『「時間の犯罪」を許せない-恐ろしい量の放射性物質を海に空に放出している実態を知らせたくないため』など― 地震と原発事故情報 その81
- 2011年 5月 29日
- 評論・紹介・意見
- たんぽぽ舎地震と原発事故
1.『「時間の犯罪」を許せない-恐ろしい量の放射性物質を
海に空に放出している実態を知らせたくないため』
2.『5・27原発も再処理もいらない!日比谷野外音楽堂
集会とデモ』報告
3.『文科省「子ども年20ミリシーベルト暫定基準」事実上断念
福島の父母たち、市民運動が勝ち取った大きな一歩
同時に、文科省の発表は多くの問題と課題を残す』
4.『原発・核燃料サイクル政策の断念を求める要請書
今年の原発予算をやめて、それを災害復興と損害賠償に
まわしてほしい』
5.『「原発の冷却配管、地震で破損」
東電のゴマ化し、遅い発表という「いつものやり方」』
★1.「時間の犯罪」を許せない-恐ろしい量の放射性物質を海に空に放出している実態を知らせたくないため
山崎久隆
・ 東電に、タービン建屋などの水のサンプリングを要請し、放射性物質の種類を正確に公表するよう要請したら、「作業員の被曝を避けるためにサンプリングができない」と断られました。ところが一方では作業員の内部被曝を全く調べていなかったことが明らかになっています。つまり、本当に作業員の健康を心配していたのでは無く、恐ろしい量の放射性物質を海や空に放出し続けている実態を知られたくないために計っていなかったのです。
・ 「時間の犯罪」を実行している東京電力と菅内閣、もうだめ 別に作業員に実施させる必要はありません。
実施主体は原子力開発機構で良いのです。どうしてそういう大事なことが実行されないのかと思っていたら、作業員の被曝調査さえ全くしていなかったことがここにきてはっきりしました。
理由は簡単です。プルトニウムやストロンチウムなどは別としても、ヨウ素やセシウムの体内半減期(生物学的半減期)は物理的半減期に比べて短いため、時間と共に急激に減衰し、後々測定しても見つからないことを知っているからです。3ヶ月くらいたってからおもむろに測定すれば、ほとんど検出限界以下になっていることでしょう。そのため誰もが被曝をした事実を知り得ないわけです。時間の犯罪と言ってもいいでしょう。内部被曝が分からない以上、その後にがんや白血病を引き起こしても因果関係は無いと言い張れます。さらにプルトニウムやストロンチウムはバイオアッセイ法で無ければ内部被曝を調べることも困難です。
他の原発に仕事に行ったら、その原発でおこなったチェックにひっかかったなど、ほとんど常識外の話です。これは国の犯罪をそのまま表しています。人の命を守るという当たり前のことが、この国の政府の中にはどうやら存在しない価値観らしいです。
原発が大事か、人間が大事か、はっきりさせようではありませんか。
(毎日新聞 2011.5.21朝刊の記事を読んで)
★2.「くり返すな!原発震災 つくろう!脱原発社会 NO NUKES
5・27原発も再処理もいらない!日比谷野外音楽堂 集会とデモ」報告
(共催:原発とめよう!東京ネットワーク/再処理とめたい!首都圏市民のつどい)
・当日は小雨交じりにも係らず、開場の17:30前から野音入り口には行列が出来、野音は2/3の人で埋まりました。(約1200~1500人)音楽もにぎやかに、約1時間の集会では、まずかけつけた福島瑞穂議員から、「福島の子供、20mSv問題」で、「文科省が1mSvをめざす、放射能の低減措置に国の予算をつけると発表した、一歩前進ではある」とのアピールがありました。続いて各参加団体から「1mSv福島原発事故と子どもたちの被ばく問題」、「六ヶ所再処理工場」「柏崎刈羽原発について」「浜岡原発について」について大いにアピール。集会は拍手にわきました。
・銀座デモでは、たんぽぽ舎は、最後の第4梯団の先頭となり、多くの個人、団体が加わり200人となりました。最後列は全労協200人、全体で80余列約400人の梯団となりました。
東電前アクションの人々を中心に、にぎやかな楽器とタイコ、コール(原発いらない、原発やめよう、子供を守ろう、みんなで守ろう)もひびきわたりました。
・解散地では約120人強の参加で、30分ほど独自の総括集会を開きました。個人・グループなど10人が発言、お互いの交流と、今後の方向、日程(6月11日の全国一斉デモ、6月22日の「スペースたんぽぽ」の開講式、7月16~17日の浜岡連帯ツアーへの参加)を、全体で確認しました。(次回の事故情報では、たんぽぽ舎・浜岡原発とめようアピールの中味をご報告します)
(柳田 真、槌田春美)
★3.文科省「子ども年20ミリシーベルト暫定基準」事実上断念
福島の父母たち、市民運動が勝ち取った大きな一歩
