Flying Dogビールのラベル
- 2022年 7月 15日
- 評論・紹介・意見
- 藤澤豊
たまげるニュースや呆れるニュースには事欠かない。なかには、さすがにそれはないだろうと一言二言いいたくなるニュースもある。山口県阿武町の四六三〇万円の誤送金をカジノで使ってしまったというニュースにはあきれるが、菅義偉首相が二八二二日間におよぶ官房長官在任中に、一日三〇七万円、総額八六億八〇〇〇万円もの税金を使ったには開いた口が塞がらない。そんな大金、一体何に使ったのか?八六憶円ともなると、吉野家にするか松屋にするかと悩んでいる貧乏人には、どうやったら使えるのか想像もつかない。なんの調査もされず使い道が公表されることもない。納税者のひとりとして気になってしょうがない。それが使途不明金十二兆円とか十六兆円と言われると、もう両手両足の指を使っても数えきれない。どこにいくら使ったのか説明されたところでピンとこないと思う。憲法には主権在民なんて書いてあるらしいが、政府や自民党からは何の説明もない。これが日本という国の成熟度なのかと思うと、情けないというより恥ずかしい。何が自由民主党だ。血税の使用目的を公表しない自由で成り立つ民主主義?そんなものがあると思っているのは自民党の政治屋と利権屋とその取り巻き連中だけじゃないのか、この盗っ人どもがとどなりたくもなる。
もっとも、こんなザコな話でああだのこうだの言っているのなんか海外からみれば、なんだかんで穏やかにやってるじゃないかと羨望の念で観られているかもしれない、と蚤の糞ほどの安心感がでてくるから、これまた癪に障る。新型コロナウイルス感染の終息の目途がたたないかでウクライナ戦争が始まった。ロシアが黒海を支配していて、ウクライナの小麦もヒマワリ油も輸出できない。そのせいで中近東や東北アフリカをはじめとする発展途上国では少なく見積もっても百万人単位の人々が飢餓に直面している。インドは国内消費を優先して小麦の輸出を禁止したし、インドネシアはパーム油の輸出を禁止した。
オーストリアは干ばつと洪水と山火事でバタバタしているし、ヨーロッパではあちこちで洪水。アメリカ西部は干ばつと山火事で危機的状況。シベリアでは恒例の山火事の消化に当たるべき軍が、破壊と殺人にウクライナに送られて呻吟している。イギリスでは、食料油の高騰で一万五百軒はあるといわれているフィッシュアンドチップスの店の三分の一が閉店を余儀なくされるのではないかとニュースになっている。アフガニスタンもパキスタンもスリランカもアフリカの多く国でも相も変わらず問題だらけ。
新型コロナウイルスの感染を気にして外出をさけているなかで、こんなニュースばかり見ていると、どうしても暗くなってしまう。たまには笑いをさそうニュースの一つや二つあったっていいじゃないかと思っていたところにAPが笑いとばすしかないニュースを伝えてきた。日本にいては想像できない悪趣味で下品なビールのラベル、好き嫌いはあるが一瞥の価値はある。urlは下記の通り
「Judge: Regulators wrong to ban beer label that had naked man」
https://apnews.com/article/oddities-government-and-politics-lawsuits-9547ab96b26496f01502244242e6f14e
機械翻訳に任せたら、下記の翻訳がでてきた。
「裁判官 裸の男性が描かれたビールのラベルを禁止した規制当局の判断は間違っている」
「ノースカロライナの規制当局が、キャンプファイヤーの横に立つ裸の男のシルエットを描いたビールのラベルを拒否したのは間違いだったと、連邦判事は判決を下した」
「メリーランド州に本社を置くフライング・ドッグ・ブルワリーのオーナーは、ノースカロライナ州アルコール飲料管理委員会が同社の『フリージン・シーズン・ウィンターエール』のラベルを拒否したことにより、修正第一条の権利を侵害されたと主張していた。委員会は、このラベルは『悪趣味』であるとしたが、その後、ビールの販売を許可した。フライング・ドッグ社は、とにかく規制を撤廃させようと、訴訟を進めた」
