SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】560 「これは植民地戦争だ」ラシド歴史学者
- 2023年 12月 23日
- 時代をみる
- イスラエルガザ国連平田伊都子植民地西サハラ
パレスチナはイスラエルの植民地です。 西サハラはモロッコの植民地です。
両地域の住民は、国連憲章と国連決議が保障する<自決権>に護られて、独立を目指し、植民地支配国と長い闘争を続けてきました。 ただ、あまりにも事件や災害や伝染病が多すぎて、両地域の占領下という不幸を国際社会は忘れつつありました。 それが突然、2023年10月7日に起こされたガザ戦争で、いっきに世界の耳目を集めるようになりました。
遠く離れた日本も、渦中にあります。 ガザの大悲劇に幕を下ろしましょう! イスラエルとアメリカの大虐殺を止めましょう!!
① ローマ法王がイスラエル兵の狙撃をテロと非難:
バチカン・ニュースによると、教皇フランシスコは、12月17日、87歳の誕生日を迎えられたそうだ。教皇は例年のようにバチカン市国内にある、サンタ・マルタ配給・診療所で援助を受けている児童たちと、<ハッピーバースデートゥユー>のコーラスが響く中、大きなケーキとサーカス団のパフォーマンスを楽しんだ。(ガザの子供たちにも残してネ)
12月17日の日曜ミサで教皇は、前日16日、パレスチナ・ガザ地区のカトリック教会、聖家族教会で2人の女性が射殺されたことに深い悲しみを表した。祈りの集いの後半、教皇は、「ガザから届くニュースは、非常に深刻で痛ましいものです。非武装の市民が爆撃や銃撃の標的になっています。それは聖家族小教区の敷地内という、テロリストではなく、家族や子どもたち、病者や障害者、修道女たちがいる場所でさえも起きました。狙撃兵によって、母と娘、ナヒダ・カリル・アントンさんと、娘のサマル・カマル・アントンさんが殺害され、他の人々は負傷しました。彼らは手洗いに行く途中でした。マザー・テレサの会の修道院では、発電機が破壊され、修道院は被害を受けました。<これがテロリズムだ。これが戦争なのだ>という人がいるかもしれません。そうです。これが戦争です。テロリズムです。だからこそ、聖書はこう強調するのです。<神は戦いを絶ち…弓を砕き、槍を折られる>(参照 詩編46,9)。平和のために主に祈りましょう」と、世界各地で紛争に苦しむ人々を忘れないようにと呼びかけた。
CNNは、「がざ市にあるキリスト教カトリック教会、聖家族教会の小教区内で16日、母娘とされる女性2人がイスラエル国防軍(IDF)の狙撃兵に射殺された。2人の女性は徒歩で小教区内の修道院へ向かっていた」と、報じた。
2023年12月16日、イスラエル兵の狙撃で殺されたガザのキリスト教徒母娘
左にサマル・アントン(娘)、右にナヒダ・アントン(母)(出展バチカン・ニュース)
② アメリカの<即時停戦妨害>は悪魔のXmas プレゼント:
「目を閉じて、イエス様にお願いしたいことを考えましょう」と、ローマ法王は12月17日の日曜ミサで提案した。ガザの人々の願いは、<即時停戦>だ。イスラエルとアメリカを除く世界の人々の願いも<即時停戦>だ。そんな世界の願い<即時停戦>の修正案が、12月21日の国連安保理に4度めの提案として挑戦した。当初18日に採決にかける計画だったが、文言調整が難航。イスラエルを擁護するアメリカは文言に難癖をつけ、ズルズルと採決の延期を繰り返し求め、イスラエルのガザ爆撃期間を引き延ばしてきた。イスラエルは採決延期を利用しガザの市民を殺し続け、230万人ガザ市民の約1%以上を虐殺した。 安保理は21日、複数回にわたり非公開会合を開催。米国が難色を示していた「敵対行為の停止」や国連による物資検査に関し、表現を弱めた修正案が配布されたが、アメリカに対してロシアや他の理事国が強く反発し、交渉にはさらに時間が必要と判断され、採決は延期された。延期はイスラエルとアメリカの爆撃続行作戦にすぎない。そして、22日に採択された国連安保理決議には停戦が明記されていなかった。
アルジャジーラは、73日間の爆撃で、ガザでは20,000人以上の市民が殺害され、うち8,000人は子供で6,200人が女性、93人以上のジャーナリストが殺されたと、報告した。最近の国連定例記者会見では、数字に関して国連独自の調査ではなく、アルジャジーラの報道を引用している。
イスラエルを擁護するアメリカは、またしても世界の願いを踏み潰した。クリスマスで忙しいイエス様には願いが届かなかったのだろうか?