同時に、文科省の発表は多くの問題と課題を残す
文科省から、当面の対応として「今年度年間1ミリシーベルト以下をめざす」がでました。
このことについて、子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク、グリーン・アクション、福島老朽原発を考える会(フクロウの会)、美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)、国際環境NGO FoE Japan、環境NGOグリーンピース・ジャパンは、別添のような声明を発出しました。(2011年5月27日)
http://dl.dropbox.com/u/23151586/110527_statement.pdf
ご参照下さい。
★4.原発・核燃料サイクル政策の断念を求める要請書
今年の原発予算をやめて、それを災害復興と損害賠償にまわしてほしい。
中村泰子(たんぽぽ舎会員)
福島第一原発の事故以来、原子力委員会に対し、約6500件の原発推進の見直しを訴える意見が寄せられているとの報道がありました。「原発は全て廃止する方向での政策転換を強く希望」「原子力から代替エネルギーへの転換を」「核燃料サイクルを断念すべき」といった声が多いとのことです。
当然のことです。これまで原子力安全・保安院が与えてきた「安全」のお墨付きはまったく無効なものであったことが実証されました。事故処理にいたっては、能力を疑わせる、場当たり的な対策によって、深刻な事態をさらに悪化させ、収拾のつかない状態にしてしまいました。今後ますます苛酷な被曝労働が増え、国民全体の被曝、さらに地球被曝をもたらすことになります。
経済産業省は、自らが原子力を取り扱う資格がないことを自覚してください。原子力がわからない人たちが、勝手に原発・核燃料サイクル政策を国策として聖域化し、ひたすら推進してきた結果、取り返しのつかない事態を招いてしまったことは、政府の重大責任です。
政府は、ついぞ原子力政策の妥当性を裏付ける合理的根拠を私たちに示すことはありませんでした。そして今回、福島原発震災によって、ウソの一端がばれました。六ヶ所再処理工場と「もんじゅ」のウソも遠からず広く国民に知れ渡ることでしょう。核燃料サイクル政策は、動機が核武装であり、そのためには、被曝労働、住民被曝、環境汚染、放射性廃棄物管理の未来世代への押しつけなどを前提としながら、国民には隠すというものなので、そもそも国家の政策としての正当性がありません。政府は、国民の生存権を蹂躙する原子力政策を白紙撤回し、原発関連予算、使用済燃料再処理等積立金など、原子力産業擁護のための予算をすべて福島原発事故対策と損害賠償に出しつくすべきです。
私たちは以下を強く要請します。
政府は原発・核燃料サイクル政策からの撤退を即刻決断し、国民に謝罪すること。
(2011.5.25申し入れ)
(注)この文書は、毎月第四水曜日におこなわれている経済産業省原子力安全・保安院への抗議・申し入れ行動で、提出されたものです。
★5.「原発の冷却配管、地震で破損」
東電のゴマ化し、遅い発表という「いつものやり方」
・5月25日の朝日新聞は次のように報じている
東日本大震災で被災した東京電力福島第一原子力発電所3号機で、炉心を冷やす緊急システムの配管が破損した疑いがあることが、24日に公表された東電の解析結果からわかった。東電は「想定を大幅に超える大きさの津波」が事故原因だとしてきたが、解析が正しければ、津波の到着前に重要機器が地震の揺れで壊れていた可能性がある。
解析によると損傷の可能性があるのは、過熱した核燃料が空だき状態になるのを防ぐため、原子炉の水位を保つ緊急炉心冷却システム(ECCS)の一つ。「高圧注水系」と呼ばれる冷却システムだ。
・〈コメント〉
福島原発の冷却配管が地震で破壊したというのは、ずっと前から、田中三彦氏や広瀬隆氏、山崎久隆氏などがそれぞれ指摘していたこと。それを遅く発表する東電のいつものやり方。東電(と政府)は、原発大惨事の原因を津波だけに狭めて、「地震にも弱く、傷ついてしまった原発」という事実をなんとか隠したかったのである。「地震にも弱い」「津波にも弱い」という原発の本質が知れわたれば、今後、全国の原発の補強費用は津波対策と地震対策で二重(二倍以上)増大し、電力会社の経営を圧迫する。それを避けようと、セコイ、ゴマ化しを企んだが、それが破産した。(柳田)
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion0482 :110529〕
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