「連邦地裁のTerrence W. Boyle判事は先週、この規制は曖昧かつ過剰であり、Flying Dogとその競合他社の言論の自由を侵害すると判断し、クラフトビールメーカーに有利な判決を下した。この判決により、ノースカロライナ州は現行の規制を撤廃することが義務づけられた」
「フライング・ドッグがラベルをめぐって裁判になったのは、今回が初めてではありません。2015年に連邦控訴裁判所が、ミシガン州でのレイジングビッチビールの販売禁止に関して、この醸造所を支持する判決を下した、とニュースメディアが報じている。この争いは2009年、理事会がこのラベルを “一般市民の健康、安全、福祉に有害である “と判断したことに端を発する。このラベルには、強調された顔立ち、むき出しの歯、血にまみれた舌を持つ雌の犬の絵が描かれていた」
「この2つのラベルは、「ゴンゾ」ジャーナリズムの創始者であるハンター・S・トンプソンと頻繁にコラボレーションしていたアーティスト、ラルフ・ステッドマンが制作したものである」
APのニュースには問題となったビールのラベルの写真が載っていない。百聞は一見に如かずと、早速GoogleでFlying Dog brewery labelと入力して検索したら下記がでてきた。
https://www.google.com/search?q=Flying-Dog-brewery-label&rlz=1C1QABZ_jaJP876JP876&oq=Flying-Dog-brewery-label&aqs=chrome..69i57j0i30.892j0j7&sourceid=chrome&ie=UTF-8
文章では伝わらないが、写真を見れば分かる。悪趣味というより下品、卑猥の見本といっても言い過ぎじゃない。裁判沙汰になるのもわかる。多くの国で公序良俗に反するとして使用禁止になるだろう。でも、それはビール、大人が飲むのもだし、悪趣味を面白がることぐらいで目くじら立てるな、もっと気にしなければならないことがあるだろうと言いたくなる。多少の卑猥さや悪趣味を許容する寛容な文化のないところから珍奇な、そして目を疑うような新しいものが生れてくるとは思えない。
キース・ヘリングの「Safe Sex」や「Radiant Baby」はOKで、「Raging Bitch」や「Freezin‘ Season」はダメという線引きを誰がし得るのか。
ホームベーカリーで焼いた減塩パンをほぼ毎日トーストしているが、何かいい塗るものはないかと探し続けている。内臓脂肪が気になるから、バターやマーガリンは避けたい。ヨーロッパやトルコのジャムを試したが、どうにも甘すぎて糖尿が心配になる。甘さ控えめのピーナッツバターも飽きがくる。ゴマジャムもあるが、どうにも気がすすまない。灯台下暗しとはよく言ったもので、あれこれ探して、なんのことはない広島産のアオハタのオレンジジャムを見つけた。甘いには甘いが、上品な大人の甘さがいい。オレンジジャムに飽きて、どんな種類のジャムまであるのかとGoogleで探していたら、なんと空き瓶が売っていた。
Googleで「空き瓶 アヲハタ」と入力して検索すればでてくる。
https://jp.mercari.com/search?keyword=%E7%A9%BA%E3%81%8D%E7%93%B6%20%E3%82%A2%E3%83%B2%E3%83%8F%E3%82%BF
ほとんどが期間限定品とかキャラクターものでもない、日常的に食するジャムのただの空き瓶。世の中いろいろな人がいる。Flying Dogのラベルがついた空き瓶、間違いなく需要があると思う。Flying Dogのビールを飲みたいわけじゃない。ただビン欲しさにどこかに売ってないかと探している。ご存知の方いらっしゃったら、お手数でもご一報いだだけないかと思っている。
2022/5/19
Private homepage “My commonsense” (http://mycommonsense.ninja-web.net/)にアップした拙稿に加筆、編集
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion12185:220715〕
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