経産省前脱原発テント座り込み日誌2月1日版
- 2024年 2月 5日
- 時代をみる
- 木村 雅英
経産省前テントひろば、脱原発テント設置日(2011年9月11日)から1807日目(2016年8月21日)にテント強制撤去。2024年2月1日は、座り込み4,527日目。これは、マハトマ・ガンディー「非暴力、不服従」の実践です。
◎ 原発裁判はいろいろあるが、最近は判決も多い 1月26日(金)
今日は良く晴れていて、日差しはある。しかし、風が強く、バナーを沢山付けようとしても、風で飛ばされてしまいそうである。風さえなければ過ごしやすいのだが、冬の厳しい寒さである。
トイレに行った帰りに、テントの旗の近くに見慣れない真っ赤なコートを着た女性が立っていた。近づいて良く見ると、夕方の抗議集会で、ギターで歌ってくれるMさんだった。「今日は原発裁判の判決日だったので、その傍聴に来た」とのこと。しかし「その判決たるや、国の責任を一切問わない酷いものだった」そうだ。裁判所と国に対する怒りで一杯であった。
そのうち、ギターを取り出して、歌を歌い出した。Mさんは、午後2時頃、官邸前に出掛けて行った。辺野古埋め立て工事に対する怒りの抗議集会があるそうだ。みんな、怒りをぶつける行動に参加して行く。また、夕方の戻ってくるとの事だった。そのうちにEさんもやって来て、寒い中だけど、頑張って座りこむ。私は病み上がりなので、少し早めだか、後半のK.Mさんが到着の時点で失礼した。帰りに際に、Tさんに呼び止められ、もう少ししたら、石川の被災地に出掛けようと誘われた。私に出来ることがあれば喜んでやりたい。そのためには資金を集める事と、人を集めることだ。頑張るぞ。(S・S)
◎直ちに原発を止め「新規制基準」と「原子力災害対策指針」を作り直せ 1月26日(金)
コロナ回復の城田さんや大間原発集会の会場確保を喜ぶイロハの人たちと雑談。太陽がビルの陰に隠れて寒さに耐えながらの座込みのあと、遠く文科省前から聞こえる田中宏さんの戦後歴史のお話が終わる頃に経産省抗議行動を開始。
脱原発・再稼働反対・運転延長反対・核ゴミ増やすな・命を守れ・地球を守れ・未来を守れ・…コール。橘さんが、「あらかぶ裁判」で、竹中工務店を追求、福島からの避難者が東京都に訴えられている裁判を紹介。木村(K.M)から、志賀原発・珠洲原発建設・地震耐震基準・災害対策指針の問題を訴え「大地震は、いつ、どこで、どの規模で発生するか予知できません。一刻も早く原発全廃を!」(老朽原発うごかすな!実行委員会)を配付し、原発を直ちに止めろと訴える。同時に、今も毎日続くガザ虐殺を世界が止められない状況を嘆き、前日の新宿アルタ前行動を報告、この日夜9時の国際司法裁判所(ICJ)の仮処分報道予定を紹介。
永野さんが、神奈川避難者訴訟での高裁判決の報告、残念ながら国の責任を認めず賠償額は少し増額、全国約30で1万人が訴え、権力に屈服する最高裁、裁判と反対運動と一緒になって共に闘おう。山口さんが、一昨年の最高裁判決のコピーと同様の判決、能登半島地震が示した珠洲原発があったら志賀が動いていたら大変な事態、その危険に何らコメントしない経産省に抗議。堀江さんが、能登半島地震の原発への影響を経産省が考えろ、入管法の改悪に抗議する集会・デモが明日澁谷で開催、ウクライナ戦争のロシア攻勢・中国の軍拡と覇権拡大を憂い、憲法九条を訴える。
火炎瓶鉄さんが、国会開会の中、GX推進法を廃止しよう、廃炉費用8兆円超え、青天井の原発関係予算を訴え、経済産業破壊省・原子力亡者恥を知れ・どの面下げての原発推進・能登半島の地震を見たか、もういい加減に目を覚ませ、原子力は滅びの道だ・脱原発・核廃絶、…のコール。守屋真実さんが、裁判に参加し悔しい思い伝え「座り込め、ここへ」と能登と福島の人たちを想い「ああ、福島」を歌う。
白倉さんが、能登で被災した人たちに思いを寄せ、被害を拡げない政治を求め、全く信頼できない政治改革を憂う。日本列島に原発を動かせる地域はどこにもない、稼動に反対している東海第二も地震に弱い、福島原発の電気を使っていた東京都民が東海第二や柏崎刈羽の再稼働に反対していかねばならない、避難者訴訟裁判の話があったが東電の代理人を務めた人が裁判長に任命され、世界で核戦争が心配される時に原発再稼働はありえない。私たち一人ひとりが問われている、12年間、私たちは訴えている、ここを通る方々や経産省の方々よ、自分たちで考えよう。
奥内さんが、能登に原発が動いていたら大変だった、もっともっと早く救助ができないのか、疎開がなぜ必要なのかと訴え、青田恵子さんのお便りを紹介、総てを奪い取る原発事故、日本のどこでも起こり得る、大きな地震で原発が何もなかったなんて誰が信じますか?
