SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】511 バイデンに<法の支配>、モロッコにも
- 2023年 1月 15日
- 評論・紹介・意見
- サハラ平田伊都子西サハラ
2023年1月12日、国連安保理で林外務大臣が議事進行する、<法の支配>の公開討論が行われました。 国連担当記者陣や世界のマスコミの反応を知りたかったのですが、日本とアメリカが仕組んだこのイベントに、ほとんど興味を示しませんでした。
アメリカは勿論、世界中がバイデン米大統領の機密文書事件とウクライナ疑惑でもちきりだからです。 13日、ホワイトハウスで日本の岸田文雄首相と会談の時も、バイデン大統領は記者団から機密文書について質問の砲火を浴びました。が、一言も答えず、そのままデラウェアの私邸へと逃げました.
① バイデン、お前もか?!:
トランプ前大統領の邸宅がFBIの奇襲家宅捜査に襲われ、大量の書類が押収され機密文書の有無が問われたとき、捜査を仕掛けたバイデン大統領は、「公人として、あるまじきことだ」と、痛烈にトランプを非難した。追い打ちをかけて、トランプを永久にアメリカの公職から追放する運動を示唆した。
ところが1月11日、そのバイデン自身に副大統領時代の機密文書持ち出し事実に加え、さらなる機密文書が見つかったと、NBC テレビが報じた。まさに、「バイデンお前もか!」だ。その前日、バイデンは私的な事務所から2022年11月に見つかったと報じられている機密文書について、記者団から問われた時、「文書が持ち出されていたことに驚いた」と、すっとぼけたばかりだった。1月12日、メリック・ガーランド司法長官は、バイデン大統領の機密文書を取り扱う特別検察官に、トランプ前政権で連邦検事を務めたロバート・ハー氏を任命した。副大統領の記録を含むホワイトハウスの記録は、政権が終了したら国立公文書館に引き渡すことを法で定められている。機密文書は<法の支配>下にある。
1月11日、CNNテレビは、機密文書は2013年から2016年にかけてのウクライナやイランなどに関するものだったと報じた。そして同日、米下院監視・説明責任委員会のジェームズ・コマー委員長(共和党ケンタッキー)が、バイデン大統領の次男ハンターが中国やウクライナの企業から多額の報酬を受け取っていた疑惑について調査を開始し、財務省へ書簡で、ハンターらの銀行取引に関する情報の提出を求めた。コマ―委員長は「責任を追及する時が来た。この調査は今議会の最優先課題だ」と強調し、共和党は、ハンターが副大統領時代の父バイデンと共謀した疑いがあるとして、徹底追及する方針だ。大統領弾劾も視野に入れている。まさに、<法の支配>を下そうとしている。
もし、<法の支配>がバイデンに下されて、バイデン御用となった時、ウクライナ戦争はどうなるのか? 戦争を仕掛けたバイデン、ゼレンスキー、そして参戦したヨーロッパの首脳たち、戦争を長期化させた国連事務総長、さらには戦費と戦後処理費を払わされる日本などなど、全て戦争犯罪人で汚職の共犯者になる。そして、日本の右や左の評論家先生たち、、こぞってバイデン・ゼレンスキーを善人に、プーチンを悪人にしたその責任を、どう取るつもりなのか?ご教示ください。
② <法の支配>とか<他国の領土を奪う権利はない>とかはバイデンが出所:
2014年に親欧米派デモ隊によって親露派・ヤヌコビッチ大統領が追放されると、プーチン大統領はクリミアをロシアに併合し、東部でも親露派が独立を宣言した。米紙「ニューヨーク・タイムズ」によると、当時のホワイトハウスは情勢の急変に大混乱したそうだ。反露派のバイデン副大統領は「モスクワに侵略の代償を血と金で支払わせる」と、強行策を主張し、ウクライナ軍に殺傷兵器、特に米国製の対戦車ミサイル「ジャベリン」を提供するよう提案した。しかし、オバマ大統領は拒否した。その頃、バイデンは自薦で、ウクライナ担当者になっていた。バイデンは2014年に3度ウクライナを訪問し、4月にはキーウのマイダン広場で、「いかなる国も他国の領土を奪う権利はない」と、ロシアへの非難演説をぶち上げた。
父バイデンがウクライナで政界工作をやっているのと並行して、息子ハンターは、2014年4月、ウクライナのエネルギー会社「ブリスマ」の役員に就任した。以来2019年に職を解かれるまで、最高月額5万ドル(約536万円)の報酬を得ていた。