③ 「これは植民地戦争だ」アメリカ・コロンビア大学歴史学者:
「This is a Colonial War(これは植民地戦争だ)」と、アメリカのコロンビア大学教授で歴史学者のラシド・ハリド博士がイスラエル・ガザ戦争を、デモクラシー・ナオをはじめとする複数のアメリカ・メデイアで分析している。そのうえで、博士は「ハマスをテロリストと決めつけて、テロ撲滅作戦とガザ戦争を合法化し国際社会の即時停戦要求を無視して爆撃を続け、ガザ市民を殺し続けるイスラエル軍事政権は、まさに横暴な植民地支配そのものだ。植民地支配と戦うハマスは、南アフリカ人種隔離撤廃闘争ANC(アフリカ民族会議)やアルジェリア独立運動のFLN(民族解放戦線)に匹敵する」と、主張している。
アフリカ最後の植民地・西サハラの人々も、パレスチナの人々がイスラエル植民地支配者と戦っているように、モロッコ植民地支配者と半世紀にわたって闘い続けている。そして、西サハラはパレスチナと同様に、国連総会決議や国連安保理決議や国際法が保障する民族自決権を奪還しようと、奮闘している。
12月14日は、国連総会が西サハラを未確定地域(植民地)と指定した、植民地独立付与宣言発令(1960年12月14日)の記念日だ。国連総会第4委員会は2023年12月16日、新ためて西サハラを植民地と指定した。この日、西サハラ独立運動を指導するポリサリオ戦線は、西サハラの脱植民地化を目指す誓いも新たに、以下の声明(要約)を出した。
「西サハラ全人民を代表するポリサリオ戦線は、植民地独立付与宣言が国連総会決議1514に基づいて発令され63年にもなるのを特筆したい。63年前、西サハラは国連総会で<脱植民地化を要する地域>に指定されたにも拘わらず、国連は未だに脱植民地化行動を起こさず、それどころか、2020年11月13日に国連停戦合意を破って侵攻したモロッコに、以来、モロッコ占領地西サハラの被占領民を迫害を許している。63回国連総会決議1514の記念日に当たり、西サハラのポリサリオ戦線指導部は国連に<即時行動>を促したい」
西サハラのポリサリオ戦線は、南アフリカの人種隔離撤廃闘争を指導したANC (アフリカ民族会議)や、アルジェリアの独立を導いたFLN (民族解放戦線) に、匹敵する。
一方、「パレスチナの脱植民地化」の著者で、ベツレヘムに住むReverendミトリトリ・ラへブ、ダ―ル・エルハリマ大学学長は、「クリスマスの物語は、期せずして、今や、パレスチナの物語になった、、イスラエルの空爆に次ぐ空爆で、ガザの妊婦には安心して出産できる場所がない」と、デモクラシ―・ナオのニュース番組で語った。むかしむかし、ベツレヘムの家畜小屋の中で処女マリアからイエスキリストがお生まれになったそうです。
イスラエル占領下にあるキリスト教聖都ベツレヘム市は、ガザで殺された2万人以上のパレスチナ人を追悼するため、伝統的なクリスマス祭事を一切取りやめる」と発表しました。ベツレヘムの教会では、飼い葉桶の代わりに瓦礫の寝床を作り、イエスの代わりにパレスチナの旗を巻いて祈る赤ん坊の人形をあしらった飾り物を創りました。
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2023年12月23日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔eye5172:231223〕
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