永野さんから、地震で屋根だけ残った家と被災者支援とともに、東海第二原発は事故が起これば放射能が5時間で首都圏に到達する、防潮堤建設で基礎工事に手抜きがあったのに、この欠陥工事を原子力規制委員会が追求しない。総ての原発を止め、「新規制基準」と「原子力災害対策指針」を作り直さないといけないと書いた経産省への抗議・申入書は、2週間前に投函したが、届かず、やむなく昨日FAX送信した、請願扱いを確認中。山本さんから、3月11日(月)の行動を14時から16時を予定、準備中を連絡。最後に、脱原発、NONUKES、ガザ虐殺止めろ、武器を輸出するな、NOWAR、辺野古基地建設反対、普天間を直ちに閉鎖しろ、NOBASE、…とコールして終了。片付けをお願いして首相官邸前の「原発いらない金曜行動」に向かう。(K.M)
◎ 饒舌だが何も言わない首相だよね 1月27日 (土)
・何度も聞いた「私が先頭に立って」
それがどうした風呂屋の番台。
・この国って何なのさ
新聞のテレビ欄を見て気づいた。自民党裏金関連が8回、能登半島地震が10回、大谷翔平が11回だった。(O・O)
◎ 大勢のすすめ、どうしたのかな 1月29日(月)
きょうも朝から快晴で、経産省前は風が弱く、そのうえ、太陽光が差して暖かく、何の苦労することもなく、座り込み準備を終えることができた。午後2時過ぎから風が出てきて、バナーが宙に舞い始めたので、下の方を紐で緩やかに固定した。そのすぐ後にSさん、Hさんが座り込みに来てくれた。
すぐそばにある千両の樹には、珍しく大勢のスズメがさえずっていた。下に降りてきた時に数えたら19羽だった。昨日も来ていたSさんによると昨日も沢山のスズメが来ていたそうだ。これまで余り見なかった。寒いので、どこかに避難しているのであろうと思っていた。きょうは暖かくてスズメにとっても過ごし易いのであろう。
午後2時半頃、Ok姉妹が来てくれた。「きょうは何があったんですか?」と聞いたら「経済安保版秘密保護法に反対を!」という院内集会に参加して来たと言って、皆にチラシを配ってくれた。これについては、私も今年に入ってから練馬の市民集会で防衛省軍事予算と一緒に学習したばかりである。
経済安保版秘密保護法も、アメリカの中国封じ込め政策に同調したもので、当初、経済界は反対していた代物である。何故なら貿易量ではアメリカを抜いて、中国が1位の日本にとって、色々な理由を付けられて、取引が減るのは、利益の減少になるからである。これまで、米欧日の先進国の技術を吸収して、アメリカに継ぐ世界第二位の経済大国になった中国の経済発展を抑えるには、米欧日との貿易を制限すればいいんだと思って、アメリカは、中国封じ込め政策をやってきたが、手遅れであることが証明されてしまった。最新の中国製スマホを分解して見たら米欧日に劣らない技術で作られていた事が分かったとマスコミで報じられていた。
グローバル化の時代になって数十年もなるのに、今更、封じ込め政策など反動以外の何物でもない!
