大本営参謀と政権の高官と
- 2020年 4月 26日
- 評論・紹介・意見
- 熊王信之
新型コロナウイルスに依るパンデミックが全世界を恐怖に陥れている現状で、この国では、アベノマスクを全国民に配布する等と言う対策(???)が始まっています。一方では、既にワクチン開発が出来て、臨床試験が始まっている、と言うのに、です。
欧州初のワクチン臨床試験、英オックスフォード大で始まる BBC News Japan 2020年04月24日
https://www.bbc.com/japanese/52407075
米国で開発されたワクチンは、出来が悪かったようですが、他にも相当な開発競争があるようですので期待が持てそうです。 でも、実際に接種可能になるには、一年か二年がかかるそうですので、当面の対策は、他国の例に倣う他は無いようです。 即ち、感染した人を早期に発見して隔離し、人命を救助すると同時に医療崩壊を防ぐ訳です。
成功した事例は、この国の近くにある韓国と台湾、それに欧州のドイツです。 しかしながら、この国は、それらの諸国とは相違した「対策」を実施しているようであり、「統計的には」感染者を少数に抑制することに成功しています。 即ち、検査を極少数にすることで、感染者を少数にすることに成功している訳です。 それに、患者が死んでも死因は、全て「肺炎」になるのですから。 決して、「コロナ」と死因が記されることは無いのです。
最近、政府に専門家の立場から基本的対策を進言し、現状を分析し適宜に策を立案する「専門家」の方々と政権にある方々の実施策を見ながら何か既視感に捕らわれるのです。
太平洋戦争に、です。 専門家の方々が大本営参謀、安倍政権の方々が東条英機以下の往時の政権の面々に見える訳です。
作戦としては精緻に構築されても、肝心の武器や弾薬、糧食を欠いた無謀な「作戦」を実行し、悪戯に国民や兵士の命を無為に奪った大本営参謀。 空虚な精神論を説くしか能の無い政権の要職にある無能の高官。
因みに、此処で書くまでもありませんが、マスクを配布するのならば、N95規格の医療用マスクと医療用被服と防具を医療機関に必要分を完全に配布するのが先行するべきです。
加えて、一般患者を診療することも無い専門家に丸投げでは無くて、一般診療を行う医師を中心に検査を実施し現場から対策を立案するのが筋なのです。 机上計画のみでは、感染者を見逃し、感染を広げるのみになるのが歴然としているのに何故国民には自立自助を求めるのみなのか、と言えば、専門家と政権にある方々の責任逃れしか無い訳です。
政府は、国民に感染を広げないように協力を御願いしたが聴いて貰えなかった、と逃げ口上を考えている訳なのでしょう。 関係法律もそのように出来ているのです。 何とか「宣言」も宣言するのみ。 国民の自助努力を待つのみ。 であるから、その損失を償う法的根拠も無い、と言う訳なのです。 全て責任逃れ。 首相の妻も夫を残して旅行するのに国民全てが「宣言」したからと言って自宅に籠る訳がありません。
自宅で寛ぐのも良いでしょうが、その前に一国の首相としてするべきことがある筈です。 コロナ撲滅の作戦とその後の戦略について、です。 今日では、戦前とは違い、大本営発表のみを報道するメディアのみではありませんので、その道理を指摘される方もおられます。
コラム:政府は対コロナ「大戦略」策定を、経済再開へ手順示せ 田巻一彦
ロイター 2020年4月24日
https://jp.reuters.com/article/column-tamaki-covid-idJPKCN2260UR
と言っても、国債を大企業奉仕の目的から乱発し、そのつけを日銀に廻すのみの放漫会計のアベ政権と出来る筈も無い物価目標を金看板にETF(上場投資信託)を買い株価を吊り上げ世間的に好況を演出し、国債乱発の無能政権の尻ぬぐいを営々と継続する日銀では将来がありません。
そもそも、コロナ騒ぎは、日本の命運を左右する瀬戸際ですが、自宅で寛ぐ首相の映像を見る限り、その認識には程遠い、と言わざるを得ないのです。
御自身が新型コロナウイルスに感染し集中治療室で回復された英国のジョンソン首相は、48時間身辺に付き添った二人の看護師の氏名を上げて一生感謝すると心底から言われましたが、御自身の経験から医療崩壊を防ぐべくNHS(国民保健サービス)擁護を呼び掛けられたものと思われます。
「一生感謝します」退院のジョンソン英首相、医療スタッフに 2020年4月13日 BBC https://www.bbc.com/japanese/video-52267576
果たして、イギリスのように、新型コロナウイルス感染症者が10万人を超えても、この国の医療制度は機能するのでしょうか。
市井の一般人が心配するのに、一国の首相が寛ぐ風情とは、、。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion9685:200426〕
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