原子力委員会が企んだ「秘密会議」
- 2012年 7月 12日
- 時代をみる
- 池田龍夫
内閣府原子力委員会(近藤駿介委員長)の「秘密会議」について、毎日新聞6月6日付朝刊が特報した裏工作には驚かされた。原子力委は原発推進側だけを集めて「勉強会」と称する秘密会議を23回も開いていおり、この席に原子力員がどう加担していたか注目されており、同紙は次のように報じている。
「委員長ら5人全員の出席」認める
「原子力委は昨年11月17日の第1回会議に5人の原子力委員全員が出席していたことを明らかにした。これまで近藤駿介氏(東大名誉教授)、佐藤達治郎氏(委員長代理・元電力中央研究所参与)、秋葉悦子氏(元日本消費者生活アドバイザー・コンサルト協会常務理事)の3委員の関与が分かっていたが、新たに大庭三枝・東京理科大准教授と尾本彰・東工大特任教授の2委員の出席が判明した。5人の出席について近藤委員長は5日、記者団に『今後の原子力政策の全体像を論議した。(事業者に)全体像を理解してもらわないとデータ作成を依頼できない』と正当性を主張した。しかし、秘密会議では長期的な原子力政策(原子力政策大綱)を論議する<新大綱策定会議>で使う議案の原案を事前に示し、事業者から意見を聞いていたことなどが既に判明している。策定会議メンバーは第三者による検証を求めているが、政府内には『原子力委が決めるべき問題ではない』との声があり、近藤委員長も『政府にお任せしている』と述べ、手法や時期が未定であることを明らかにした」
東電から〝手当て〟を貰っていた尾本彰委員
内閣府原子力委員会の原子力政策の失態が明るみに出て、その責任が厳しく問われている。中でも尾本委員は、東京電力技術部長、国際原子力委(IAEA)原子力部長を歴任した原子力技術者で、原子力委の実力者とみられている。衆院予算委に続き、7月10日の参院予算委に参考人招致され、東電との腐れ縁が水野賢一議員(みんなの党)の追及によって明らかにされた。非常勤とはいえ、尾本氏は「昨年の3・11後、今年3月まで東電から毎月多額の顧問料を受け取っていた」事実が暴露されたのである。「とんでもない話で、受け取ったカネを返済し被災地に回し、即辞任すべきだ」と詰め寄られた。「立場上、受け取っていた金額を明らかにできない。まして勝手に辞任するわけにいかない」との逃げの弁明で時間切れとなった。「首相には、罷免する権限があるはずだ」とも迫られ、原子力委は信頼を失墜するばかりである。
誰も責任を取らずに、1年4カ月も放置
「3・11後」に首相交代はあったものの、原子力委をはじめ通産省原子力・安全保安院の責任の所在が、1年4カ月後になっても明確に示されないのは何事であろうか。国会事故調が7月5日に出した提言7項目を読み返し、早急に実行してもらいたい。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔eye1993:120712〕
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