「ストレステストだけではダメ―東海村村長が再稼働3条件語る 福島事故の収束、被災住民の救済と補償、安全規制体制の強化」など 地震と原発事故情報 その116
- 2011年 7月 12日
- 交流の広場
- たんぽぽ舎
4つの情報をお知らせします(7月11日)
★1.ストレステストだけではダメ―東海村村長が再稼働3条件語る
福島事故の収束、被災住民の救済と補償、安全規制体制の強化
★2.欧州以上に徹底せよ―ストレス試験に注文する
「初めから合格ありき」にならないように―毎日社説
★3.日本原電はベントをつけず、原子炉を止めよ
福井県西川一誠知事殿
皆さん県民の命・生活・健康を守ってください
★4.東電よ胸に響いたか?「子どもたちを守りたい、
という願いを聞き入れて!」
7月7日・七夕ゆかた東電要請行動
★1.ストレステストだけではダメ―東海村村長が再稼働3条件語る
福島事故の収束、被災住民の救済と補償、安全規制体制の強化
〇東電福島原発事故を考えるとき、過去の原子力事故がヒントになる。
1999年茨城県東海村臨界ヒバク事故(死者2名)がおきた。
定検後の原発の再稼働という現在の焦点について、東海村の村長が
臨界事故の教訓から具体的に3つの条件を語った。
7月9日の東京新聞の要部(抜粋)を参考までに紹介します。
〇東海第二原発や研究所、核燃料サイクル施設、燃料工場―。
茨城県東海村は、原子力に関するあらゆる施設がひしめいている。
なぜこれほど原子力施設が集まったのか。
収束しない福島第一原発の事故後、日本有数の「原子力村」の首長はどんな思い
でいるのか。東京都心からJR特急列車で北へ約一時間半。
日本の原子力発祥の地を歩いた。
〇東海村は東西、南北それぞれ八キロほど。
一時間もあれば車で一周できるこぢんまりとした街に、十二の原子力関連事業所
が集まっている。
東海村は三月の東日本大震災で震度6弱の大きな揺れに見舞われ、今も道路に
陥没が残る。原子力関連施設も大きな被害を受けた。東海第二原発は地震で自動
停止。外部電源が失われた上、非常用ディーゼル発電機も三台のうち一台は、
高さ五・四メートル津波の影響で止まった。このため冷却が十分に進まず、水温
が一〇〇度未満の冷温停止状態となるまで三日半もかかり、綱渡り状態だった。
〇同村の西側を走る国道6号沿いには、核燃料関連事業所などが集まっている。
住友金属鉱山の子会社ジェー・シー・オー(JCO)東海事業所もその一つ。
九九年、核燃料加工施設で作業中に核分裂が続く臨界事故を起こし、一万?二万
ミリシーベルトの放射線を浴びた作業員二人が亡くなった。
半径十キロ圏内の住民が屋内退避したが、それでも六百人以上が被ばくした。
「これだけ原発関連施設が集まっているのは政府の政策、国家の意思でしょう」。
東海村の村上達也村長(六八)は、同村の歩みを振り返る。
村の一般会計予算は二〇〇九年度で約二百億円。交付金は約十三億円。
それでも村上氏は福島第一原発の事故を目の当たりにした今、「脱原発」志向を
鮮明にする。
〇「もし東海村を十メートルの津波が襲っていたら(東海第二原発も)メルトダ
ウン(炉心溶融)し、ここに住んでいられなかった。紙一重だった。原発を持つ
ことで故郷が奪われ、子どもたちの将来にかかわるようなことが起きた。日本人
は脱原発を真剣に考えるべきだ」
〇原子力に関する村上氏の原体験は、一期目に直面したJCO事故。
政府や業界の危機に対する鈍感さや、技術過信に警鐘を鳴らしてきた。
「だが変わらなかった。逆に私の言動に異質の文化をかぎ、(推進派は)三期目、
四期目の村長選に対抗馬を立てた。違うことを言うとつぶそうとする世界で、私
は生きてきた」東海第二原発の運転再開にはどう臨むのか。
〇政府は再稼働に関して突然、原発のストレステスト(耐性評価)の実施を前提
にする方針を示したが、村上氏は「それだけでOKというわけにはいかない」と言
う。「技術的なこともさることながら、まず福島第一原発事故の収束だ」と強調
した上で、「避難している人々の将来見通しや、政府や電力業界による補償をど
うするかも明らかにする必要がある。安全規制体制の強化も不可欠。原子力安全
・保安院や原子力安全委員会を温存したまま『安全』と言われてもだめだ」と、
被災住民救済などを再稼働の前提にあげた。
★2.欧州以上に徹底せよ―ストレス試験に注文する
「初めから合格ありき」にならないように―毎日社説
○玄海原発の再開を突破口にして、「定検後の全原発の再開」をもくろんだ、原
発推進勢力の目的は、反対運動の高揚と九電のやらせメール事件(電力会社の変
わらぬ体質)で「一頓挫」した。今後の焦点の一つに原発耐性試験(ストレステス
ト)がある。これについて、毎日新聞の7月8日社説の要旨(ぬきがき)を参考ま
でに紹介します。
○原発耐性試験
政府は全国の原発施設に「ストレステスト(耐性試験)」を課すことを決めた。