中国のあとからインドが追いかけてきている。21世紀は人口・資源・市場に恵まれたアジアの時代である。アメリカの時代ではないのである。日本もアメリカの後にくっついているだけでは、益々追い抜いて行かれるだけである。中国封じ込め政策をやめて、アジアの国々と一緒に歩んでいくべきである。先日も、経済界は中国首相に会って歓談してきている。一番よく分かっているのであるから、岸田支持を止めて、他の政治家を新しい首相にすべきである。(保)
◎ 施政方針演説、だんだんと中身がなくなってきた 1月30日(火)
午前中に「テントひろばニュース」282号を印刷し、事務所から椅子やテーブルなどを運び出して、午前11時30分過ぎに、正門前で旗、幟などのセットを始めた。Yさんの都合が付かないまま、一人で12時過ぎまで掛かった。終わったところに、近所のBさんが、以前にお貸しした「デフ・ヴォイス」を持ってきて「紙の爆弾」2冊をくれたうえで、アメリカ国籍のパレスチナ人であるラシード・ハーリディー著「パレスチナ戦争:入植者植民地主義と抵抗の百年史 (サピエンティア71)」(原著は2020年)が、日本でも昨年末に出版されたことを教えてくれた。
午後1時少し前には、2時から東京地裁での裁判を傍聴するというYさんが立ち寄って、傍聴帰りにも訴訟内容を話に来てくれたようだ。経産省の木立は全て葉っぱを切り落とされ、風は時々吹くが、快晴の下で、午後2時近くまで読書で過ごす。後半担当のAさん、Iさんが登場したので、事務所に戻って印刷物の片付けをして帰宅する。
この日、午後から第213回国会における岸田首相の演説が行われたというので、翌朝、ネット上で演説全文(11798字)検索して岸田の「原子力」と「核」政策を見た。
「原子力」については、「4.経済」でGX(グリーン・トランスフォーメーション)に関連して、「原子力発電についても、脱炭素と安定供給に向けた有効な手段の一つとして、安全最優先で、引き続き活用を進め」るとする、1か所のみ。「核」については、「7.外交・安全保障」で安全・安心、福島復興に関連して、「ALPS(多核種除去設備)処理水放出を受けた中国等による日本産水産物の輸入停止」を非難し、同じく「拉致問題」、「核兵器のない世界」に関連して「(北朝鮮の)核・ミサイル開発」、「(ロシアの)核兵器」、「核軍縮」、「核兵器のない世界」などとあわせて8か所で言及しているが、核軍縮、核兵器のない世界を実現できない理由がいずれも北朝鮮、ロシアを口実としているように見える。そこに「内閣総理大臣の施政方針」といえるような、「原子力」、「核」政策についての言及はなかった。(EO)
◎ テントひろばが賑やかなのは、うれしいね 1月31日(水)
暖かい日で、セッティングもやり易い。バナーはすっきりと張れて気分は良い。今日は、福島の鴨下さんたちの第10回「避難住宅追い出し訴訟」日で、鴨下さんご夫妻が裁判所に行く途中で挨拶をして下さった。Oさんたちは、今日は規制庁抗議には参加せず、避難者追い出し裁判に行くと寄った。
午前中は、参院議員会館で行われたFOEJapanがやった「どこへ行く、原発輸出?」に参加したそうだ。遅番当番のWさんも早く来て、傍聴に行ったが、「満員だった」と戻ってきた。原子力規制庁闘争を毎週水曜日にやっている木村さんが回ってきて、「今日はみんなが他の集会や裁判に参加するので少なかった」と言っていた。
他に、「天皇代替わり・即位の礼や大嘗祭への国費支出は憲法違反」の国倍裁判(原告317名)の地裁判決があった。訴えを棄却した。原告の一人の「反天連」の天野さんが通り、挨拶。裁判が終ってから、Tさん、サンチャのWさんが来た。遅番当番のYさんと常連のAnさんと揃った。Anさんは映画『カムイのうた』(アイヌ文化伝承者、知里幸恵さんモデル)の招待券を持っていて、行ける人に配る。私は月曜日に観た。テントひろばが賑やかなのはうれしい。(I・T)
◎ 裏金って言葉を与党の政治家は嫌うが、裏金だろ 2月1日(木)
Inさん、Yoさんと3人で設営作業。今日もけっこう風が強い。「ひまわり娘のバナーは無理かな」と思ったが、いつもと取付け方を変えて右側を街路樹に括り付けたら、何とか取付けができた。設営が終わった頃、地裁での裏金問題告訴状提出行動に参加してきたというShiさん夫妻が立ち寄った。続いて、やはり同じ行動に参加してきたOkさん妹が参加。
