「愛川欣也パックインジャーナル」放映打ち切りへ
- 2012年 2月 13日
- 時代をみる
- 池田龍夫
CS放送「朝日ニュースター」の看板番組「愛川欣也パックインジャーナル」が、3月末を最後に放映が打ち切られる。親会社「テレビ朝日」の経営合理化によるものと伝えられるが、14年間も親しまれてきた番組を惜しむ声が強い。毎週土曜2時間の「分かりやすいニュース・トーククショー」で、愛川欣也氏の巧みな司会によって、難解なニュースを噛み砕いて論議する仕掛けが成功した番組だった。
生番組スタートに合わせ、新聞各紙が報じた直近のニュースを数項目ピックアップして提示。専門家・ジャーナリストら数人が論じ合う形式で、分かりやすいニュース解説との評判が年々高まっていた。
〝生ニュース〟の問題点と背景を分析
〝生ニュース〟を素材としての番組だけに、甲論乙駁かなり厳しい論戦もあって、興味深い内容が盛り込まれていた。重要項目ごとに問題点を論議するわけだが、「3・11事故」後は、原発のテーマが多くなったのは、他メディアと同様当然のことであろう。ただ、この「パックインジャーナル」は、他局では見られないほど執拗な捉え方に特徴があり、視聴者の関心を引き寄せたような気がする。特に原発に批判的な後藤政志・小出裕章氏ら既成メディアに余り登場しない研究者や評論家を招いての論議などは、問題提起の番組として思い切った手法と感心させられることが多かった。愛川欣也氏と前尾和博氏(評論家)の2人が牽引役で、他の専門家は取り上げるテーマに応じて交代。それだけに、通常のメディアでは聞けないような話が飛び出すことに、興味を感じた視聴者が多いという。
大手放送局が取り上げないテーマも発掘
専門分野の論客が多いため、厳しい政治批判が飛び交うこともあったが、〝攻撃〟されている側からは、〝偏向報道〟と見る人もいたとは思う。筆者は長年、この番組を見続けてきたが、視点の確かさに感心しており、大手放送局ではやりにくいテーマを発掘してきた功績は大きいと思っている。
「この番組はあと7回で終わります」との看板を掲げて始まった2月11日の番組を観ながら、「何らかの政治的圧力があったのでは?」と考え込んでしまった。愛川氏は多くを語らなかったが、「テレ朝幹部から『現在の毎週2時間ナマ番組を止め、月2回の録画番組にしたい』と提案されたが、それを拒んで番組に終止符を打つことにした」との痛恨の言葉が耳に残った。
全国590万世帯が「朝日ニュースター」を観ているといわれ、「パックインジャーナル」視聴者も少なくないはずだ。「どこかの局がこの番組を継承できないだろうか」との惜しむ声が全国からたくさん届いているという。既成メディアの〝横並び報道〟に批判が高まっている現在、ユニークな番組が消えていくのは悲しい。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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