白肇黄醒黒躍これ資本主義的近代・現代・近未来なりーー市場・計画・協議/白=黄=黒の〈三種節合経済〉への転形を目指すーー
- 2021年 9月 30日
- 評論・紹介・意見
- 岩田昌征
河村氏の「近代社会の構成の異なる5つの基本ロジック」は、まことに生産的である。
《以下9月25日開催・世界資本主義フォーラム/河村哲二報告【アメリカ資本主義の現状とパックス・アメリカーナの変質】におけるスライド》
★近代社会の構成の異なる5つの基本ロジック スライド107
(1) 市場・資本(ビジネス): 商品経済の基本ロジック=資本の論理➟Capitalism
(2) 権力・主権: 権力・主権の基本ロジック=軍事・支配の論理➟Nationalism
(3) 宗教: 超越神的基本ロジック=現世を超えたイデオロギー的世界認識の論理➟Religiousism
(4) コミュニティ: 共生の基本ロジック:共同態の論理➟Commune-ism
(5) 科学: 事象の客観的認識の基本ロジック:自然科学と技術、社会科学➟Science&Technology
➱近代資本主義社会・国民国家は、(1)が支配的ロジックとして、(2)~(4)を従属的に組み込んだ社会:「段階論」・現実資本主義の制度構造分析の基本
私=岩田は、5つの基本ロジックが相乗的に作用して、最初に近代資本主義産業社会を成立させた地域は、ヨーロッパ西北部と北米の白人・ヨーロッパ人であると言う自明の事実を指摘したい。黄人・アジア人も黒人・アフリカ人も殆どすべて、白人資本主義に服従し、自分達には近代産業・近代科学を担う能力が欠けていると思い込むほどに自信を失っていた。自分達は資本の産業的自己増殖運動の主体的人格化に本来不適なのか?!
そこにアジアの一角から日本という新興資本主義国が登場して、ロシアなる白人世界では後進的であるとは言え、まぎれもなく白人軍事大国に勝利した。この事実は、事実として、黄人・アジア人と黒人・アフリカ人の再生への大きな刺戟となった。
産業社会以前の歴史に、似た事例を見付けるとすれば、無敵モンゴル軍がシリアからエジプトへ侵攻しようとして、エジプトのマムルーク軍に敗北し、モンゴル帝国の無敗性神話に終止符がうたれ、中近東やヨーロッパの人々に自信を回復させることになった歴史的事件が想い浮かぶ。
今日の中国の党資本主義強国化は、この大日本帝国が切り開いた道を更に拡げ更に先へ進もうとしている面がある。かつて、J(日)はA(米)B(英)C(中)D(蘭)包囲網に直面した。今日、C(中)はA(米)A(豪)I(印)J(日)包囲網に悩む。CとAは太平洋と南シナ海で対峙する。
白人に続いて黄人が資本主義強国を創るのに成功した。この事実は、必ずや、黒人・アフリカ人に強烈な刺戟を与え、半世紀の視界で考えれば、アフリカ大陸に黒人資本主義諸強国が産業的にも軍事的にも科学的にも実力を発揮するに違いない。アフリカ資本主義諸国は、A(米)とE(欧)に対抗して、大西洋と地中海で対峙することになろう。
ところで、アフリカ大陸の印度洋側であるが、そこは近代資本主義が誕生する以前からアジアとアフリカの諸部族、諸都市、諸帝国が海上交易のネットワークを縦横に張りめぐらしていた地域である。そこに強力なモダン軍事力を備えた黒人国家が出現した場合、どのような国際的緊張が生じるのか、複雑すぎて何とも言えない。
四半世紀の視界で考えてみよう。それは、南米大陸における資本主義諸大国の形成である。彼等は、グローバライゼーションを大航海時代に切り開きながら、後発のアングロアメリカのように近代資本主義強国に脱皮出来ず、ヨーロッパ人・白人の世界では二級白人の地位に甘んじて来た。スペインとポルトガルの後継者達が南米において資本主義的軍事諸大国を築き上げた時、北米と南米の力関係は激変する。
第三次世界大戦は、旧大陸においては二度の大戦の惨劇を経験しているので、ぎりぎりの所で防止できよう。しかしながら、新大陸においては、19世紀の南北戦争のほかに、すさまじい激戦の経験はない。小戦争ばかりであった。従って、アメリカ合衆国と南米の軍事大国が紛争過程に入った場合、第三次世界大戦と呼べるような大戦争が新大陸で起こるかも知れない。アルゼンチンとイギリスのフォークランド戦争は、そんな大不孝の予徴だったかも知れない。白人世界における一級回復or一級保守の小競り合いだった。
そうなってしまった場合、今日益々深化して行く日本自衛隊と米軍の一体化が近未来にも続いているとすれば、日本はアジア諸国の中で唯一米軍と一緒になって南米諸国と交戦する不孝な国になってしまう。
令和3年9月27日(月)
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion11340:210930〕
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