「廐焚けたり。」
- 2011年 5月 28日
- 交流の広場
- とら猫イーチ
「廐焚けたり。子、朝より退く。 曰く、人を傷えるか、と。馬を問わず。」 と論語には、ありますが、未熟な私には、孔子の真似は出来ず、3月11日以後に被災地に取り残された動物達の運命を考えずにはおられません。 被災者の家族としてのペット達や、家畜の馬や牛達のことが。
これ等の動物達の運命は、余りにも哀れであり、彼らの飼い主にも、震災と原発事故と併せて過酷に過ぎる、と思うのです。 政府が情報を隠さず、せめて、原発事故の詳細と放射能の拡散状況を広報して住民が避難出来るようにしていれば。 そして、せめて動物達も緊急避難出来るように時間的余裕を与えてあげていれば、無残な死を彼らに強いることは最小限に出来たでしょうに(絶無に出来なくとも)。
動物達が、最初に犠牲になるのは、災害・公害(人災)ではいつものことです。 その昔、水俣の公害では、水銀の含まれた淡水魚を与えられていた猫が狂い死にしました。 次には住民でした。 昔から猫好きの私には(今では、保護活動に従事してもいます)、猫が死を迫られる事態になるだけで正常な神経が断たれる思いがするのですが、この国の政府は、「動物保護センター」という名称の犬や猫の虐殺施設で来る日も来る日も、自動的に機械的に動物を殺害処理することに馴れているためでしょうか、何の関心も示すことがありません。 今回の震災・事故にあっても、民間の団体は、現地に赴いて取り残された動物達を保護したり、被災者から大切なペット達を預かったりをしていますが、政府には、これ等のことを期待しても無駄でしょう。 被災者の方々が、大切に飼育していたペット達を亡くされ涙に暮れる姿を想像しますと、二重に苦しい思いがいたします。
http://www.arkbark.net/?q=ja/node/232
(被災者支援緊急アピール)人間と動物の暮らしを守るために アニマルレフュージ関西
日常的に動物達を殺害処理する国では、人間に対しても冷酷無情な仕打ちをすることに何の躊躇もしないのは当然でしょう。 この国の官僚は、東大法学部出身者を中心として、法令解釈や作成の法制執務に長け、自己保全の術と責任回避の方法を習得していますので原子力関連の法令に関わっても責任を負うことは最大限避けています。 武田邦彦先生は、そのからくりを看破されていますが、極端な話では、合法的に殺人を合理化することも可能なのですから驚きます。
例えば、週刊文春6月2日号で紹介されています「浜岡原発で白血病 長男を失った『母の叫び』」の記事です。 原子炉の計測機器の保守点検をしていた若い労働者は、9年間の勤務で累積被曝量50・93㍉シーベルト、年間被曝量は最大でも9・8㍉シーベルトに過ぎなかったにも拘わらず、白血病になり早すぎる死を迎えたのです。 法定基準は、年間50㍉シーベルト(!)。 その法定基準さえも大幅に超えた数値(250㍉シーベルト)を労働者に強いる政府に、合法的殺人者の名称を与えることは中傷でも誹謗でも無いでしょう。 「馬を問わず。」の政府の要人が、孔子のような君子ではないのは承知していますが。
http://www.chugoku-np.co.jp/abom/00abom/ningen/000322.html
闘病2年 力尽きる 中国新聞 3/22/ 2000
http://www.bunshun.co.jp/mag/shukanbunshun/
週刊文春 6月2日号
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。