Yoさんは、私が『季節』用に書いた311子ども甲状腺がん裁判報告の原稿を校正してくれた。12:55 Shimさんが参加。14:00 雪駄を履いた男性が自転車で立ち寄り、カンパをしてくださった。私は「フクシマを忘れない!」のプラカードを持って経産省の周りを3周した。14:20 Tachiさんが参加、最新の『あらかぶさん通信』をくださった。14:30 Suさんが参加。「来る途中、電車に忘れ物をしてしまった」という。先週の車のバッテリーの件に続き、トラブル続きだ。しかし、原発のトラブルに比べれば、命に係わるようなことはないので、不幸中の幸いと言ったら、ご本人に失礼だろうか。その後、新たに加わる人もなく、Suさんと二人で寒さに耐え、時間になり撤収して4527日目の抗議行動を終えた。(M.U)
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本当のことを語れないのか 哀れな自民党の政治家達の所業
裏金って言うな。裏金という言葉に安倍派の政治家や自民党の面々は神経をとがらせている。裏金問題が露呈した自民党議員たちの対応である。僕は放射能汚染水を処理水と言いつくろった政府の対応を想起した。こういう言葉のいいかえに「またか」という思いがした。言葉を言い換えることで事実を隠し、その意味を曖昧にすること、これを政治的にいえば、これは日本の政治の根本をなしているのだと思う。権力が批判をごまかす手法でもあるのだが、このありように、本当に嫌な感じがする。
裏金と言わずになんというのだ。正当な政治資金の獲得だったといいたいのか。今度の裏金つくりに舞台となった安倍派のみならす、自民党の面々は、こうした金つくりを悪いことだとは思っていないのだろう。たまたま、記載ミスがあったぐらいしか思っていないのではないか。けれども、どこか、やましいことと思っているのだろうとも思う。僕は、かつてロッキード事件で金の問題を堂々と語ろうとした田中角栄のことを想起するのだが、今の自民党の政治家には、そんな度胸もないのか。必要悪でも何でもいい。この裏金取得を堂々と語ってみたらどうだ。自分たちの政治活動の中で、金の問題をめぐって感じている問題、あるいは矛盾として意識していることを語ってみたらどうだ。今の政治家たちに、そんな度胸も見識もないのだろうが、政治的な誠実さがない。派閥のせいや、死者のせいにし、また会計責任者のせいにして、逃げを打つ政治家たちに、僕は、怒りというよりは哀れみを感じる。
今回の事件に連座し訴追され、議員辞職願をだした谷川弥一「私は力をつけたかった。長崎県が抱えた課題を処理していきたかった。そんなら大臣並みの金を集めてやろうと思いました」と弁明した、とある新聞では伝えていた。正直な感想だろうと思う。責任追及されることから逃げるのに必死で、党内の政治工作という暗闘をやっている安倍派幹部の5人衆や、その背後にいる政治家たちより、よっぽど、潔い(いさぎよい)と思う。安倍派幹部の政治家たちは責任逃れで必至だが、彼らに投げかけられている政治的な不信は、そんなことで免れることはない。この政治家たちはこの問題に答えなければ政治的な「死にたい」になっていくのだ。そういう恐ろしさが、ここにあることが分かっていない。
今回の裏金つくりの捜査に乗り出した検察は、安倍晋三の検察への介入に対する反発があるのだろうと推察する。検察は告発を取り上げた形で捜査をやったのだろうが、ここには、安倍の検察への介入という行為に対する反発があったのだ。あるいは、安倍はこうした事態を見込んで検察の人事を掌握したかったのかもしれない。いずれにしても、安倍政治が権力の内部からも反発を喚起する呈のものだったことがわかる。政治の中の金の問題は、いつも不法状態にあって、それを摘発するのは検察である。この検察の動きには国策捜査も含め、この不法状態を問題化するときには権力の動きがある。権力の座にあるものが、自己の政敵を葬るために、これを使うことがある。ときには権力の座にあるものへの、権力内部(官僚)から批判として使われることもある。今回は、検察(検察に代表される官僚)からの安倍政治に対する反発があったのだと推察される。検察は、この事件で安倍派の批判を徹底的にやろうとしたのではなく、反発程度だったのだから、安倍5人衆の立件なんてやる気はなかったのだし、記載ミスの問題に矮小化してことを収拾した。ことがこれだけ大きな問題になることを検察は考えてはいなかったのだろう。
