異常づくめのNHK ~経営委員の異常な言動を弁護する委員会事務局~
- 2014年 2月 9日
- 時代をみる
- NHK醍醐聡
掲示板に寄せられた意見を確かめるために
私が共同代表の一人になっている「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」の「ご意見板」に昨日、「NHKふれあいセンターの驚くべき対応」というタイトルの投稿があった。それによると、投稿者がNHKふれあいセンターに「会長」「経営委員」の自主的辞任を要望したところ、応対に出た職員は経営委員から配布された文書と断って、「経営委員は非常勤の職員で個人的見解を言うことは許されている」という「答え」を聞かされたという。視聴者の声を聴く場だと思っていたふれあいセンターから、こういう「反論」が返されたことに驚いて投稿したとのこと。
これは私も自分の耳で確かめる必要があると思い、夕方6時25分ごろ、NHKふれあいセンターに電話したところ、次のようなやりとりになった。重要な内容と思えるので、このブログで紹介することにした。
ふれあいセンター責任者が語りかけたまっとうな感想
醍醐: 私の友人が今日こちらへ電話してNHK会長、経営委員の自発的辞任を求める意見を伝えたところ、応対した職員は「それについては経営委員から応答用の文書が届いている」と答えられたそうですが、事実ですか?
センタ-職員: はい、そういう文書が届いています。
醍醐: どういう内容ですか?
セ職: (文書らしきものを読み上げ始める)経営委員会事務局としては、放送法では・・・・
醍醐: 今、読み上げておられる文書をFAXで送ってもらえませんか?
セ職: こちらのものを送るということはしておりませんが。
醍醐: その文書は誰がまとめたものですか?
セ職: 視聴者部から来たものです。・・・上司に代わりましょうか?
醍醐: お願いします。その前に、そちら様のお名前は?
セ職: Nです。
センター責任者: 責任者のSです。
醍醐: 先ほど途中までお聞きした文書をぜんぶ、読み上げてもらえませんか?
セ責: 「経営委員会事務局としては、放送法では非常勤の経営委員には兼務が認められており、また、個人の思想信条にもとづく言動が妨げられているわけではなく、今回の応援演説も経営委員としてではなく、百田氏個人としての行動と受けとめています。」
醍醐: それで全部ですか?
セ責: そうです。
醍醐: その文書は視聴者部から届いたそうですが、作成したのは誰ですか? 視聴者部が「経営委員会事務局としては」という言い方はしないと思うのですが。
セ責: 経営委員会事務局がまとめたものを視聴者部から届いたということです。
醍醐: 作成したのは百田氏ではなく、経営委員会事務局と言うことですね。
セ責: そうです。・・・・ええとですね。放送法とかかわりないみたいな言い方をしていますがね、放送法第4条には△△△(政治的公平? 聞き取り難)と書いてあるんですよ。ですから、放送法が全部かかっているんですよ。
醍醐: 私もそう思っていますよ。
セ責: 直木賞(注:正しくは「本屋大賞」)をもらったくらいの人なのに。△△を疑いますよ。
醍醐: えっ、よく聞き取れなかったのですが。
セ責: 人格を疑いますよ。
醍醐: わかりました。ところで、ふれあいセンターは視聴者の声を聴く場であり、質問があれば答えるところだと思うのですが、私の友人は先ほどの文書を聴いて「反論」されたみたいで驚いたといって言ました。意見が来たら、こういうふうに伝えてほしいという依頼なのですか?
セ責: そうですか。そのように受け止められているということを視聴者部に伝えておきます。
醍醐: 長谷川三千子さんのこともだいぶ新聞で書かれていますが、この文書では、「百田氏は」となっていますね。ということは、この文書で書かれていることは長谷川さんにはあてはまらないということですか?
セ責: 意見がいっぱい来ていますよ。そういう書き方をしているのですから、そうなんでしょうね。
醍醐: わかりました。下のお名前を伺えませんか?
セ責: それは言わないことになっています。でも、さっき、Sと名乗ったので、夜間の責任者のSといってもらったらわかりますよ。
醍醐: そうですか。どうもありがとうございました。
経営委員の異常な行動を弁護する委員会事務局の責任は重大
一つ前の記事で書いたが、NHKの経営委員は不偏不党、政治的公平・公正、多様な意見の反映を基本原則とするNHKの役員であり、会長の任免権、副会長の同意権を持ち、会長以下執行機関の役職員の職務の執行を監督する幅広い権限を持つNHK経営委員会の構成員である。そうした職務上の地位、権限を考慮すれば、NHK経営委員に政治活動の自由が無制限に認められるわけではない。
むしろ、職務外であっても、公衆の面前で特定の政党なり政治家を積極的に応援するというきわめて党派性の強い発言をしたり、NHK経営委員であることを断った上で時の首相の応援団と自己紹介したりするとなれば、そうした発言を知った国民は当該経営委員の主義主張が職務遂行にも投影し、NHKが担う政権監視機能が衰微するのではないかと疑念を持つのは当然であるから、職務外での個人的発言で到底済まないのである。
この間、NHKに籾井会長発言に関してだけでも視聴者から1万2千件を超える意見が寄せられ、百田、長谷川両経営委員の言動に関しても、上記S氏の説明では多くの意見が寄せられているという。こうした事実は百田、長谷川両経営委員の言動が個人としての発言で済まされず、経営委員としての地位にある人物の発言と受け取られている証左である。
それほど異常な経営委員の言動を経営委員会事務局があからさまに弁護する文書を作成し、意見を寄せた視聴者にとくとくと読み上げさせているのも、また、異常である。
私とNHKふれあいセンターの責任者S氏とのやりとりを読まれた方には、S氏の応答がぶっきらぼうに聞こえるかもしれない。しかし、私にはそれがかえって一人のNHK職員としての率直でまっとうな感想と思えた。特に、マスコミの取材に対して匿名で、籾井会長や2人の経営委員の「妄言」「乱行」に苦言を呟くだけで、目に見える形で声を挙げないNHK職員のふがいなさを思うとき、S氏の無遠慮ではあるがまっとうな応答が異例に思えることこそ、今のNHKの底なしの荒廃ぶりを表している。
初出:「醍醐聡のブログ」より許可を得て転載 http://sdaigo.cocolog-nifty.com
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.ne/
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