採決あって審議なし~佐倉市議会総務常任委員会の惨状(1)~
- 2013年 3月 26日
- 評論・紹介・意見
- 佐倉市実態審議市議会醍醐聡
近年の地方分権の流れに呼応して、多くの自治体で「議会基本条例」が制定されている。その骨子は、地方議会が二元代表制のもとで、議事機関としての役割・機能を十分に果たすため、情報公開と住民参加を重んじた活動に徹することを謳う点にある。また、議会内でも議員相互間の自由闊達な討議の推進、市民との対話を通じた住民意見の的確な把握に努めることを謳った自治体も少なくない。
私が住む千葉県佐倉市も議会基本条例を制定し(2010年12月28日、条例第34号)、その前文で「議会及び議員は、積極的な情報公開を通じて市民への説明責任を果たし、市民参加による多様な意見を聴いた上で、公平、公正かつ透明な議会運営の下、議員間の自由闊達な討議を通じて論点を明らかにすることにより政策立案や政策提言を行っていかなければならない」と定めている。さらに、第3条では「議会の活動原則」として、「一 公平性、公正性かつ透明性を重んじた議会運営を目指すこと。二 議決責任を認識し、市民に対して積極的な情報公開を図り、説明責任を果たすこと。三 市民が参画しやすい議会運営に努め、市民の多様な意見を把握した上で政策立案、政策提言等に取り組むこと。四 市長その他の執行機関の市政運営について監視し、及び評価すること。五 議員間の自由な討議の場を設けるよう努めること」を謳っている。
しかし、わが佐倉市議会の実態は、こうした美しい条文とは隔絶していることを改めて思い知らされる体験をした。それは2013年3月19日に開かれた市議会総務常任委員会を傍聴して目の当たりにした委員会での陳情の審議の惨憺たる模様である。陳情というのは、佐倉市民有志(代表者・U.Mさん、賛同者18名ほか)が2月議会に提出した次のような2件の陳情のことである。
陳情第25号「佐倉市庁舎建設基金の設置、管理及び処分に関する条例の一部改正を求める陳情書」
http://sdaigo.cocolog-nifty.com/kikin_zyorei_minaosi_chinzyo.pdf
陳情第26号「佐倉市庁舎改築、改修計画について佐倉市民の声を反映する場、機会を求める陳情書」
http://sdaigo.cocolog-nifty.com/sichosha_simin_sanka_chinzyo.pdf
これらの陳情の審議を付託された総務常任委員会が3月19日に開かれるというので、陳情に賛同した18名の中の9名が委員会を傍聴した。当日、午後2時に集合したが、他の議案の審議が大幅に長引き、委員会室の隣の空き部屋で約1時間待機。3時過ぎに部屋に入室。まず清宮委員長から陳情者に陳情の趣旨説明を5分以内でと促され、この日、代表者のUさんが所用で傍聴できなかったため、代わって私が手短に趣旨説明をした。
その後、審議となり、冒頭、委員長から、①市庁舎については改修(耐震補強工事等)か改築(建替え)かまだ決まっていない段階だが、それが決まった段階での市民参加という考えはないか、②陳情第25号の文書に「議会を基軸として」とあるが、どういう意味か、という質問があった。これについて、私から、①については、私たちは計画の大枠が決まってからの市民参加ではなく、改修か改築かという大枠を協議する早い段階からの市民参加が重要と考えている。現に県内の他市―――浦安市、市川市、木更津市、白井市、習志野市など――では、改修か改築かを検討する段階から公募市民が協議に参加している。今回の陳情はこうした要望を前提に提出していると返答した、また、②については、議会基本条例の前文で、市民から多様な意見を聴取しつつ議会運営に当たるという精神を確認する意味で記載したもの、と返答した。
問題はこの後の審議である。委員長が各委員に質問、意見を促したものの誰一人、発言する議員なし。しばらく間を置いても沈黙が続いたため、委員長は審議を打ち切り、採決に入った。すると、委員は「粛々と」否の挙手。あっけなく陳情は1:5で否決されて落着となった(委員長は可否同数の場合以外は採決に加わらない)。
他の市では当然のこととして公募市民も参加する形で検討がされている市庁舎改修/改築計画について、佐倉市では市民参加の場を設けるよう求める陳情が圧倒的多数で否決されたのも驚きだが、それ以上に驚き呆れたのは、趣旨説明をした陳情者に対する質疑を一切せず、審議の場でも賛否の理由を一切発言しないまま、採決だけを急ぐ「採決あって審議なし」の実態だった。これで何が「市民に対する説明責任」なのか、何が「議員間の自由闊達な討議」なのか。憤りを通り越してあきれ果てたというのが陳情者全員の感想だった。
退室しかけた私のところへ委員長が近づいてきて、「文書を手直しして、もう一度出し直す考えはないか」と話しかけられたので、「否決の理由も知らされないまま、再提出もないですね」と答えた。
その後、陳情賛同者有志(=傍聴者)は市役所1階のロビー集まり、今後の対応を相談した。その結果、まずは、傍聴者一人一人が傍聴感想記を書き、それ総務常任委員全員に届けようということになった。3日後には7名の傍聴者の感想記がUさんのもとに集まった。
皆さんの了解を得たので、匿名で(私の感想記は実名入りで)全文を2回に分けて、このブログに転載することにした。この記事では2人の傍聴記を載せ、残りの5人の傍聴記は次の記事に転載することにする。
なお、2件の陳情に対する各委員採否は次のとおり。
委員長 清宮 誠(さくら会) 議決に不参加
副委員長 橋岡協美(さくら会) 反対
高木大輔(無会派) 反対
松原 章(さくら会) 反対
伊藤壽子(市民ネットワーク) 賛成
村田穣史(みんなの党) 反対
小須田稔(公明党) 反対
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佐倉市議会総務常任委員会 市民参加陳情の審議について
議会は本来政策を討議することが基本です。ところが、委員の方々は、市民の心底からの陳情の意味が理解できないか、理解不能なのか、討論もせず沈黙の40分間でした。採決だけにはこれも無言の反対の挙手。まるで採決ロボット。「沈黙は金なり」というが、報酬の「金」だけはご馳走さん。なんとも情けない。巷では、市職員からも議員の資質に疑問符、あきれ果てているとか・・・。賛成ならともかく、反対するなら、その理由を堂々と述べることが、世の中の常識、議員の品格というものでしょう。佐倉市は本当に「選ばれる街(市)」になれるのだろうか?
Aさん
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市民参加陳情の審議について
3月19日の総務常任委員会を傍聴して唖然とした。市民代表が陳述した後に清宮委員長が、2,3の質問をされたが、その後各議員(6名)からは何の質問・意見も無いまま最後にまとめて行われた採決では、陳情3件は推し測ったように否決された。
毎回議会だよりを見ても分かるように、市長からの議案は99%可決、市民からの陳情は、否決が連綿と行われている現場を目の当たりにした。
私が選んだ議員が、この場に居たら次回の選挙では入れない。自分の意見も持たない、発言も出来ない人に我々の声を市政に届ける資質は皆無だ。
Bさん
初出:「醍醐聡のブログ」より許可を得て転載
http://sdaigo.cocolog-nifty.com/
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion1209:130326〕
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