「1票の格差4・77倍」に違憲状態の判決相次ぐ
- 2013年 12月 11日
- 時代をみる
- 池田龍夫
「1票の格差」が最大4・77倍だった今年7月の参院選を無効として、弁護士グループが全国で選挙無効を求めた訴訟で、札幌高裁(山崎勉裁判長)は12月6日、「違憲状態」との判断を下した。
議員1人当たりの有権者数は最小の鳥取県に比べ北海道が最多で、4・77倍。これをめぐって、11月28日には広島高裁岡山支部が「違憲・無効」の厳しい判決を下した。12月5日には広島高裁が「違憲状態」と判断。今のところ「無効請求」を、札幌・広島両高裁は棄却している。
北海道新聞12月8日付社説は「議員1人当たりの有権者数が最も少ない鳥取県の1票の価値を1とした場合、北海道は0・21でしかない。法の下の平等という民主主義の根幹がないがしろにされ続けている状態は異常だ。最高裁はこれまで、2007年の参院選に対しては『合憲』としながらも、『大きな不平等が存在する』と指摘し、制度見直しに言及した。
最大5倍の格差があった10年の前回選挙には、「違憲状態」を突きつけた。だが、国会が対応したのは、大阪府と神奈川県を2増とするなどの4増4減だけだ。その結果、7月の参院選は1票の価値が最も小さい選挙区が神奈川県から北海道に変わったにすぎない。
衆院でも人口最少の宮城5区に対し、北海道1区が2倍超になるなど見直しは急務だが、国会の動きは鈍い。 国会議員に期待できないのであれば、衆参両院ともに第三者機関が主導して、改革を推進すべきだ」と、厳しく批判していた。
今後も同種の判決が予想される。選挙制度を抜本的に改革できない国会に対する司法からの厳しい警告にほかならない。絶対多数の自民党政権は「秘密保護法」に莫大なエネルギーを割いたが、自分たちの議席に関する問題には実に不熱心だ。16年の次回参院選挙までの改革を目指して、根本から立て直すべきだ。
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