テント日誌12月18日 経産省前テントひろば830日目…商業用原発停止95日目
- 2013年 12月 22日
- 交流の広場
- 経産省前テントひろば
僕らにとって抵抗の道は自問自答を繰り返し続けることだ。
いつも間にか、街路樹の銀杏は金色の葉をあらかた散らして裸の肌をさらしはじめている。プラタナスは無残にも丸裸にされて、雀たちも羽を休める場を奪われている。師走、何となく押し迫ったような気分にさせられるが、今年はどうも寒々としているように思えてならない。これは風景にではなくて、こちらのこころの方により強く要因があるからだろう、とは思う。季節の循環と社会の動きが違っているのが現在だが、日本の社会はどこに向かうのだろうという不安が人々の心に色濃くなっているからのように思う。
気がついたら全く思いもしなかった事態になっていた、とは戦争期を生きた人々の発言だが、ひょっとすると、と思いたくなることもあるのだ。木々康子さんという方の書かれた『敗戦まで』という小説がある。この小説は左翼史観に基づく戦争観ではない立場で戦争へいたる過程を描いている。多くの知的な中流の人がまさかと思っていたのに戦争に入っていったことが書かれている。反戦主義者たちの抵抗は初期で、国民の合意が戦争を可能にし、支えたことも書かれているが、明治以降の国民の意識の実体に筆が及んでいてなかなかいい。僕はこれを読んで時に果たしてこの国民の意識は戦後に変わったのかということが思い浮かべたが、それを自問する機会が多くなってきたように思う。まさかという事態の出現があるのだということをこころしなければならない。そんな時代になってきているのだということだろうか。僕らは不断に自問し、考えることにおいて対応するしかないのだが、これを深めて行きたい。徒労に似たことでも、時代について、未来について、歴史について考え続けることしか道はない。考えるということが何事かは分からないがそれが抵抗の方法なのだ。
テントは三度目の年越しを迎える。来年度には原発再稼動が始まる予測もあって、緊張感は浸透もしてきている。テントの今年を振り返ってみれば、多くのことがあったと言える。経産省や国側から訴訟を起こされ、第4回の口頭弁論を経ていよいよ来年からは文字通り山場になる。政府の方は沖縄基地移設問題、消費税増税、特定秘密保護法の施行準備問題など多くの懸案事項を抱えている。それに集団自衛権行使問題もあるが、原発再稼動をめぐる問題もある。政府はこの問題については公的議論を避け、裏でその準備を着々と進めている。官僚主導のこの日本的やり方に対して、僕らは国民の意志表示(政府の政策にたいする異議申し立て)しか対抗方法はないが、これが一番有効なのである。この異議申し立ての方法の多様な展開、持久的な展開などいろいろの工夫と知恵が要求されるがこの道を切り開いて行きたい。これを支えるのは考え続けることである。別段、重い気分だけではなく、予想もしない抵抗やその声が出てくることも期待されることもある。混沌とした中で何か出てくるかわからない事もある。それらへ対応もまた、考え続けていることによって可能になる。
年末までは12月22日(日)の国会包囲行動もある。再稼動反対★国会大包囲<日比谷野音集会(13時~14時)・国会大包囲(15時~15時30分)・官邸前・国会前大抗議(15時30分~17時)が組まれている。多くの参加を。年末年始のテントスケジュールについては準備中である。(M/O)
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