だが、というか安倍派の裏金つくりの摘発は、検察の思惑を超えて、おおきな問題なっている。当然のことだ。権力側の反発からであれ、この問題の摘発が現在の政治の矛盾の指摘だからだ。裏金づくりは、日本の保守政治が伝統としてやってきたことであり、手法は変わってきたが、裏政治としても存続してきたものだ。政治力とは金つくり(政治資金集め能力)であることは続いてきたことである。かつて石原慎太郎が総理になれなかったのは政治資金を集める力がなかったからだといわれるが、そういう事態は続いてきた。
今回の事件は、いつも不法状態にある保守政党(自民党)の政治資金づくりの一角を、とりわけ安倍派の政治資金パーテイーを舞台とする政治資金作りの活動を明るみに出したことなのだが、このことは、自民党政治における政治資金の集めの闇の部分、裏の部分を明るみにしたということだ。
政治資金の獲得、要するに金づくりは、政治的には許されていることだが、裏金つくりは、不法で道義的に許されないことである。裏金つくりは、資金つくりの根の部分にあり、地下(闇)化して存続してきた。もちろん、これには政治資金の使い方がある。政治における金の問題は、政治資金の収得と支出がセットになっている。今回の事件では、この裏金の使い方は追及されていないが、僕らはそれもやるべきだと思う。政治活動費の使われ方も含めてである。
ここには一般に「政治には金が必要だ」ということがある。その根本には政治活動は経済的にみれば消費活動であり、生産活動ではないということがある。政治活動では議員になれば職業的な報酬をうけるが、それになるための過程を考えれば、これよりも多くの金を必要とする。ここで大事なことは、この場合の必要な金がどのような金かということである。政治活動ということを詳細に見なければならない。大きく分ければ選挙という政治活動と政策や理念を実現する政治活動に分けられるだろう。「政治に金が必要だ」というが、それがどうして「政治に裏金が必要だ」となるのか。どういう金が必要か明瞭にすれば、「政治に裏金が必要だ」と、はっきりする。裏金の不当性もはっきりする。
保守政治にあっては、特に選挙にかかるということがある。その場合には選挙によって議員(代表者)に選ばれるということと政党の内部で選挙ということがある。自民党の総裁選挙である。この場合に選挙で金が力になるということがある。一般の選挙という場合には票(人々の意思)を金で買う(買収)から、それも含めた基盤づくりの金が必要ということだ。
「自民党の総裁選で金が動いた」ということはよく知られたことである。これは総裁選挙に派閥が動き、派閥が金の温床になるということもあり、その派閥が閣僚などの人事権と関係するともいわれる。「政治に金が必要だ」という場合には、「選挙で金がかかる」ということを意味する。戦前の日本における政党政治では「保守政治では金がかかる」ということがあった。それは選挙においては票を買う金力とか、票を獲得するための基盤づくりの活動の金を意味する。かつて日本における選挙の問題で保守党が強く、体制を維持してきたことには、金の力が根の部分をなしてきた。僕らは、そのことを子供のころから選挙で見てきた。経験的に知ってきたこの推察は間違ってはいないと思う。買収などの票を金で買う行為は不法であり、それに連なるような政治行為は禁じられてはきたが、こういう行為は闇の政治、裏政治化しながら存続してきたのである。闇の政治のために必要なのが裏金である。言うまでもないことだが、保守政治をこの面でのみ評価するのではない。保守政治には、保守政治なりの理念と政策があり、それが政治的力をなしてきたことを評価しないのではない。(例えば田中角栄の評価)。ただ、下半身というか、そちらでは金力=政治力ということが続いてきたのだと思う。
「そんなことはない、政治家は理念や政策、いうならオルタナティブな構想力によって選択され、閣僚などもその力で選ばれるのだ」と思われている。それは近代政治、民主主義の建前であるが、実体では、そうはなっていないのであり、政治における金の力は闇の部分(裏の部分)に転化してきたが、これは存続しているのだと思う。日本の政治の矛盾であるが、それは続いてきたのだと思う。
先のところで紹介した谷川弥一の「金を集めてやろうと思っていた」というのは、政治における金の力が続いていることを暗示している。なるほど、保守政治の中で、金が力であり、政治的選択において、かつてのように露骨ではなくなってきているとはいえる。しかし、これは解消されたのではなく、闇(裏)化してあるのだ。安倍の政治的力に政治資金の伝統的な獲得能力と使い方があったことを僕らは知っている。
