を考

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「パパ活」と現代の結婚の制度と実態(「パパ活」論・そのⅡ) ― 限りなき「恋愛」「性」の空洞化?

著者: 池田祥子

 前回(本年1月8日)この「ちきゅう座」(時代を見る)に掲載の「パパ活」論(そのⅠ)では、サブタイトルを―「性の商品化」批判では届かない世界―としている。しかし、このサブタイトルについての説明はほとんど展開できないままだ

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「パパ活」という「現代の性」をめぐる社会現象  ― 「性の商品化」批判では届かない世界

著者: 池田祥子

 1945年の敗戦以降の日本社会では、天皇制を初め、結婚・家族制度など、基本的な議論を回避したまま、ズルズルと旧来の慣行を引き摺ってきたものは少なくはない。その中の一つが、人間にとって「性」とは何か?という思想の問題であ

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当事者からの、「率直な意見」!  ―ブローハン聡『虐待の子だった僕』(さくら舎、2021)より

著者: 池田祥子

 長年『人権と教育』でお世話になった石川愛子さんから頂いた本、『虐待の子だった僕』のサブタイトルは「実父義父と母の消えない記憶」である。虐待を受けた当事者からの率直な意見を紹介したいと思う。  名前の「ブローハン聡」から

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小説『つみびと』(山田詠美、中公文庫、2021.9)を読む  ―「大阪2児置き去り死事件」をモデルに

著者: 池田祥子

 コロナの第5波が終息か?・・・と多くの人にとりあえずの安堵をもたらしていた9月末、大阪府摂津市で新村桜利斗(おりと)ちゃん(3歳男児)が全身やけどを負って死亡したというニュースが飛び込んで来た。母親の交際相手の男性が、

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「性の商品化」の行方(そのⅡ)  ― 『限界から始まるー鈴木涼美・上野千鶴子、往復書簡』から

著者: 池田祥子

並大抵ではない「性の商品化」批判  私は前回、「次は『性の商品化』に焦点を当て、お二人の意見を追って行こう」と書いてしまったが、その後、密かに後悔している。  なぜなら、「性の商品化」とは具体的に何を、どこまでの現象を意

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「性の商品化」の行方・そのⅠ 『限界から始まるー鈴木涼美・上野千鶴子、往復書簡』から

著者: 池田祥子

書名『限界から始まる』とは?  鈴木涼美氏とは、本書の著者紹介から概略を掲げておこう。 ― 1983年生まれ。作家。慶応大学、東京大学大学院修士課程修了。大学在学中にキャバクラのホステス、AV女優などを経験。その後日経新

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「いにしへの‟恋ふ”」を想う ―「愛」や「性」の困難な時代に

著者: 池田祥子

 コロナ禍の時代である。首都圏では、7月に向けて第5波の警告も出されている。しかし一方では、東京オリンピック・パラリンピックは、詳細は不確定なまま、ともかくも「決行」に向けて動いている。  「まずは、コロナを抑えよう!」

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女性たちの草の根保守運動・そのⅡ ―「慰安婦バッシング」をめぐる微妙な立ち位置と課題

著者: 池田祥子

 今回も、鈴木彩加『女性たちの保守運動―右傾化する日本社会のジェンダー』(人文書院、2019)に依拠しながら、2000年代初めから半ばにかけての「草の根保守運動」に参加した女性たちの動向を紹介したい。  前回は、「男女共

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女性たちの草の根保守運動 ―「男女共同参画社会基本法」制定(1999年)をきっかけとして

著者: 池田祥子

 この4月27日、韓国は「健康家庭基本計画(2021~25年)」を閣議決定したという。現在の「婚姻、血縁関係、養子縁組だけで規定されている」家族の定義を広げる方向で、健康家庭基本法の改正を進めるという。  かつては、日本

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日本社会では、なぜ「恋愛」は困難なのか? ― 再び、吉本隆明の『超恋愛論』から

著者: 池田祥子

「万葉集」にみる恋の歌  現存する日本最古の和歌集である「万葉集」は、奈良時代末期(750~780年)に編纂されたという(大伴家持が編纂に関与)。全20巻、4500首以上が収集され、詠み人は、天皇・貴族から、下級官人、防

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「ひきこもり」についての論評、吉本隆明と田中千穂子 ― 「ひとり」と「人と人との関わり」

著者: 池田祥子

 1955年、「もはや戦後ではない」と言われ、やがて「高度経済成長時代」に突入していく日本社会では、それ以降は「企業社会・学校・家庭の三位一体」(本田由紀)が社会を有効に回していったと言われる。それら三者がそれぞれに要望

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「教育虐待」は「企業・学校・家庭」のトライアングルの産物? ―古谷経衡『毒親と絶縁する』(集英社新書、2020.10)の紹介

著者: 池田祥子

 コロナの時代、相変わらず「児童虐待」のニュースも途切れず、さらに、小学校・中学校の子どもたちや「女性」の自殺が増えているという胸の痛くなるニュースも飛び込んでくる。詳細はまだ分からないが、せめてコロナが、春の訪れととも

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梅棹忠夫の「妻無用論」「母無用論」再考 ―『女と文明』2020年6月、中公文庫化に際して

著者: 池田祥子

 「梅棹忠夫」という名前を知っている人は、もはや多くはないだろうから、簡単に略歴を紹介しておこう。  1920(大正9)年京都市生まれ、2010(平成22)年逝去、享年90。学生(京都大学)時代より白頭山登山を始め、世界

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「家族の間に秘密があるのは当たり前」― 内田樹・内田るん『街場の親子論』(中公新書ラクレ)から

著者: 池田祥子

 内田樹と言えば、『街場の現代思想』(2004)から始まって、『街場の教育論』(2008)や『街場の戦争論』(2014)、『街場の天皇論』(2017)など、『街場の・・・』というタイトルの本が目に付く。これまでに、共著2

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いま改めて、三砂ちづる『不機嫌な夫婦』への批判 ―揺らぎのなかの「性」「男/女」「父性/母性」

著者: 池田祥子

 菅義偉首相の漸くの所信表明では、日本学術会議委員6名の任命拒否についての説明は一貫して曖昧なまま、「少子化対策」として、新婚世帯への補助金額の増額や、不妊治療への保険適用などが示された。  新婚世帯にはこれまでの上限3

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日本社会に根強い「家族」「性愛」の慣習とは?  ―山田昌弘『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』を読んで

著者: 池田祥子

TBSのテレビドラマ「半沢直樹」が、7年ぶりの続編も高視聴率のままこのほど完結したという。2013年放送の前作最終回の平均視聴率は42.2%、平成のドラマ史上第1位だったそうだ。今回の続編も20%を超える高視聴率が続き、

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あなたは観ましたか?「カラフル・ファミリー」 ― NHK総合テレビ(2020.8.23)放映

著者: 池田祥子

確かに、表向き「LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー)=性的少数者」がここまで社会的に認知されてきた時代だからこそのドキュメンタリー放映なのだと思う。本名や素顔を当たり前に現わしている当事者たち

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底流する母性神話の盲点 ― またもや、若い母による「子どもの置き去り」

著者: 池田祥子

今は、予期しえなかった「コロナ」の時代である。「新型コロナウイルス」という「DNA内包のタンパク質」?の特質も未だ十分に解明されていない状況下で、私たちは、「何をなすべきか」を手探りしながらウロウロしているのが実態である

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