本来、もっと早く実施すべき施策であり、ここに至った経過にも疑問は残るが、
各原発の安全性を評価する上で一歩前進だ。
東京電力福島第1原発の事故後、原子力安全・保安院は複数の応急措置を指示
してきた。しかし、各原発の脆弱性が総合的にどう克服されたかは示されていな
い。
テストの手法と実施計画は、原子力安全委員会の要請に基づき保安院が作成す
る。手法や項目はテストの信頼性の要だ。初めから「合格ありき」にならないよ
う、時間をかけて緻密に作ってほしい。テスト終了まで再稼働を見合わせるのは
当然だ。
○福島の事故を踏まえた原発のストレステストは、すでに欧州連合(EU)が6月
から実施している。地震や洪水、竜巻、豪雨といった自然災害に加え、航空機墜
落やテロ攻撃なども評価対象としている。
○日本では主に津波・地震を対象とするが、過酷事故は何が要因で起きるかわか
らない。事故の当事者である日本のテストがEUより手薄というのもおかしい。
中途半端なテストに終わらせず、欧州以上に徹底した試験を実施してほしい。
★3.日本原電はベントをつけず、原子炉を止めよ
福井県西川一誠知事殿 皆さん県民の命・生活・健康を守ってください
石垣敏夫(69歳元教員)
脱原発宣言・埼玉県市民連絡会所属
7月3日福井県にある、敦賀1号機には耐圧強化ベントがついていないことが
わかり、日本原子力発電(原電)は急きょ設置することになった。
これまで原電は「格納容器の圧力が上がって破損する確率は小さく優先度が低い
として見送ってきた。(7月4日福島民友新聞)
ベントを開けるということはフクシマ事故の再来で、大量の放射能・死の灰をま
き散らすことです。
これはフクシマ同様の事故を想定したことになります。
原電と政府はフクシマ事故から何を学んだのでしょうか。
事故が起こる可能性を考えるなら、ベントを設置することではなく、炉を止め廃
炉にすることです。
原発を止め再生可能エネルギーに転換することがフクシマからの教訓ではないで
しょうか。
フクシマではベントを開けた時点で廃炉が決定しました。
県民をはじめ子どもたちの将来を考え、脱原発に踏み切ることが今最も大切な時
です。
★4.東電よ胸に響いたか?「子どもたちを守りたい、という願いを
聞き入れて!」7月7日・七夕ゆかた東電要請行動
フリーライター鈴木博喜
わが子を、日本中の子どもたちをこれ以上、放射能に曝したくない─。都内在
住の母親たちが7日、JR新橋駅近くの東京電力本社前に浴衣姿で集まった。東
電に対し、原発事業から撤退し、子どもたちが安心して暮らせる社会にしてほし
いと要請。時には涙ながらに、子どもの命を守ろうと声を上げた。
1歳の男児を連れて参加した30代の女性は岩手県出身。「原発は地球を担保に
ギャンブルをしているようなもの。今まで私たちが無関心でいたためにこのよう
なことになってしまった。原発について勉強すればするほど無力感にさいなまれ
るが、何かしなければ…」と初めて行動を起こした。
別の母親は、3歳の娘を見ながら「この子が将来、ガンを患ったとしても、福
島原発の放射能が原因と証明することはできない。うやむやにされてしまうだろ
う。だからこそ、今できることはすべてやってあげたい」と想いを口にした。先
月行われた、20mSV基準撤回を求める文科省への要請行動にも参加した。「母親
として、声をあげることは当たり前だと思う。だって、子どもに対しての責任が
あるから」。
要請行動には独身の30代女性も参加した。「今まで世界が経験したことのない
事故で、私たちが実験台になっている。これから結婚したとして、出産して大丈
夫なのか分からない。子どもが無事でも孫に影響が出るかもしれない。誰もわか
らないんです」と不安を吐露した。
この日の行動を主催したのは、「いのちを守るお母さん全国ネットワーク」の
関東支部。事務局として奔走した横関彩子さんも3児の母親。震災直前に産まれ
た女の子を抱いて駆けつけた。
「こんな事故が起きているのに黙っていたら、この国は駄目になってしまう。
福島の人々は故郷や生活基盤を奪われている。二度と、そのような状況を作り出
してはいけない。大人には、子どもたちの未来を明るくする責任があるんです」。
全国から寄せられたメッセージも読み上げられ、福島県郡山市から都内に移住し
てきた一児の母親は「故郷を泣く泣く離れてきた。早く戻りたい。娘を澄んだ空
気、きれいな水に触れさせたい」との手紙を横関さんらに託した。「今日集まっ
た人数は少ないけれど、都内だけでなく全国各地でお母さんたちが声を上げてい
る。これからも行動は続けたい」と横関さんは話した。
このあと、東電本店へ要請書を手渡して行動は終了。
(紙面の都合で一部省略しています…事務局)
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