【報告】原子力防災指針について政府交渉が行われました
- 2013年 1月 19日
- 交流の広場
- 原子力防災指針に関する院内集会と政府交渉阪上武
<こちらはツイッター等での紹介用に>
フクロウの会【規制庁交渉報告】
規制庁:30Km以遠でも避難計画が必要になる場合を認める
http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2013/01/post-d3d3.html
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昨日1月16日、原子力防災指針に関する院内集会と政府交渉が行われました。
参加されたみなさんお疲れさまでした。
北海道から安西さん、宮城(石巻)から日下さん、新潟から金子さん、矢部さん、
福井から石地さん、島根から芦原さん、佐賀から石丸さん、於保さん、関西から
小山さん、アイリーンさん、島田さん、児玉さん、大津さん他各地から、参加い
ただきました。会場は100名近い参加でした。福島みずほ議員にも顔を出し
ていただきました。ありがとうございました。
◆大飯の署名提出
集会の冒頭で、「もう待てません!大飯原発止めよう」署名の提出がありました。
第二次集約分 9,536筆、第一次分と合わせて、14,597筆でした。規制
庁の担当者に手渡し、関西、福井からの訴えがありました。
◆防災指針について事前集会
続いて原子力防災指針について、交渉前の集会がもたれました。主催者から、原
子力災害対策指針(防災指針)の法的な位置づけ、法令施行の3月18日を期限
として検討を急いでいること、現行法令、現行指針、福島で適用した基準と照ら
しながら、規制庁事務局が、100ミリシーベルトの被ばくを許容するIAEA
基準よりも厳しい基準を提案していること、事務局案は、現行指針及び福島事故
で適用した避難基準を追認するだけのものであり、福島の実状を踏まえると高す
ぎること、作業を急がせるために、防災重点準備区域(UPZ)の30kmを先に
決めてしまったこと。事務局案の判断基準では、原発から30~45kmの飯舘村
や毎時20マイクロ/時超を記録した福島市(原発から60km)でも避難となり、
30kmとはずれが生じていること、防災重点準備区域30kmでは余りにも狭すぎ、
見直しが必要であること、拡散シミュレーションはIAEAの100ミリ基準に
基づいて行われており、50ミリや20ミリでも行う必要があること、上位3%
をカットし、到達距離を小さくみせるようなやり方ではなく、最も遠方に達する
場合を示す必要があること、また現在の規制委員会の検討状況について解説があ
りました。また立地地域や周辺地域での自治体の動きや直接的なはたらきかけに
ついて、報告がありました。
◆防災指針について署名提出
交渉に先立って、防災指針について、週50ミリ、年20ミリの基準は高すぎる、
30kmは狭すぎるとし、見直しを求める署名を提出しました。佐賀の石丸さんか
らの訴えがありました。
◆政府交渉
交渉は、原子力規制庁原子力防災課の二名が対応しました。
○福島の検証なしでいいのか
避難基準の見直しに際しては、福島原発事故における避難の実態や避難政策の検
証が不可欠です。しかし、規制庁は、今回福島で適用された基準の妥当性につい
ての検証は行っておらず、住民からのヒアリングも規制庁としては行うつもりが
ないことが明らかになりました。ヒアリングは復興庁が行う、3月までにとりあ
えずつくらなければならず間に合わない、その後、問題が出れば見直せばよいと
いうものでした。会場からは、被災者からのヒアリングを最優先に行うべきだ、
それまでは指針を定めるべきではないといった声があがりました。
○UPZ30kmは狭すぎる
30kmの問題については、2つの面から問題になりました。一つは、規制庁事務
局案による福島基準との齟齬です。福島基準では、福島原発並みの事故で、原発
から45km(飯舘村)や60km(毎時20マイクロを超えた福島市)で避難が必
要となります。
この点について規制庁は、30kmの外側でも避難となることがあると認めました。
となると、30km以遠の地域についても避難計画を持たねばならず、防災計画が
必要となります。金子さんが、新潟で原発から50kmで避難する防災計画を立て
た場合について聞くと、国としては否定しないとの回答でした。
これは非常に重要な回答です。現状で新潟県内の市町村が立てている暫定的防災
計画では、30km以内が避難実施、30km以遠が避難受け入れとなっていますが、
これでは、規制庁の立場に立っても不十分だということになります。各地の自治
体に対し、避難準備区域を拡大させるための貴重な手がかりが得られたと思いま
す。
○拡散シミュレーションのデータ開示を要求
もう一つが、拡散シミュレーションです。規制委員会が行った拡散シミュレーシ
ョンは、事務局案が出る前で、事務局案よりも緩いIAEAの基準(週100ミ
リ)を用いています。これでおおよそ30kmで収まる(それでも柏崎刈羽などで
は40kmを超える地点もあった)ことを示そうとしたものです。しかし、事務局
はIAEAより厳しい週50ミリ(事故後数時間)や年20ミリ(1日から数週
間:住民の避難はこちらの数値を使うことになる)を採用しようとしているわけ
ですから、シミュレーションも条件を変えて実施すべきです。そうすれば30
kmでは収まらないという結論になります。
規制庁は、UPZ30kmの妥当性を確認するためのもので、30km以遠では信頼
性に問題がある、という回答でした。自分で実施しておきなら、都合が悪くなる
と自ら信頼性を低めるという非常に無責任なものだと思います。京都などで、週
100ミリの線引きをそのまま避難基準に用いようとしている点については、検
討が不十分であることを認めました。
また、規制委員会のシミュレーションでは、上位3%をカットする97%値を採
用していますが、これを100%にすると、高線量地域はさらに拡大します。こ
の点については、すでにある100%値のデータを開示するよう求め、開示の方
法について検討するとの回答を得ました。
◆事後集会
事後集会では、交渉で得られたものを持って、各地で自治体にはたらきかけをし
ていこう、連携して、政府を追い詰めていこうと確認しました。また、実際の避
難を考えると、半島の先で取り残されるおそれがあることや、雪で閉ざされる冬
の場合はどうするのか、川と山で挟まれた地域での避難、高齢者を抱えての避難
をどうするのかといった、具体的で切実な問題があり、そういったものを出しな
がら、避難の非現実性を明らかにし、原発を止めておくことが最大の防災である
ことを訴えていこうと確認しました。
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