「原発再稼働に固執する菅内閣を打倒しよう」 福島原発事故10年、さようなら原発首都圏集会
- 2021年 3月 29日
- 時代をみる
- 3.11さようなら原発首都圏集会岩垂 弘
東京電力福島第一原発の事故から10年を経た2021年3月27日(土)午後1時30分から、東京の日比谷公園大音楽堂で「3・27福島事故10年 さようなら原発首都圏集会」が開かれた。さようなら原発一千万署名市民の会の主催。集会では、事故から10年後の今も福島県ではなお多数の避難民が故郷に帰還できないでいる現状が報告され、「こうした悲惨な状況に目を向けずに原発再稼働を推進する菅内閣を許せない。市民の力で菅内閣を打倒しよう」の声が相次いだ。
同市民の会は、東電福島第一原発の事故以来、毎年3月に東京で、さようなら原発全国集会を開いてきたが、昨年は新型コロナウイルス感染拡大のため中止せざるを得なかった。市民の会内には「今年も中止したら」という声があったが、「やはり、コロナ禍のもとでも脱原発の声を挙げねば」として、規模を縮小した「首都圏集会」を開いた。
会場の日比谷公園大音楽堂は定員2600人。会場側から「コロナ対策上、密を避けるために入場は1300人に」と要請され、このため、市民の会は労働組合による組織的な動員を控え、市民の自主的な参加に委ねた。開会前から、一般市民、労組関係者、生協関係者らがつめかけ、会場の席はほぼ埋まり、入れなかった参加者が会場外に溢れた。市民の会発表の参加者数は約1500人。
まず、集会で主催者あいさつをした、市民の会呼びかけ人の1人でルポライターの鎌田慧さんは「原発事故によって畑や家や家畜を失い、逃げ惑った人が沢山いる。自殺した人もいる。そして、今なお避難先からふるさとに帰れない人たちが4万もいる。こうした悲惨な状況が未解決なのに、政府は反省しないどころか、原発をやめようとしない。原発問題はあらゆる面で行き詰まっており、原発はいらないという人は今や国民の80%に達する。いまこそ、一刻も早く原発をなくさなくてはいけない」と述べ、菅内閣の打倒を呼びかけた。
さらに、先ごろ、国際社会で核兵器禁止条約が発効したことに触れ、次は原発を禁止する条約をつくらなければ、と述べた。
杖を突きながら登壇した、呼びかけ人の1人で作家の澤地久枝さんは「わたしは昨年9月で90歳になった。命がある限り、反原発を人びとに訴えたい。とくに若い人たちに話しかけたい」と切り出し、「かつて、(ベ平連の)小田実は、何事も1人から始めよう、と言った。1人ひとりが運動を始めれば、人が人を呼び、やがて大きな運動になる、というのです。皆さん、まず、1人から始めましょう」と訴えた。
さらに、「わたしは原発を推進する人に憎しみを持っている」「核兵器を禁止するには国際的な条約が必要だが、原発は、その国の首相が、原発をやめますと言えば、直ちにやめられます」と政府に決断を求めた。
その後、脱原発運動を進めている団体の代表から発言があったが、福島原発刑事告訴団事務局長の地脇美和さんは、福島県では原発事故で避難させられた人たちが今なお厳しい生活を余儀なくされている実情を報告し、「福島は、とてもオリンピックどころではない」と訴えた。
原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟会長・城南信用金庫名誉顧問の吉原毅さんこう述べた。
「かつて、私は原発に賛成だった。政府も電力会社も大学の恩師も、原発はコストが安く、クリーンなエネルギーで、絶対安全だから、と言っていたから。でも、3・11の事故でこれがウソとわかり、反省した。で、原発はやめなくてはいけないと、元首相の小泉純一郎さん、細川護煕さんらと原自連をつくった。そして、野党に要請して原発ゼロ法案を国会に提出してもらった。原発をやめてクリーンエネルギーに転換すれば、かえって日本経済は発展する。なんとしても、この法案を通したい」
「脱原発は、右も左も関係ない。今や、細川さん、村山富市さん、小泉さん、鳩山由紀夫さん、菅直人さんという5人の元首相も原発ゼロの立場だ」
この後、菅直人・元首相が飛び入りで演壇に現れ、「人間がつくったものは、人間がやめさせることができる。原発ゼロ法案が通れば、原発はなくなる。来たる総選挙では、原発ゼロ法案に賛成する候補者に1票を」と訴えた。
「会場演壇から、東海第二原発運転差し止め訴訟での勝訴を報告する原告団の人たち」
今月18日に水戸地裁における東海第二原発運転差し止め訴訟で勝訴をかちとった訴訟原告団も登壇し、共同代表の大石光伸さんが「これは、社会の常識に基づく判決で、前田英子裁判長の英断によってもたらされた」と報告、「私たちの闘いが福島の人たちへの支援につながれば、と願っている」と述べた。
集会後、参加者は銀座をデモ行進した。
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