東京都知事選挙についての若干の感想
- 2020年 7月 8日
- 評論・紹介・意見
- 熊王信之
最初に身も蓋もない物言いですが、都知事選の前に連合が小池氏を支持される決定をされた事実は、野党共闘が事実上は不可能になったことを意味したものである、と思われました。 6月18日以降において、宇都宮氏を立て野党共闘にて都知事選を戦うことが出来なくなったのでした。 いくら立憲民主党が宇都宮氏を支持する、とされてもそれは、建前であり、資金も人手も連合が出さないのですから、いくら議員が声高に叫ばれても、有名無実そのものに成り果てた訳でした。
東京都知事選挙の対応に対する事務局長談話 日本労働組合総連合会 東京都連合会
事務局長 斉藤 千秋 掲載日:2020年6月18日
https://www.rengo-tokyo.gr.jp/activity11/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E7%9F%A5%E4%BA%8B%E9%81%B8%E6%8C%99%E3%81%AE%E5%AF%BE%E5%BF%9C%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E4%BA%8B%E5%8B%99%E5%B1%80%E9%95%B7%E8%AB%87%E8%A9%B1/
れいわの山本氏は、独自に立候補されたのですから、共産党と社民党と立憲民主党で宇都宮氏を候補として戦うことになったのは明白でした。 勿論、小沢氏を始めとして他党議員の方々も応援をされたのは事実ですが、実質的に宇都宮陣営の中心は共産党になった訳でした。
国民民主は言うに及ばず、です。 支持層は、投票先が分裂したことでしょう。
残るは、「れいわ」ですが、知事に収まる積りの無い方が立候補されても、どれだけ支持が集まるのか、と疑義がありましたが、有権者もご同様のようでした。 その割には、投票数が結構多かった、と思われました。
しかしながら、その政策なるものを眺めますと、眉をひそめるものがあります。「まずは全都民に10万円を給付」と掲げ、更に、状況に依り金をばら撒くとのことでした。 「第2波、3波を考えれば再び『補償なき自粛』が行われる恐れがある。その際には、全都民に10万円給付」とありましたから。 加えて、「全事業者へ簡単なWEB申請で受け取れる『まずはサッサと100万円』を支給」とあるのですから、まるで「投票するなら金をやる~!」です。
そもそも眼を労働界に転じますと、日本の労働運動の中央組織が総評無き後で分裂し、連合と労連その他が出来ましたが、今や労働者が細分化され、大企業に勤務する労働者層と派遣労働者等未組織労働者層が分裂した存在になり、実質的に労働条件が切り下げられても戦えない状況が現出しています。
1980年代に出版された著書で「ユニオンジャック―国家ぐるみの犯罪」と言う書籍がありました。 著者は、当時は未だ希少であったパソコンを使い、「ユニオンジャック」即ち、労働組合の乗っ取りの策動を暴かれたのですが、90年代に入りその兆しに拍車がかかり、今日では、ご覧のとおりの惨状になっている訳です。 既に春闘等は見る影も無く、大企業の労組等は、企業の人事部のようになっています。
過去に存在した「社会党」は、共産党との共闘も解消され、「右転落」したと批判されたものでしたが、今では、転落処か雲散霧消してしまいました。
残るのは、未だ社会主義の夢にすがる政党と宗教政党です。 自民党もこれから先にはどうなるのか分かりません。 一時は、社会党と幻の政権を作ったものでしたが、彼の政党と同様になるのかも知れません。
小池百合子知事が自民党の公認を受けられなかった事実は、そうした将来を見据えられたのでしょうか。
少し、気になるのは、例の右翼政党候補の健闘です。 もともと戦前回帰の途上にある日本です。 左翼そのものの衰退は間違いがありませんが、民主主義まで危機になれば二度目の敗戦の恐れがあるのかも。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion9919:200708〕
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