今回の問題は、政治資金の取得方法が問題で、そこでの政治資金規制法に反する記載ミスということが摘発されているのだが、僕らは裏金を作るという自民党の政治活動が、法的に政治道義的に批判されなければならないと思う。この根本には、「政治的代表や閣僚が、政治的理念や政策、あるいは見識、オルタナィブな構想力で選ばれる」というような政治の登場が希求される。政治が変わるということの最低限のことであるいえる。歴史的にみれば、戦後の反体制運動や反権力運動は、政治権力や体制を批判し、暴走を抑制するという意味での役割を果たしたが、好ましい政治に替えるという意味では、敗退してきたと思う。政権交代した民主党のこともふくめてだ。
民主主義の成熟と言われるが、僕らは、その絶望的で遠い場所にある。これが現実なのだが。民主主義的な原則が政治において問われているのであり、それは政治的な理念や政策をオルタナティブな構想力として持つ政治である。そして、金による政治というのは、その対極にある政治であり、裏金づくりという政治は、批判されるべき政治である。
さしあたって、政治資金の収得と支出をどのように規制するかということは提起できるし、それは難しいことではない。ただ、今回も裏金づくりの実態を明るみに出す、それが権力やその政治主体の自民党に要求されていることだ。「派閥の解散」や「政治の刷新」などは問題のすり替えであり、逃げに過ぎない。「裏金という言葉を使うな」という哀しすぎる振る舞いでなく、裏金づくりの事実を明らかにせよ。それが安倍派幹部の面々の最低の政治的責任である。(三上治)
=====添付資料=====
◆ 原発週報2024. 1.24-2024.1.30 編集:漆原牧久
◆ テントニュース282号
=========デモ、集会==========
◆2月7日(水)原子力規制委員会毎水曜昼休み抗議行動 12時~13時
◆2月7日(水) 第67回日本原電本店抗議行動
日本原電の「欠陥工事隠蔽」をゆるさない!再稼働やめろ!
日 時:2月7日 (水) 17:00より18:00
場 所:日本原電本店前(住友不動産秋葉原北ビル 台東区上野5-2-1)
JR秋葉原駅より5分、銀座線末広町駅4番出口より4分
◆2月7日(水)「第125回東電本店合同抗議」放射能汚染水海洋投棄を中止せよ!
日 時:2月7日 (水) 18:45より19:45
場 所:東京電力本店前(千代田区内幸町1-1-3)
呼びかけ:「経産省前テントひろば」070-6473-1947
◆2月9日(金) 経産省前抗議集会(毎週)
17時~18時 経産省前テントひろば
◆2月18日 (日) 脱原発青空川柳句会
12時より 経産省前テントひろば 選者;乱鬼龍
◆2月20日(火)月例祈祷会
会場:経産省前テントひろば JKS47士
14:30~ 芸能の時間 「月例祈祷会」
◆2月25日(日)第1回請戸テントひろば学ぶ会
-処理した汚染水の海洋投棄問題を考えるー
海水分析の体験をふまえて
時間 2月25日(日)13時30分~16時
会場 双葉町産業交流センター 1階会議室
講師 山川剛史(東京新聞編集委員 原発や再生エネなどの担当)
問い合わせ先 080-5565-3199(吉沢)
090―9424―7478(黒田)
090―5341-1169(杉山)
◆「浪江/双葉町を巡るミニツアー」のご案内
2月24日(土)午後4時20分~2月25日(日)11時30分
2月24日(土)午後4時20分東京ミッドタウン八重洲(バスターターミナル八重洲)に集合
4時30分出発 午後9時30分「ボーン請戸川」着宿泊(300円)
2月25日(日)午前8時30分 「ボーン請戸川」出発 希望の牧場の吉沢さんの案内で浪江/双葉町を巡る
持ち物 寝袋・雨具など 締め切り人数(10名) 締め切り日2月19日(日)
申し込み先 杉山隆康 携帯 090-5341-1169 FAX 0466―47―2130 メールアド takayasusugi@gmail.com ◆ 2月26日(月) 大間原発差し止め裁判第31回口頭弁論
終了後16時30分~ 裁判歩国と講演会 参院議員会館
◆3月11日(月)に経産省前集会(14時~16時)
「能登半島地震と志賀原発」の報告を中心に
今年の3・11集会は1月1日に発生した能登半島地震と志賀原発の状況と報告を中心に行います。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye5196:240205〕
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