6/13第2回公開質疑(院内集会)「命を守る避難対策を」の概要など
- 2011年 6月 22日
- 時代をみる
- たんぽぽ舎
6/13第2回公開質疑(院内集会)「命を守る避難対策を」の概要
( http://2011shinsai.info/innai )
参加者は約200人。前回は約250人でしたので減ってはいますが、それでも大勢の参加がありました。広報期間が短かったことも考えると、関心が薄れていないことの表れだと思います。
当日は、初めに市民の事前討論(学習会)を行いました。まず、槌田敦さん(元名城大学教授)が事故の実態や原子炉の状況などについて解説。続いて、ミシェル・リヴァジさん(欧州議会議員、フランス緑の党、民間放射能監視団体「CRIIRAD」設立者の一人、元グリーンピース・フランス代表)が発言(通訳は真下俊樹さん)。
「チェルノブイリ事故後にフランス政府が『全く影響はない』と発表したため、住民はEU基準を超える汚染食品を食べてしまった。訴訟を起こすまで20年かかったが、現在法廷で責任を追及している。フランスは年10ミリシーベルト(外部被曝)が避難基準だが、10ミリでも子どもには高い。高濃度汚染地域からできるだけ早く避難させるべきだ。20ミリシーベルトの子どもへの適用はやめてほしい。日本政府が提案している表土の天地返しは悪い解決策。地表の土壌をはぎ取り、福島原発敷地内(ないし周辺)に中間貯蔵すべき。放射線の影響にしきい値はない。地域の人々を被曝から守るために負担を負うべきは東電や日本政府だ。」
公開質疑では、稲見哲男、平山誠、服部良一各議員のあいさつに続いて、まず現行の避難区域の拡大について議論。当局は「避難基準の20mSvはICRP(国際放射線防護委員会)の『緊急時』の参考レベルの一番下をとったものであり、安全側に従った対応」「対策の目安としては子どもと大人は区別されていない」と説明。これに対して、崎山比早子さん(医学博士、高木学校)は、「山下俊一長崎大教授(福島県アドバイザー)は論文で子どもの甲状腺や心臓、内分泌腺への放射性物質の蓄積量は大人の2~3倍と書いている」と反論。
当局の「政府の緊急事態宣言が解除されるまでは『緊急時』の20mSv基準を適用」との答弁に会場も含めて批判が噴出。「緊急時と言うが既に3ヶ月が経ち、被曝させられながらの日常生活が続いている」「自主避難する人に対して、なぜ東電や政府は補償しないのか」「ICRPは汚染地域で生活、労働している状態を『現存被曝』と定義しており、『緊急時』ではない。基準は1~20mSvの下方にとるべき」「公式答弁を繰り返すのではなく、自分のこととして考えてほしい」「長期化を前提とした避難として組み立てられていない以上、もう一度見直しする時期だ」。
前半に時間を費やしたため、後半の事故拡大時の緊急避難体制の整備、海洋汚染などの質疑は不十分でした。それでも、極めて不十分な避難体制の問題点と課題はより明確になったと思います。
今後の課題としては、避難体制の根本的見直し議論の開始と、少なくとも
10mSv基準への避難範囲の拡大、自主避難者への費用負担をさせることなどが挙げられます。次の展開をどうすべきか、今回の反省を踏まえながら議論していきたいと思います。当日のスタッフの皆さん、参加者の皆さん、お疲れ様でした。
※事前に行った資料請求に対しては、今回も前回同様に質疑当日の午前中に資料が届くという有様でした。内容は不十分でしたが、前回よりは誠実に回答している印象です。資料は近日中に共同デスクのウェブサイトに掲載予定です。
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「原発にさようなら」集会に集まろう
9月19日(日)午後 明治公園(5万人集会)
福島第一原発事故を受け、ルポライターの鎌田慧さんらが15日、東京都内で記者会見し、9月19日に東京・明治公園で5万人規模の「原発さようなら集会」を開催し、1000万人を目標にした署名活動も始めると発表した。
呼びかけ文は、=原子力と人間の共生など、けっしてありえないことなのですが、それに気づいていながらも、私たちの批判の声と行動があまりにも弱かった、と深く悔やんでおります。
いま原発を拒否する声はさまざまな運動となって広がっていますが、私たちはこれまでの怠慢を反省し、政府や財界や電力会社などが、原発推進の巻き返しにでないためにも、さらに大きな市民の力で、原発依存の生活から脱却する道をあゆみだしたい、と念願します。=
呼びかけ人は、作家の大江健三郎さん、瀬戸内寂聴さん、ミュージシャンの坂本龍一さんら。原水爆禁止国民会議(原水禁)などでつくる実行委員会が支援する。
原発の新規建設計画の中止や浜岡など既存原発の計画的廃止を求める。会見では作家の澤地久枝さんが「国会は政治ごっこ。被曝の歴史を背負っているのに、世界に対して恥ずかしい。原発を止めたい」と訴えた。
たんぽぽ舎「地震と原発事故情報 その100」より転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔eye1474:110622〕
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