ニューヨーク・ポストなどによると、2015年4月、プリスマ社の重役は当時のジョー・バイデン副大統領とワシントンで面会できたことに感謝するメールを、ハンターに送っている。ブリスマ社の重役はウクライナの裁判所で、「バイデンと息子のハンターに90万ドルの賄賂も送った」と自白した。バイデンは「息子と海外取引について話し合ったことはない」と、汚職事件を否定した。が、2015年12月 当時副大統領としてウクライナ政策を担当していたバイデンは、ウクライナ訪問に際して ウクライナの大統領と首相に対し、「米国からの10億ドルの借款の保証を停止する」と脅迫して、ブリスマ社の汚職事件を捜査していたウクライナの検察長官 ビクトル・ショーキンの罷免を強要している。ショーキンは解任された。
バイデンは、トランプ政権が誕生する4日前の2017年1月16日にも、6回目のウクライナ訪問をし、副大統領の特権をフルに利用するという、バイデン流政治工作を強行している
これまでニューヨーク・タイムズやニューヨーク・ポストなどが報じてきたバイデン父
子のウクライナ不祥事の数々は、ウクライナ救世主を自負するバイデン偶像が崩壊するのを恐れ、封印されていた。が、ここにきて、一挙に封印が破られた。共和党VS民主党という国内政治闘争のおかげだ。期せずして、<法の支配>を唱えるバイデン自身の首を絞めることになってきた。
③ 日本安保理理事国に期待するアルジェリア駐日大使やマチュー・リー記者:
2023年1月10日、ラルビ・カテイ駐日アルジェリア大使からSJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)に、メールが届いた。要訳すると、「西サハラ問題の報告書ありがとう。我々の願いは、国連安保理がこの紛争に注目するよう国際社会に働きかけ、政治解決策を責任を持って見つけてくれることだ。その解決策は、西サハラの人々が民族自決権を行使できるものであらねばならない。駐日アルジェリア大使」
かつて国連のアルジェリア代表部で要職を務めていた駐日アルジェリア大使は、日本の安保理理事国に期待している。
「AU加盟国のうち、10か国が間違いなく国連安保理改革に賛成している」と、ラマムラ・アルジェリア外務大臣はアルジェリアとAUアフリカ連合の立場を表明し、「交渉を重ねて、アフリカ大陸から2か国の安保理常任理事国を出したい」と、具体案を述べた。
西サハラ問題に関して、アメリカ人のマチュー・リー国連記者も日本の国連安保理理事国を歓迎している。マチュー・リーは2018年に、西サハラ寄りだとしてモロッコ国連大使から力ずくで国連ビルから、追い出された。国連記者ブースにあったマチュー・リーのコーナーは閉鎖され、荷物は段ボールに詰め込まれ裏口に捨てられた。マチュー・リ―記者は、<法の支配>を声高に叫ぶ日本に、大いに期待している。
そのマチュー・リからも、メールが届いた。「国連安保理に日本が参加し、今月は議長国でもある。日本国連代表部に、西サハラに対する日本の立場を書簡で問い質した。彼らは間違いなく僕の質問状を受け取っている。
が、返事はない」と、マチューは苦言を呈している。マチューの質問状は、「平和的解決は、両当事者の相互信頼に基づいた対話と交渉によってのみ可能だと、日本国連大使が述べている。これからの2年間、日本は行き詰っている西サハラとパレスチナに関して、どのような具体策をもっているのか? また、中東和平工作に関して、どんな展望があるのか?」と、いうものだ。
アメリカ人のマチュー記者は、日本の外交政策を知るには、アメリカに聞いたほうが早いということをよく知っている。
さて、2023年1月13日から、アルジェリア砂漠の奥深くにある西サハラ難民キャンプで、民主的に真摯に、第16回西サハラ・ポリサリオ戦線会議が開かれています。 西サハラ難民の代表、モロッコ占領地・西サハラから占領当局監視の目をぬって脱出してきた西サハラ被占領民などが、1月17日まで<占領を追放し、主権を完全に掌握する戦略>をテーマに討論する予定です。 結論が出るまで予定に関係なく討論が続けられます。
一方、西サハラを占領するモロッコでは、2022年カタール・ワールドカップで4位を勝ち取った興奮が年を明けた今も続き、その勢いにのって、力づくで西サハラをモロッコ領土にしてしまおうと、画策中です。
ぜひぜひ、<法の支配>をモロッコにも適用されることを、日本の国連安保理理事に願ってやみません、
2023年1月13日から17日まで、約3,000人の西サハラ難民と被占領民が
一堂に会して、第16回民族会議を開催中
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2023年1月15日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
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