「染水の量は、いったいどれだけなのか?都合の悪いデータは一貫して出さない東電の姿勢」など―地震と原発事故情報 その110
- 2011年 7月 4日
- 交流の広場
- たんぽぽ舎地震と原発事故
5つの情報をお知らせします(7月4日)
★1.染水の量は、いったいどれだけなのか?
都合の悪いデータは一貫して出さない東電の姿勢
★2.一日で5,500万円の税金消え-「もんじゅ」原発
核兵器開発に転用可能―住職が反対運動
★3.年間1ミリシーベルト以下の安全な場所で教育を実施して
7月5日の福島疎開裁判に向けてご協力のお願い
★4.「さよなら原発-○○の会-」を作りませんか?
提案・さよなら原発-にしたま- 会員 さはし やよい
★5.メールマガジンの読者より
★6.事務局からのおしらせ・3つ
★1.汚染水の量は、いったいどれだけなのか?
都合の悪いデータは一貫して出さない東電の姿勢
山崎久隆
はじめに、2011.6.10発信の「TMM:No1106 地震と原発事故情報その91」の1に掲載した「原発汚染水」の原稿について、倍率を「500倍」とすべきところを「50倍」としておりました。100京ベクレルと推定した汚染量を英国で海洋投棄された2200兆ベクレルで割ると、約500倍が正しい値です。謹んでお詫び申し上げます。
汚染水の放射能はいったいどれだけなのか。実際には日々、溶融燃料から漏れ出し続けているため、確定した数値を言うことは誰にも出来ません。しかし推定値さえも明らかに正しくない値しか公表しないという姿勢は、公表できないからと言わざるを得ません。
東電は28日の株主総会でホームページに公表していると回答しました。ところがこのデータは海水と土壌と地下水の値で、肝心の溜まり水についてではありません。この値が問題なのであって、その値を出さないと評価できないと何度言っても聞きません。都合の悪いデータは一貫して出さない姿勢は昔から全く変化がありません。
国が公表している溜まり水の推定放射能濃度は「約72万テラベクレル」とされていますが、日本語で言えば「約72京ベクレル」です。しかし、この値はヨウ素とセシウムの値をヨウ素換算したものです。
ストロンチウム89と90の核分裂収率(核分裂により生ずる比率)はセシウム134,137とほぼ同じと見れば、セシウム単体を二倍すれば良いことになります。炉心比率は同等程度でも、漏えい率が問題となりますが、水に溶ける性質を考えれば、これも同等と仮定し、セシウムの存在量を倍にして考えると、100京ベクレルという水準になるのです。
★2.一日で5,500万円の税金消え-「もんじゅ」原発
核兵器開発に転用可能―住職が反対運動
東京新聞『こちら特報部』の7月4日号は、核兵器に転用可能な「もんじゅ」(特殊原子炉)と反対運動住職中島哲演氏の記事を載せています。「もんじゅ」は、危険=配管が地震に弱い、浪費(一日で5,500万円,総経費1兆円の税金食い虫)、事故多発の特殊原子炉です。文部科学省の所管ということもあって、なかなか話題になりにくいですが、重大で危険な原発で、税金を多額に浪費してきた原発ですので、ぜひ多くの人に関心をもってほしい。そのイミで「もんじゅ」の重要点について報道した東京新聞の抜粋を紹介します。
○“夢の原子炉”のはずが、稼働すらできない日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)。17年前に動き始めた直後、事故で14年半も停止。昨年の運転再開後、また事故で止まった。命名の由来は文殊菩薩。「危険な施設に、御仏の名を使うとは」と、長年反対運動を続けてきた地元の住職は憤る。
○長年地元で反原発運動を続けてきた中島住職は、もんじゅのキーワードとして「超危険」「超浪費」「反平和」の三つを挙げる。まず「超危険」。もんじゅは、動き始めて間もない1995年12月、ナトリウム漏れ火災事故を引き起こした。
「配管が、大蛇のようにのたくっていた」。中島住職は、「もんじゅ」の内部を視察した時の光景を強烈に覚えている。軽水炉を使う原発が工場施設とすれば、「もんじゅ」は複雑な精密機械。冷却材のナトリウムは危険物で、接触すれば大爆発する水と、薄い金属板一枚を隔てて流れている。しかも、「もんじゅ」の下を二本の活断層が走る。
○次に「超浪費」。「もんじゅ」の本年度予算は二百十六億円。今後も年間約二百三十億円の経費が見込まれる。停止中も維持管理や点検などで一年に約二百億円かかった。何もしなくても、一日当たり約五千五百万円の税金が消える。同機構の発表で、これまでの総経費は九千四百八十一億円。燃料関係費などを入れると一兆三千億円を超える。
それなのに、2050年度に実用化を目指すとしていた目標も、いまや「福島の事故もあり、『もんじゅ』の運転再開や実用化のめどは立てられない」(同機構)との状況だ。
○命を奪う核兵器と、高速増殖炉とのつながりは深い。核兵器に転用できる高濃度のプルトニウムを生み出すからだ。「現在の政治判断はともかく、『いつでも核武装できる手段』として高速増殖炉を位置づける政治家や官僚の意図が、これまで外交文書などで明らかになっている」
○元京大原子炉実験所の、小林圭二氏によると、高速増殖炉で発電を目指すのは、いまや世界で日本だけ。米国は1983年に開発停止。英国は87年に原型炉が大事故を起こし、開発から撤退。積極的だったフランスも、事故続発で2009年を最後に廃止した。
現在稼働する原発の使用済み核燃料は、将来的に高速増殖炉で処理する建前だ。小林氏は、「もんじゅを止めないのは、国の原子力政策や電力会社の原発運転が破綻するからだ。だが、すでに実用化は幻想の域に達している。廃炉しか道はない」と話す。
