敦賀原発直下に危険な活断層…保安院、再調査を迫られる
- 2012年 4月 27日
- 時代をみる
- 池田龍夫
原子力発電所の耐震安全性を評価する経済産業省原子力安全・保安院の意見聴取会は4月24日、日本原子力発電敦賀発電所(福井県敦賀市)の原子炉建屋直下を走る断層を現地視察し、「活断層の可能性がある」との見解を示した。活断層の上には原発は建てられないとする国の基準があり、原電が同断層に活動性がないことを証明しなければならず、再稼働のハードルが極めて高くなった。
「裏底断層」が見つかる
敦賀1、2号機の原子炉建屋直下を含む敷地内に破砕帯が約160本あることは、1965年の1号機設置許可申請時に把握していたが、原電はこれまで地質調査などから、破砕帯には考慮すべき地震活動の痕跡はないとしてきた。しかし、東日本大震災以降、破砕帯すぐ近くの「裏底断層」という活断層と連動する可能性が指摘され、2月から原電が調査を進めていた。調査に当たった遠田晋次・京都大防災研究所准教授の「ここ数十万年の間に、浦底断層に引きずられて動いた可能性が高い」という指摘を受けて、保安院は原電に対し、浦底断層付近での追加の掘削調査や地層の詳しい成分分析などを求めた。
斑目委員長も「安全性の証明」を求める
この点につき、内閣府原子力安全委員会の班目春樹委員長は26日の記者会見で、「(原電が運転したいなら)みんなが納得する方法で安全性を証明しないといけない。破砕帯の安全性を証明しない限り運転はできないと解釈すべきだ」と述べた。
斑目委員長の福島原発事故対応には批判が高まり、3月末退任が囁かれていたが、「原子力規制庁」4月発足が延びて留任。いずれにせよ、原子力安全委のトップが「拙速再稼動」に疑問を呈したことは、重大である。保安院が日本原電に再調査を指示、その結果を踏まえて運転時の安全性を審査する方針を示したことは当然といえよう。
廃炉に追い込まれる可能性
朝日新聞26日付社説が「日本原電が、原子炉の下にある断層が活断層でないと説得力をもって示せないなら、廃炉に追い込まれる可能性は高い。私たちは『原発ゼロ社会』を目指そうと呼びかけている。それを実現する道筋としては、危険度が高い原発から止めてゆくのが筋だ。このとき、敦賀2号機は、廃炉の優先度が高い候補と考えるべきだろう。忘れてならないのは、この問題は敦賀原発だけに限った話ではないということである。 国内で原発立地が大きく進んだ1970~80年代に比べて、最近は活断層をめぐる新しい知識が蓄積してきた。2006年に耐震指針が改められ、全国で新指針に沿った安全性評価が進行中だ。これはぜひ急がなくてはならない」と指摘していたが、全国50原発の総点検を早急に実施してもらいたい。
本稿を執筆中、26日夜のTVニュースが「福井県おおい町の市民集会」を中継していた。人口9000人の同町。住民550人が「安全性」を求めて、柳澤光美・経産副大臣に鋭い質問を浴びせていたのが印象に残った。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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