○福島原発事故の被害は甚大で長期化し、拡散している。この現実に目を向ければ、軽水炉より地震に弱く、危険な高速増殖炉の開発を続けてよいわけがない。国策でも過ちに気付いたら、ためらわずに改めよう。いまこそ原発依存から脱却し、日本の政治力を見せつける時だ。世界が注目している。
★3.年間1ミリシーベルト以下の安全な場所で教育を実施して
7月5日の福島疎開裁判に向けてご協力のお願い
東日本大震災後次々に事故を起こした東電福島原子力発電所は放射能を空に海に放出し、三ヶ月過ぎるいまでもいつ終息するか分かりません。郡山で私たちは1時間あたり1.2~1.3マイクロシーベルトの空中放射線量の中で被曝を気にしながら生活をしています。特に放射線の影響を受けやすい、未来ある子どもたちへの影響を心配しています。福島県では、すでに自主避難などで福島の地を離れている子どもたちもいます。しかし、依然、大多数の子どもたちと親は、行政が実施している安全宣伝と危険性を伝える情報に翻弄され、意識の格差や友だちと別れたくない、経済的負担等々で思い悩み不安な日々を送っています。自主避難をしたくてもできない家庭も多く、避難するか否かを各家庭の判断に任せるべきではないと考えます。今回、14人の勇気ある原告が郡山市を相手に「1mSv/年以下の安全な場所で教育を実施することを求める仮処分」を申し立てしました。そして第1回の裁判(審尋)が7月5日に決まりました。
どうか、皆様のご協力、ご支援をお願い申し上げます。
日 時 2011年7月5日(火)午後4時集合
場 所 福島地方裁判所郡山支部 隣麓山公園入り口広場
(郡山市麓山一丁目347 番)
スケジュール 午後4時から集会
午後4時30分 裁判(審尋)
裁判終了次第(5時~5時半)から
労働福祉会館で記者会見・報告集会
(2階中ホール 郡山市虎丸町7-7)
連絡先 ふくしま集団疎開裁判の会
代 表 井上 利男(024-954-7478)
子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク
国、県への対応部会 世話人 駒崎ゆき子(090-2608-7894)
★4.「さよなら原発-○○の会-」を作りませんか?
提案・さよなら原発-にしたま- 会員 さはし やよい
作家の澤地久枝さん等が、「さよなら原発1000万人署名」を始めました。4月に東京の西のはずれで発足した私たちの会”福島原発事故を考える会”も、”さよなら原発-にしたま-”と改称。隔月に講師を招き集会を開いています。皆さんも、「さよなら原発-○○の会-」を作りませんか?例えば”さよなら原発-絵手紙の会”。絵に、会の名称と反原発の思いを一言書いて、電力会社や政府に送付。”-おしゃべりの会-”なら、電車の中や喫茶店でうわさ話をする。中味はもちろん、原発の批判!
有名人が動けば百人力。私たちひとりひとりが動けば万人力。”九条の会”のように、全国に数千の「さよなら原発-○○の会-」ができれば、すべての原発が止まる!と思います。自分に合った”楽”なやり方で、友人や家族と作りませんか?この指と~~まれ。
★5.メールマガジンの読者より
たんぽぽ舎 御中 上田一郎と申します。
佐賀県と経済産業省にFAXしました。
いま、ご存知のように福島の市民団体が県民を対象に山下俊一の「県放射能アドヴァイザー」解任の為の署名活動を行なっています。
つきまして、これを支えるために他県の者は同じように「山下俊一解任要望FAX」を県知事宛に送信する運動を行なっては如何でしょうか。
勿論、私は先ほどFAXしました。
田中龍作氏の下記のブログはご覧になりましたでしょうか。
http://tanakaryusaku.jp/2011/06/0002535<wlmailhtml:{655EB1BB-E756-4AD6-8176-0DA731BA65D2}mid://00000002/!x-usc:http://tanakaryusaku.jp/2011/06/0002535>
これが事実なら真剣に「学童疎開運動」を行う必要があるのではないでしょうか?合わせてご検討願います。 以上
★6.事務局からのおしらせ・3つ
イ、スペースたんぽぽの講演DVD完成
スペースたんぽぽで行われるいくつかの講座を「一週間位でDVDに作成する はやわざ」をしています(ビデオアクトの松原さんたちへ依頼)。
2つ完成しましたので必要な方は注文下さい(1000円送料込み)
1、6月21日の講演 2人 105分
今後の電気は足りている…講師 山崎久隆
ふつうの主婦が放射能を測定した…講師 横関彩子
2、6月23日の講演 2人 110分
住民の安全を守るため「測定」する
-食べ物汚染を調べる機械を自治体で-
講師 鈴木千津子、原田裕史(たんぽぽ舎)
ロ、7月5日(火)が延期して9日(土)へ変更になりました
槌田敦:山崎久隆 対談、「福島原発事故の全体像」
諸般の事情で、7月5日(火)が7月9日(土)に延期(変更)となりました。テーマ、時間は17:30開場、18:00~20:30、会場「スペースたんぽぽ」は変わりません。資料代1000円
ご参加のほどよろしくお願い致します。
ハ、サクラ調査報告集(8集)が完成
サクラと環境汚染、放射能汚染を調べた8年目の資料の原版が7月4日完成、7日に印刷もできます。
8日(金)には18:45~21:00まで
『桜の異変が知らせる原発放射能汚染』の講演が
大竹財団(東京駅八重洲口5分)で開かれます。
奥田智子(元東洋大)、柳田真(たんぽぽ舎)が話します。
参加歓迎です。参加費:500円 主催:大竹財団
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